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「顔 FACE」横山秀夫

顔 FACEタイトル:顔 FACE
著者  :横山秀夫
出版社 :徳間書店
読書期間:2004/10/26 - 2004/10/27
お勧め度:★★★

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短編「陰の季節」の中の一編「黒い線」に登場したD県警所属の婦警・平野瑞穂を主人公とした5編の連作短編集。「黒い線」で平野巡査は心に傷を負い失踪、休職を余儀なくされました。この作品は復帰後の平野巡査をその後を追う形で展開されているので、「陰の季節」を先に読むことをお勧めします。

どこの企業でも男女同権、セクハラに対する対応が叫ばれているのに、未だに警察社会だけは男尊女卑の傾向がある。そんなことをまざまざと感じさせてくれる一冊です。「だから女は使えねぇ」という言葉が未だに警察内で使われている言葉かわかりませんが、フリーライター生活の長かった横山さんのこと、警察の内幕をみてこのような言葉になったのでしょう。

普段は重厚な文章を書く横山さんですが、本作の文体は柔らか。主人公が女性ということでしょうか。やや世間知らずっぽい感じですが、組織の必要悪に疑問を抱き、日々成長していく平野巡査の心情、魅力が、読者目線もしくは一般市民目線でうまく描けていると思います。本文もいいけどプロローグとエピローグがとてもいいです。晴れて鑑識課に戻ることが出来た平野巡査のその後が刊行されることを期待して待ちたいと思います。でもまぁ、鑑識課だけではネタ作りがちょっと苦しいかなぁ。

+++++

プロローグ
魔女狩り
スクープを取り続ける新聞記者。ネタ元は警察官か!?
決別の春
電話相談室に放火におびえる少女からの電話が・・・。
疑惑のデッサン
似すぎている似顔絵に隠された意味とは!?
共犯者
訓練中に起きた本当の銀行強盗。強盗"共犯者"の隠された動機とは!?
心の銃口
婦警の拳銃が奪われた。犯人と対峙した平野巡査は拳銃を撃ったのか!?
エピローグ

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【みなさまのご意見】
suzukyuの本棚さん
たこの感想文さん('05/05/16追加)
りょーちの駄文と書評とアフィリエイトさん('05/06/03追加)
本を読む女。改訂版さん('05/07/28追加)
マシュマロのおいしい書斎さん('05/11/10追加)
はぐれ雲さん('05/11/15追加)
雨のち晴れ♪さん('06/01/31追加)
読書と時折の旅さん('07/12/09追加)


「半落ち」横山秀夫

半落ちタイトル:半落ち
著者  :横山秀夫
出版社 :講談社
読書期間:2004/10/23 - 2004/10/25
お勧め度:★★

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+++++

請われて妻を殺した警察官・梶は、死を覚悟していた。全面的に容疑を認めているが、犯行後2日間の空白については口を割らない「半落ち」状態。男が命より大切に守ろうとするものとは何なのか。

+++++

横山さんの長編第一作。短編集「陰の季節」と「動機」の出来がものすごくよくって、長編にとても期待していました。直木賞候補になり、映画にもなって、ものすごい話題作でしたね。しかし、結果は…。なんという中途半端な作品なんだろう。残念。

プロットはいい。調査→起訴→服役という梶の身柄の移動に沿って、章立て毎に梶本人以外の6人の視点で物語が展開。その中に、組織vs個人という構図が見え、組織の中の一人として己を殺しながら行動しなくてはならないもどかしさが読み取れる。組織間の軋轢。そして、全てが閉鎖的で官僚的な組織。

確かに引き込まれる部分はあるのだけれど、この本の骨子は「犯行後の2日間何をしていたのか」そして「なぜ死のうとしたのに死なず、自首を選んだのか」の2点だろう。この2点がうまく書けていないと折角の魅力あるプロットも意味がない。なのに、この2点に割かれたページがラストのわずか十数ページ。あまりの薄っぺらな内容に怒りがこみ上げてきました。

おいしい具材を集めて料理を作ってみたのはいいけれど、最後の味付けに失敗してすべてを台無しにしてしまった感じ。この本に多大な期待をかけ過ぎた、あおちゃんが悪いのでしょうか…。

【みなさまのご意見】
Chocolat Babyさん
読書のススメ〜徒然なる読書記録〜さん
Red Pillさん
758 Not Found Blogが見つかりませんさん
WGBSさん
vapor phaseさん
deepsixさん
Bookshelfさん
moji茶図書館さん('04/12/13追加)
たこの感想文さん('05/06/29追加)
読んだモノの感想をわりとぶっきらぼうに語るBlogさん('05/07/03追加)
灰色の脳細胞さん('05/10/16追加)
アン・バランス・ダイアリーさん('05/10/16追加)
徒然なるサムディさん('05/11/4追加)
マシュマロのおいしい書斎さん('05/11/05追加)
読書ブログさん('06/08/06追加)


「動機」横山秀夫

動機タイトル:動機
著者  :横山秀夫
出版社 :文春文庫
読書期間:2004/07/10 - 2004/07/12
お勧め度:★★★★


陰の季節」に続き発表された短編集。前作同様、短編小説4編が収められています。表題作「動機」は第53回日本推理作家協会賞短編部門賞を受賞。

動機
「刑事も職場を離れれば一個人であるべき」そうした主張から、署内で警察手帳の一括保管を提唱したJ県警本部警務課企画調査官、貝瀬正幸。ようやくテスト導入に漕ぎ付けて間もなく、30冊もの手帳が署内の保管場所から紛失した。犯人は内部か、外部か。記者発表まであと2日。貝瀬は警察組織間の壁を感じつつ捜査を進めてゆく。

逆転の夏
平均的なサラリーマンだった山本。声をかけてきた若い女を高校生と知らずにホテルへ連れ込み、関係したうえ殺してしまう。12年の懲役。妻から見捨てられ、社会から抹消された山本は、自分の手で壊した己の未来を悲嘆しつつも自分は寧ろ被害者であるという意識を捨てきれなかった。ある時、そんな彼に殺人を依頼する電話がかかる。

ネタ元
水島真知子は地方新聞の警察担当記者。自分の記事がもとで、社の部数が大きく減少。確証のない記事を書けという上司。仕事の壁、女性としての壁を感じ鬱々とした日々を送っていたところへ、全国紙からの引き抜きの声がかかる。うれしく思う一方評価されたのは、自分の実力か、それともあの秘密のネタ元なのかと思い悩む。

密室の人
法廷で寝ぼけて妻の名を呼んでしまった裁判官安斎。新聞記者がコラムネタにと動いている。地裁所長は激怒。安斎の現在の若い妻が、再婚の5年前に病死した先妻と親しかったことを責める。もし記事が出たら、今まで築き上げたすべてを失ってしまう。裁判官として常に自分を律してきた安西。しかし所長は安西の左遷を考えている。

陰の季節」では4編すべてD県警を舞台としていましたが、今回は警察物1編、その他3編の構成です。どの作もプロットがよくって最後まで一気に読ませてもらいました。短編小説にありがちな苦しい展開も特に感じず。「陰の季節」の印象が強烈だったので警察物の人なのかなぁって思ってたけど、それ以外の題材も上手く料理できる奥の深さを持った方でした。でも、一番気に入ったのは警察物の「動機」ですが。

読み応えたっぷりの短編 4篇で評価は星4つ。次はいよいよ長編を読んでみます。

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【みなさまのご意見】
たこの感想文さん('05/07/19追加)
本を読む女。改訂版さん('05/10/02追加)
しんの覚え書さん('05/10/02追加)
本のことどもさん('05/10/02追加)
しんちゃんの買い物帳さん('07/10/03追加)


「陰の季節」横山秀夫

陰の季節タイトル:陰の季節
著者  :横山秀夫
出版社 :文春文庫
読書期間:2004/07/08 - 2004/07/09
お勧め度:★★★★


新聞記者を経てフリーライターに転身した著者の初の小説。ノンフィクション作品はこの作品以前に数作発表しています。短編小説4篇が収められており、表題作「陰の季節」で第5回松本清張賞を受賞しています。

陰の季節
警務課人事担当二渡真治は、予定調和であるはずの天下り人事を拒否する大物OBの説得にあたる。なぜその天下りポストに固執するのか。引退説得を一蹴された二渡がOB周辺を探るうち、ある未解決事件が浮かびあがってくる。

地の声
順調な出世街道の最中、病に倒れ監察課に籍を置くことになった新堂隆義。上司より一通の告発文書の調査を命ぜられる。「所轄の警察署安全課長がスナックママと出来ている」。内部告発と当りをつけた新堂は、公安課出身の元部下柳を使って調査を開始する。

黒い線
警務課の七尾友子は、機動鑑識班の婦警、平野瑞穂が無断欠勤していると知らされる。昨日、彼女の作成した似顔絵によってひったくり犯が逮捕され、得意の絶頂にあったはずの彼女に何が起きたのか。彼女の周辺を友子は調査するうち、寮の部屋からは彼女がつけない筈の香水の匂いが…。


秘書課の柘植正樹は、議会にて提出され県警本部長が回答する必要がある質問について事前に情報を収集する「議会対策」が主な仕事。鵜飼という保守系議員が「爆弾質問を投げる」という噂を聞いた柘植は、鵜飼から爆弾内容を聞き出そうとするが相手にされない。爆弾の中身を聞き出すことが出来ないまま、県議会当日を迎える。

4篇ともD県警を舞台にしたものですが、今までの警察小説のように捜査一課の刑事が犯人逮捕のため奮闘する類のものはありません。本書の主人公は、外には見えない警察内部の組織、言ってしまえば雑用をこなす部署に所属しています。今までこのような部署にスポットを当てた警察小説は読んだことがなく、本書は新たな警察小説を開拓したと言えるのではないでしょうか。ほぼすべて寂しい結末を迎えているので読了感は決して良くありません。しかし、人物の描き方、文章構成がしっかりと完成されていてどんどん引き込まれていきました。「陰の季節」も面白かったけど、一番のお気に入りは「地の声」です。

評価は文句なく星4つです。

追伸 : 「Ca file」のコムギさん、横山秀夫さんを推薦してくれてありがとう。

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【みなさまのご意見】
たこの感想文さん('05/06/21追加)
本を読む女。改訂版さん('05/07/25追加)
しんの覚書さん('05/09/30追加)
仙丈亭日乘さん('06/03/27追加)
しんちゃんの買い物帳さん('07/09/26追加)