2018/05

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

<< >>


スポンサーサイト

  • -
  • スポンサードリンク
  • -
  • -

一定期間更新がないため広告を表示しています


「舞姫通信」重松清

舞姫通信タイトル:舞姫通信
著者  :重松清
出版社 :新潮文庫
読書期間:2005/05/19 - 2005/05/23
お勧め度:★★★

[ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]


ラストシーンは、もう始まっているのかもしれない。人は、誰でも、気づかないうちに人生のラストシーンを始めている。17歳で死んだ「自殺志願」のタレント城真吾にとっては、16歳は晩年だった。城真吾は教えてくれた。人は死ねる。いつ。いつか。いつでも―。でも、僕は思う。僕の教え子の君たちの「いつか」が、ずっとずっと、遠い日でありますように。教師と、生徒と、生と死の物語。
いつもタイトルから内容を想像して読み始める。かわいい転校生がやってきてその子のあだ名が「舞姫」で・・・、なんてそんな話かと思っていたのだが話は180度正反対といっていい「自殺」を扱ったものだった。

双子の兄の自殺。心中未遂の青年・城真吾の登場。女子高生の自殺。畳み掛けるように自殺という言葉が連続する。新聞やニュースでよく眼にし、ある意味聞きなれてしまった感のある言葉であるが、本作で登場する「自殺」にはあまり現実感が感じられなかった。中途半端な印象。

特に兄の恋人・佐智子の行動がわからない。恋人が死んだ時、あれほど好きだったのになぜ自分は後を追わなかったのか。それを問うために城真吾という少年をタレントとして仕立て上げる。テレビで城真吾が語る言葉を聞き、自分が死なずに生き続けた理由を再確認していくわけだが、あまりにも身勝手。もうちょっと突っ込んだ心情描写が欲しいところだ。ページをめくる度、自殺とは何かを自分に問いかけることはほとんどなく、それよりも登場人物たちの行動がもどかしくって苛立ちを感じた。

結局最後の舞姫通信がありきで話がスタートしたようにも感じる。重松さんがいいたかったのはこれだ。「人はいつ、いつか、いつでも死ねる」に対する答え。ここを読むとなるほどと感じなくもないが、今までの部分が全てここを盛り上げるための布石にしかすぎないようにも感じてしまう。自分の自殺に対する思いが、原島先生と似ているためこういう感想になるのかもしれない。

トラキチさん主催「今宵、重松作品を語ろう!」にトラックバック。

+++++

【みなさまのご意見】


「エイジ」重松清

エイジタイトル:エイジ
著者  :重松清
出版社 :新潮文庫
読書期間:2005/04/23 - 2005/04/26
お勧め度:★★★★

[ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]


ぼくの名はエイジ。東京郊外・桜ヶ丘ニュータウンにある中学の二年生。その夏、町には連続通り魔事件が発生して、犯行は次第にエスカレートし、ついに捕まった犯人は、同級生だった―。その日から、何かがわからなくなった。ぼくもいつか「キレて」しまうんだろうか?…家族や友だち、好きになった女子への思いに揺られながら成長する少年のリアルな日常。山本周五郎賞受賞作。
ナイフ」「ビタミンF」に続き手にした重松作品3冊目である本作は、中学生が主人公。宮部みゆきさんの書く中学生も生き生きとしているが、重松さんの書く中学生もそれに劣らず生き生きしておりリアルである。

とある町の中学生・エイジ。自身曰く「ホームドラマに出てくるような」家庭に育っている。恋愛に悩み、勉強に悩み、友達との距離感に悩むお年頃。どこにでもいそうな中学生であるが、突然クラスメイトが通り魔で警察に捕まったことから日常が変わる。どうしてあいつは通り魔をしたのか。自分とあいつの違いは何か。自分の中にもあいつと同じように通り魔を犯してしまいそうな自分がいる。世の中の邪悪なものを知り、己に邪悪なものがあると知り、一歩間違えば自分だって他の誰かだって通り魔になる可能性を秘めていると知って且つそれを実行に移さない。こういう経験を積み重ねて大人になっていくのだろう。大人になることは、世間の汚いものを知り、純粋さが失われていくことのようで何だか物悲しくもある。

同級生が逮捕される経験はないけど、ニュースや新聞で似たようなことが数多く放送されるのを見ると、こういう経験をしている人はかなり多いのではないか。その時周りの人々はどういった行動を取るだろう。通り魔のクラスメイトが帰ってきて、またいつもの生活へと戻っていくラストを描いているが、現実として戻ってきた場合このような行動を取れるだろうか。そもそも戻ってくることはないと思う。妊婦が流産してしまうシーンなどは、自分の年齢に近いだけにいたたまれない気持ちになった。

希望の光が見えるラストのために読了感は悪くはないし読み応えも十分だったのだが、この結末でよかったのかどうかやや疑問と不満が残った。

※トラキチさんの「今宵、重松作品を語ろう!」にトラックバック。

+++++

【みなさまのご意見】
ページを繰る日々さん
Book cafeさん
2nd lifeさん
本のある生活さん
memeさん
☆Happy diary☆さん
本を読む女。改訂版さん('05/05/31修正)
読書感想文とブツブツバナシさん
母猫の部屋さん
かみさまの贈りものさん
*Diary*さん
ブログ版:春日井教育サークルさん
評価チャンネルさん('05/05/30追加)
アン・バランス・ダイアリーさん('05/09/23追加)
しっかりエンターテイメント!さん('06/03/07追加)
たりぃの読書三昧さん('06/07/24追加)
雑板屋さん('06/09/08追加)


「ビタミンF」重松清

ビタミンFタイトル:ビタミンF
著者  :重松清
出版社 :新潮文庫
読書期間:2005/03/16 - 2005/03/22
お勧め度:★★★★★

[ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]


このビタミンは心に効きます。疲れた時にどうぞ。「家族小説」の最高峰。直木賞受賞作!
38歳、いつの間にか「昔」や「若い頃」といった言葉に抵抗感がなくなった。40歳、中学一年生の息子としっくりいかない。妻の入院中、どう過ごせばいいのやら。36歳、「離婚してもいいけど」、妻が最近そう呟いた……。一時の輝きを失い、人生の“中途半端”な時期に差し掛かった人たちに贈るエール。「また、がんばってみるか・・」、心の内で、こっそり呟きたくなる短編七編。直木賞受賞作。
「ナイフ」に引き続き重松本2作品目。なんだかきれいに纏めた感がありですが、「ナイフ」のときと同様文章がすっと体に染み渡る、そんな印象。

重松さんの文章には難しい言い回しや喩えはほとんど使われない。日常よく目にするありふれた言葉のつながりであり、文章からは清々しささえ感じ取れる。なのに、書かれている内容はイジメであったり、現実と夢の間でもがく苦しみであったりと、誰にでも降りかかる可能性があり且つ解決が難しい問題ばかりだ。

この本に出てくるオヤジ達はみんな生きることに一生懸命だ。家族を守るために、とにかく走り続けてきた。しかし、ふっと一息ついたときに後ろを振り向くと家族とは大きく離れてしまっている。そして感じる不安。「自分の人生はこれでいいのか?こんなものなのか?」

どの短編も決して万々歳のハッピーエンドではない。でも、何となくちょっとだけ希望の感じられるような結末を迎える。そんなオヤジ達の姿に、勇気付けられ、励まされる。

アルファベットのFは6番目。本書が六編の短編から構成されていたらもっと美しいと思ったが、一編余分に読めたのを素直に喜びたい。

トラキチさんにトラックバック。

+++++

【みなさまのご意見】
アン・バランス・ダイアリーさん
本を読む女。さん
崖っぷち〜会社を辞めるまで〜さん
Book cafeさん
かみさまの贈りものさん('05/05/08追加)
のほ本♪さん('05/05/20追加)
読んだモノの感想をわりとぶっきらぼうに語るBlogさん('05/06/10追加)
本を読む女。改訂版さん('05/06/13追加)
粗製♪濫読さん('05/07/02追加)
京の昼寝〜♪さん('05/09/07追加)
Enjoy Life♪さん('05/10/07追加)


「ナイフ」重松清

ナイフタイトル:ナイフ

著者  :重松清

出版社 :新潮文庫

読書期間:2005/02/11 - 2005/02/14

お勧め度:★★★★



[ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]



「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。僕たちの世界は、かくも脆いものなのか!ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。その闘いは、決して甘くはないけれど。坪田譲治文学賞受賞作。


以前より読みたいと思っていた重松本、まず手に取ったのは「ナイフ」です。5編からなる短編集で、坪田譲治文学賞受賞作。賞の冠となっている坪田譲治さんは「日本における児童文学の第一人者」とのこと(ネットで調べた)。テーマがテーマだけに子供たちにも読んで考えて欲しいと考えてこの賞の受賞となったか。しかし、話はひどく重たい。



ずばりテーマは「イジメ」。描き出される暗くてねっとりとしたイジメの数々。特に「キャッチボール日和」の大輔くんのいじめられっぷりは読んでいて気分が悪くなる。この本の初版は1997年、ちょうどイジメが社会問題化したころじゃないだろうか。自分が小学生のときを思い起こすとここまでひどいのはなかったなぁと思う。イジメがなかったとは言いまいけれど、もうちょっと明るいイジメだったかも(なんか変な表現、、、)。



今の小中学校ではこの手のイジメが横行しているのだろうか。子供たちは、教師はおろか親さえも踏み入れられない子供たちだけのコミュニティを持っている。見えてこないだけで間違いなくあるのだろう。では、親となりイジメの当事者になったとき、どのように対処すればいいのだろうかと考えてみる。・・・・・・。考えてみても答えが浮かんでこないのは、やはりどこか他人事だからなのだろうか。



全編重い話の中で光るのは「エビスくん」。いじめられてもいじめられてもエビスくんの「親友だよな」という言葉を信じて側にいるひろし。彼にだけエビスくんの隠されたやさしさに気がついていたのかもしれません。



あっ、あと著者あとがきもかなりいいので本編を読み終わっても本を置かないでくださいね。トラキチさんの重松さんブログにトラバ。



+++++



【みなさんのご意見】

fish punchさん

映画とゲームのある生活さん

めもらんだむ。さん

planet juliusさん

ブログ版:春日井教育サークルさん

りびいの森さん

かみさまの贈りものさん('05/05/08追加)

のほ本♪さん('05/05/20追加)

book diaryさん('05/07/21追加)

本を読む女。改訂版さん('05/07/24追加)
のほほんの本さん('07/03/22追加)
たこの感想文さん('07/07/04追加)