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「天才たちの値段」門井慶喜

天才たちの値段タイトル:天才たちの値段
著者  :門井慶喜
出版社 :文藝春秋
読書期間:2006/10/26 - 2006/10/28
お勧め度:★★★

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子爵の屋敷の地下室に秘蔵されていた巨匠ボッティチェッリ作「秋」。これは世紀の大発見か、罪深き贋作なのか? 鑑定眼ならぬ「鑑定舌」で真贋を見きわめる天才美術探偵、神永美有が活躍する美術ミステリー。

美術ミステリー。なぜだか読んでいる最中、ずっと京極夏彦さんの作品を読んでいるような感覚でした。美術品の真贋を「視覚」ではなく「味覚」で見極める神永美有が大活躍する連作短編集。表題作「天才たちの値段」「紙の上の島」「早朝ねはん」「論点はフェルメール」「遺言の色」の五編が収録されています。

デビュー作なんですね。そうとは思えないほどの出来でした。作者は、何らかの形で美術に携わっている方なのでしょうか。薀蓄といい、謎解きといい、神永が語る言葉には淀みがなく、とても心地よかったです。もう少し自分に知識があったらなら、もっと楽しめただろうと残念でなりません。

品物の真贋のみならず、所有者やそれを求める人の思いを含め解き明かしていく神永の天才っぷりには驚きです。天才が活躍する話って、楽しいですよねぇ。自分にはたどり着けない世界を見せてもらえるというか。一番のお気に入りは「早朝ねはん」。奇妙な格好をしているお釈迦様の涅槃図を求める二つの寺の関係者たち。涅槃図に隠された真実に意外性があってうなりました。

神永以外の登場人物では、イヴォンヌこと高野さくらのキャラクターが際立っていますね。主人公の学者・佐々木はあまりぱっとしませんが、この二人がいればシリーズかも可能じゃないでしょうか。期待したいところです。

+++++

【みなさまのご意見】
本を読んだら・・・さん
ぼちぼち。さん
Gotaku*Logさん
まったり読書日記さん
きつねの本読みさん('07/01/14追加)


「瓦礫の矜持」五條瑛

瓦礫の矜持タイトル:瓦礫の矜持
著者  :五條瑛
出版社 :中央公論新社
読書期間:2006/10/04 - 2006/10/07
お勧め度:★★

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警察組織存続の名の下に犠牲になった三人の男の対決。選んだ道は欺瞞、糾弾、そして復讐……。組織に殉じるとは、正義とは何かを問う、大藪賞作家渾身の書き下ろし大型問題作!

初読み作家さんが続きます。「スリー・アゲーツ」で第3回大藪賞を受賞した著者の書き下ろし作。大藪賞は、ハードボイルド小説・冒険小説に与えられる賞で1999年創設。過去には、福井晴敏、奥田英朗、馳星周が受賞しています。

登場人物は多数。その中でメインとなるのは神楽、上倉、黒羽の三人の男。三人とも警察組織に何らかの不満を抱えています。ストーカーに妹を殺され、初動の遅かった警察をうらむ神楽。署内抗争の煽りを受けて、辞職した上倉とそれでも警察に残る黒羽。それぞれが何を思い、如何なる行動を取るのかがこの物語のポイントとなります。

横山秀夫の書く警察小説を期待して読み始めたのですが、それは過大な期待でした。出てくる人物それぞれは魅力的な一面を持っているけれど、話の筋が中途半端でどうしても乗り切れません。足場固めにたくさんのページを割いているはずなのに一向に固まらず、ふわふわしたまま最後を迎えてしまいました。小ネタを出さずに、上倉vs黒羽で直球勝負して欲しかったです。

冒頭の大藪賞受賞作と最新作「エデン」「ROMES06('06/10発売)」あたりを読んで、今後追いかけるか判断したいと思います。

+++++

【みなさまのご意見】
■ぼちぼち。さん('06/10/28追加)


「遮断」古処誠二

遮断タイトル:遮断
著者  :古処誠二
出版社 :新潮社
読書期間:2006/07/12 - 2006/07/13
お勧め度:★★★

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昭和20年5月、沖縄。防衛隊から逃亡した真市は、戦友の妻で、幼なじみのチヨと再会する。行方不明だというチヨの子どもを探しに部落へ戻る2人に拳銃を向けてきたのは、友軍の少尉だった。『小説新潮』連載の単行本化。
第135回直木賞候補作。候補発表後にあわてて図書館に予約し、Getしました。候補作ですぐに借りられたのはこの1冊だけ。意外と不人気?

末期がんに侵され、余命いくばくもない老人・佐藤真一のもとに届いた一通の手紙。その手紙を読んで真一は、昭和20年、沖縄での出来事を思い出さずにはいられなかった。防衛隊から逃亡、逃げた先の防空壕で出会った戦友の妻・チヨと共に、戦禍の中チヨの子ども・初子を探した出来事を・・・。

回想部分に登場するのは主に三人。隊から逃亡を図った真一、手足を負傷している少尉、子どもと離れ離れになったチヨ。三者三様に思うところがあって、激しい戦禍の中、北上を続けます。極限状態の中で何を信じるのか。そして何が正しいのか。誰にも答えが出せません。ただ、どうであれ、生きること、生き続けるってことは、何にも変えがたいものだと感じずにはいられませんでした。

ただ、これがテーマだとすると、数多ある戦争モノでも取り上げられる普遍的なものあり、改めて特筆するものではないように思います。僕の読解力のせいかもしれませんが、今一歩深くまで著者の真意を読みきれなかったのが残念です。

非常に重く内容であるにもかかわらず、たかだか200ページ程度にまとめられていることは驚きです。また、構成も巧く、章間にはさまれる手紙の一文が読者の想像をいろいろと掻き立ててくれます。その分無駄な描写は一切省かれていおり、盛り上がりやリーダビリティには欠けるので、取っつき難さを感じるかもしれませんが。

ラストの展開にはちょっと驚きました。このあたりはミステリ出身である著者の本領発揮といったところでしょうか。過去の著作にも手を付けてみたいと思っています。

+++++

【みなさまのご意見】


「世界の中心で、愛をさけぶ」片山恭一

世界の中心で、愛を叫ぶタイトル:世界の中心で、愛を叫ぶ
著者  :片山恭一
出版社 :小学館
読書期間:2006/04/01
お勧め度:★★★

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十数年前・高校時代・恋人の死。好きな人を亡くすことは、なぜ辛いのだろうか-。落葉の匂いのするファーストキスではじまり、死を予感させる無菌状態の中でのキスで終わる、「喪失感」から始まる魂の彷徨の物語。
今更ながら話題作を読んでみました。自慢じゃないけど、映画もドラマも全く見てません。映画のCMで流れてた有名なシーンだけの印象のみだったんですが、読み始めてすぐにラストがよめるわかりやすいお話。

話は至極淡々と進みます。付き合い始めて彼女の病気が見つかり、彼氏が励ましながら闘病。そしてラストには死を迎え、彼女のいない日々を過ごす彼氏・・・。これだけ読むとありきたりな内容です(こんな簡単にまとめていいのか、という話もありますが・・・)。売れたのはやっぱり宣伝の効果か!?

話の展開が急に飛ぶので、読んでいて???と思うことしきり。何だか急に病気になったように感じたのですが・・・。何でそんな重篤な患者なのにオーストラリアに行くのか、などなど話の根幹に関わるところでぶっ飛んだ気がして話に入り込めませんでした。

おじいさんのエピソードはよかったですが、その他は特筆すべきところが見つかりませんでした。

+++++

【みなさまのご意見】


「蛇にピアス」金原ひとみ

蛇にピアスタイトル:蛇にピアス
著者  :金原ひとみ
出版社 :集英社
読書期間:2006/04/01
お勧め度:★★★

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ピアスの拡張にハマっていたルイは、「スプリットタン」という二つに分かれた舌を持つ男アマとの出会いをきっかけとして、舌にピアスを入れる。暗い時代を生きる若者の受難と復活の物語。第130回芥川賞受賞作。
「蹴りたい背中」と同時芥川受賞。知らない人がいないくらい話題になりましたね。話題作ってどうしても厳しい目で見てしまいがちだけど、"なかなか面白いじゃないの"というのが正直な感想(「蹴りたい背中」の時と同じことを書いてる気が・・・)。

割れた(スプリット)舌(タン)を持つアマと知り合い、自分もスプリットタンを目指す主人公・ルイ。序盤からスプリットタンや刺青など肉体を傷つける描写や異常な性描写があり、あまりにもなキャラ設定も加わって正直読むのを辞めようかと思いました。が、アマがルイを助けようとケンカをし、相手を殺してしまったかもしれないという状況になって、少しずつ面白くなってきました。

アマのことはスプリットタンにだけ惹かれていると考えていたのだが、実はそれ以上に大切に思っている自分の気持ちに気付くルイ。アマの姿が見えなくなってから惰性のように舌の穴の拡張を続け、心労から衰弱していくルイ。そして、結末にそれとなく気が付いてから取ったルイの行動。扱っている題材は過激だけど、ルイの心理描写はしっかりしていて、当初に抱いていた悪感情は無くなりました。

表現には稚拙なところが見られるけど、そこは経験なのでしょう。これから結構面白い本を書いてくれそうな気がします。「蹴りたい背中」とは同じくイジイジした主人公の内面を描いてる点は同じものの、視点が広い分こちらの方がやや上でしょうか。

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【みなさまのご意見】


「硝子のハンマー」貴志祐介

硝子のハンマータイトル:硝子のハンマー
著者  :貴志祐介
出版社 :角川書店
読書期間:2005/03/04 - 2005/03/09
お勧め度:★★★★→★★★
※お勧め度変更しました('05/03/12)


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エレベーターに暗証番号、廊下に監視カメラ、隣室に役員。厳戒なセキュリティ網を破り、社長は撲殺された。凶器は? 殺害方法は? 弁護士純子は、逮捕された専務の無実を信じ、防犯コンサルタント榎本のもとを訪れるが…。
4年半ぶりの新作は、今までの貴志さんにはなかった密室ミステリー。あまりお目にかかったことのない2部構成ということと相まって、評価が分かれるところ。

これまでの貴志作品の特徴といえば、丹念な人物と心理の描写。現実世界とは離れた「ありえない世界」に起こる出来事(青の炎は違うが)でありながら、恐怖感や切迫感をリアルに描くことによって、読者に身近な世界と錯覚させてしまうのだ。

今作は貴志さんにとって新境地を開拓するための意欲作なのだろう。全編通じて密室における完全犯罪トリックに重点を置いている。後半部分にこれまでの貴志作品の雰囲気が見えるが、これまでのように人物の背景を丹念に描き出すことはしていない(登場人物が多いというのも原因の一つかもしれない)。

力を入れたトリック自体は、かなり斬新で大掛かり。第1部で仮説・検証の上、捨てられていくトリックたちのほうが好きだったりしますが・・・。犯人自体はおそらくコイツと気がついてしまい、あとはトリックだけだと読み進めたのだが、さすがにこんなことは思いつかない。各方面での専門的な知識が必要。

あおちゃんの評価は星四つ。気になるところが多々ある(犯行動機とかトリック暴きとか)が、「密室ミステリーを書く」という挑戦は概ね成功したのではないか。女性弁護士・青砥純子と防犯コンサルタント・榎本径のコンビでシリーズ化という話もあるとのこと。また4年半も待たされることのないよう切に望む。

追記:思い返してみて、それほど面白かったか?と考え始めちゃったので、評価を星三つに修正しました('05/03/12)

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【みなさんのご意見】