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「天狗風−霊験お初捕物控(2)」宮部みゆき

天狗風−霊験お初捕物控(2)タイトル:天狗風−霊験お初捕物控(2)
著者  :宮部みゆき
出版社 :講談社文庫
読書期間:2005/09/22 - 2005/09/27
お勧め度:★★★

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一陣の風が吹いたとき、嫁入り前の娘が次々と神隠しに−。不思議な力をもつお初は、算学の道場に通う右京之介とともに、忽然と姿を消した娘たちの行方を追うことになった。ところが闇に響く謎の声や観音様の姿を借りたもののけに翻弄され、調べは難航する。『震える岩』につづく"霊験お初捕物控"第二弾。
積読本一掃月間第8弾。さらに宮部さんの本。とりあえず宮部作品の積読はこれでなくなりました。

霊験お初シリーズの長編第2弾です。前作「震える岩」は赤穂浪士事件を宮部流に再構成したものでしたが、本作はそういうこともなくフリーに書かれ、誰でも楽しめる娯楽大作となっています。

下駄職人の娘が消えた。嫁入り前の娘。神隠しなのか事件なのか。お初が右京之介と調査を始めたさなか、2件目の失踪事件が起こります。今回戦う相手はとても厄介。誰しもが持つ"心の闇"が相手なのだから。その相手にお初はどのように立ち向かっていくのか。

「震える岩」は、僕としては少々やりすぎに感じていましたが、本作は話のテンポといいネタの見せ方といいきれいにまとまっていて見事。前作から引き続き登場する人物たちもキャラがしっかり固まっていて、作中活き活きと動き回ります。といっても、テンポがよくなるのは猫の鉄が出てきてからなのですが。序盤から中盤にかけてはだらだらっと続いてちょっと重たいかも。

鉄のそのポジションを取られて、右京之介の活躍場所がなかったのが残念。お初との恋の行方もやや進展の気配を見せ、今後への展開も期待できそうですが、続編は出るのでしょうか。

+++++

【みなさまのご意見】
葉兎の本棚さん
かみさまの贈り物さん('05/10/07追加)
じゃじゃままブックレビューさん('07/07/30追加)


「淋しい狩人」宮部みゆき

淋しい狩人タイトル:淋しい狩人
著者  :宮部みゆき
出版社 :新潮文庫
読書期間:2005/09/19 - 2005/09/21
お勧め度:★★★

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東京下町、荒川土手下にある小さな共同ビルの一階に店を構える田辺書店。店主のイワさんと孫の稔で切り盛りするごくありふれた古書店だ。しかし、この本屋を舞台に様々な事件が繰り広げられる。平凡なOLが電車の網棚から手にした本に挾まれていた名刺。父親の遺品の中から出てきた数百冊の同じ本。本をきっかけに起こる謎をイワさんと稔が解いていく。ブッキッシュな連作短編集。
積読本一掃月間第7弾。引き続き宮部さんの本。「夢にも思わない」で痛い思いをしたのでしばらく間をあけようかとも思いましたが、積読減らさないと新しい本を買わない!と宣言した手前しぶしぶながら読書をスタート。本書は本好きにはたまらない(?)設定となってます。

東京荒川の土手下にある古本屋「田辺書店」の雇われ店長・イワさんこと岩永幸吉とその孫高校生の稔が主人公の短編集。6編が収録されています。本にまつわるさまざま事件が発生し、それを二人で(主にイワさんが)解決しく。ただ、謎解きがメインではなく、時には祖父と孫、時には親友のようなイワさんと稔のやりとりを楽しむのが主目的のように思います。

爺さんのところに毎週通う高校生。今時ほとんど見られない光景でしょう。宮部さんの祖父に対する思いが入っているのかな。

読み終わるとほのぼのした感じがするのですが、思い起こしてみると暗い話題が多いです。教師の虐待や戦時中の経験、無理心中、模倣殺人などなど。暗い話題をさらりと書く。話の膨らませ方はさすがに巧い。「淋しい狩人」は「模倣犯」の原案になったとかならないとか。

一編一編読むとインパクトは薄いですが、連作で読むとなかなかの出来栄え。これでこけたらしばらく宮部さんから離れようかと思いましたが、引き続き読みたいと思います。

+++++

【みなさまのご意見】
カイ的範囲さん('05/10/04追加)


「夢にも思わない」宮部みゆき

夢にも思わないタイトル:夢にも思わない
著者  :宮部みゆき
出版社 :角川文庫
読書期間:2005/09/16 - 2005/09/18
お勧め度:★★

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秋の夜、下町の庭園での虫聞きの会で殺人事件が。殺されたのは、僕の同級生のクドウさんの従姉だった。被害者には少女売春組織とのかかわりがあったらしい。無責任な噂があとを絶たず、クドウさんも沈みがち。大好きな彼女のために、僕は親友の島崎と真相究明に乗り出した…。中学生コンビの推理の行方は!?好評の古川タク描き下ろしパラパラマンガも収録。
積読本一掃月間第6弾。もう10月に入ってしまいましたが、この本は9月に読みました。恩田さんの次は宮部さんの積読本一掃を狙います。

この本、「今夜は眠れない」の続編のようですが、そちらは未読。途中「今夜は眠れない」のエピソードが出てくる場面があるので、順番通りに読んだ方が面白いかもしれません。

中学生緒方と島崎のコンビが活躍するシリーズで、同級生の従兄弟が殺された殺人事件の謎を追います。自分の気持ちに素直に行動を取る緒方。それに対して、島崎は周りを観察し、冷静に真実に迫ります。事件の真相を追うに従い、人の狡さや世間の汚さを知り、二人の間には微妙な距離が取られていきます。

宮部さんの書く少年たちはとても生き生きしていると誰もが認めるところ。しかし、この事件を扱うのには主人公が幼すぎます。リアリティがなさすぎ。傷つきながらも大人へと成長していく。そういった様を描くにしては内容はややヘビーで、加えてラストに出来すぎの感がありありです。

途中話が間延びしていて読んでいてかったるい気持ちにもなりました。もう少しすっきりと書けなかったものかと。八つ当たりしているようなんだけど、パラパラ漫画もついている意味がよくわからない。久々に外れを引いてしまいました・・・。

※パラパラ漫画が付いているのは中公文庫版。画像は角川文庫版。


「震える岩」宮部みゆき

震える岩−霊験お初捕物控 タイトル:震える岩−霊験お初捕物控
著者  :宮部みゆき
出版社 :講談社文庫
読書期間:2005/07/15 - 2005/07/21
お勧め度:★★★

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ふつうの人間にはない不思議な力を持つ「姉妹屋」のお初。南町奉行の根岸肥前守に命じられた優男(やさおとこ)の古沢右京之介と、深川で騒ぎとなった「死人憑き」を調べ始める。謎を追うお初たちの前に100年前に起きた赤穂浪士討ち入りが……。「捕物帳」にニュー・ヒロイン誕生!人気作家が贈る時代ミステリーの傑作長編。
類稀なる能力を持った女の子・お初が主人公のシリーズ物長編第一弾。お初は「かまいたち」という短編集で既に登場済みだそうですが、そちらは未読です。

岡っ引き・六蔵を兄にもつお初、普段は兄嫁・およしが切り盛りしている一膳飯屋「姉妹屋」の看板娘として働いているが、「人に見えないものが見え聞こえないものが聞こえる」という能力を発揮して事件を解決することしばし。ある日、深川で起きた死人憑き騒動に嫌な胸騒ぎを感じたお初は、根岸肥前守鎮衛から紹介された与力見習・古沢右京之介と共に、この事件の調査を始める。死人憑きの吉次、油樽の中から発見された少女の死体、浅野内匠頭が切腹した跡に置かれた不思議な岩。一見つながりのない話が、「忠臣蔵」を背景に持つとする一つの事件へと修練していく。

宮部さんの書く時代物では市井の人々が生き生きと描かれていて、とても好感を覚えます。長屋暮らしの町民達や飯屋に集う兄さん達。ご本人が深川辺りの出身のため情景描写も細やかで、当時の様子が眼に浮かんできそうです。それに加えて、やはり宮部さんの得意の超能力物、そして「蒲生邸事件」でも見られた歴史事件とのリンクと新解釈。他の方には真似の出来ない新しい時代物となっています。

超能力を持っていればすぐに事件を解決してしまえるはず。なので、探偵役に持ってくるのはずいぶん難しいことに思えます。しかし、そこは宮部さんのこと、巷の不思議な話が好きという奉行・根岸肥前守鎮衛を登場させ(実在の人物)、あくまでお初は奉行の命令で動き回っているとして、存在が浮かないようにしています。奉行に紹介された右京之介との微妙な関係も○。

右京之介とその父との確執、そして右京之介が男らしく成長していく姿もまた見所です。江戸時代の男の生き方を垣間見れます。超能力が出てこない「本所深川ふしぎ草紙」の方が自分の好みに合うのですが、この本も十分に楽しめました。第二弾が出ているようですが、お初が成長を読むのが楽しみです。


「鳩笛草−燔祭・朽ちてゆくまで」宮部みゆき

鳩笛草−燔祭・朽ちてゆくまでタイトル:鳩笛草−燔祭・朽ちてゆくまで
著者  :宮部みゆき
出版社 :光文社文庫
読書期間:2005/05/06 - 2005/05/08
お勧め度:★★★

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他人の心を読むことのできる女性刑事・本田貴子は、その能力ゆえにさまざまな試練に直面し、刑事としての自分の資質を疑ってゆく…。(「鳩笛草」)高校生の妹を殺害された兄に代わって報復の協力を申し出た青木淳子。彼女は、人や物を念じただけで発火させてしまう能力を持っていた…!(「燔祭」)超能力を持つ3人の女性をめぐる3つの物語。
「朽ちてゆくまで」「燔祭」「鳩笛草」の3編からなる中短編集。主人公は未来予知、念力放火、読心といった特殊能力を持つ女性だ。特殊な能力を持つが故の苦悩や悲しみにミステリー的な要素を交え、宮部さんらしい読ませる作品となっている。

書かれている特殊能力自体は目新しくはないのだが、話はとても新鮮だ。それは「超能力=限られた人しか持っていないもの」として捕らえているのではなく、「超能力=誰しもが持っているもの」として話を展開させているからかもしれない。

表題作「鳩笛草」にそれを強く感じる。女性刑事・本田貴子はこれまでのキャリアの要因は、自分の持つ読心力のおかげと信じて疑わない。それが徐々に薄れてきていることを感じる。この能力がなくなった自分は刑事としてやっていけない。それどころかどのような人生を送ることになるのであろうか。今後に対する不安は、例えば野球選手が速い球を投げられるとかサッカー選手が強烈なシュートが打てるとか陸上選手が速く走れることが出来るとかに近い感覚なのではないだろうか。

超能力者自身にとって超能力は特殊でもなんでもない。リアリティある情景、能力を持ったがための悲哀を、圧倒的な筆致で描くことにより特殊能力は特殊でなくなっていく。描き出されるのは特殊な能力を持った極普通の人々であるので、みんなに受け入れられるのではないだろうか。

2編目の「燔祭」は「クロスファイア」へと続くそうだ。「燔祭」の主人公・青木淳子の能力の使用方法は、危うさが見られ興味をそそられた。「燔祭」の内容を忘れぬうちに「クロスファイア」を読んでみたいと思う。

+++++

【みなさまのご意見】


「長い長い殺人」宮部みゆき

長い長い殺人タイトル:長い長い殺人
著者  :宮部みゆき
出版社 :光文社文庫
読書期間:2005/04/18 - 2005/04/20
お勧め度:★★★★★
※画像はカッパ・ノベルス版

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金は天下のまわりもの。財布の中で現金は、きれいな金も汚ない金も、みな同じ顔をして収まっている。しかし、財布の気持ちになれば、話は別だ。刑事の財布、強請屋の財布、死者の財布から犯人の財布まで、10個の財布が物語る持ち主の行動、現金の動きが、意表をついた重大事件をあぶりだす!読者を驚嘆させずにはおかない、前代未聞、驚天動地の話題作。
デビュー作「パーフェクト・ブルー」で犬を主人公にするという離れ業(?)を描いた宮部さん。今回は「財布」が主人公と言うからさらに驚きだ。

ある事件に巻き込まれた人々の持つ財布たち。どれもこれも不思議と持ち主の性格を現している。ぼろぼろに擦り切れた財布。見かけだけ派手な財布。これら財布たちが連作形式で物語を綴っていく。物を語れない財布だけが知る事件の真実。持ち主はそれに気がつかない。読者は両方とも知ることが出来るわけで、財布が話せないもどかしさを感じながら読み進めることになるだろう。

犯人の身勝手さや子供を信じない親。話自体はあまり気持ちのいいものではない。宮部作品はいつもこういった身近な暗部を描き出す。一つ一つの物語自体はクオリティが高い。外堀を埋めつつ本質を浮かび上がらせる描写は、下手をすると全体像が見えずじれったさを感じさせられる。しかし宮部さんにかかれば、それが自分の予想していたのとは違う方向から新たな事実を突きつけられることになり、どんどんページを捲ってしまうという結果になるのだ。

ラストに少し光明が見えたことに救いがあった。何だか財布だけでなく、物を大切にしなくちゃと感じている。

+++++

【みなさまのご意見】


「人質カノン」宮部みゆき

人質カノンタイトル:人質カノン
著者  :宮部みゆき
出版社 :文春文庫
読書期間:2005/04/11 - 2005/04/13
お勧め度:★★★

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「動くな」。終電帰りに寄ったコンビニで遭遇したピストル強盗は、尻ポケットから赤ちゃんの玩具、ガラガラを落として去った。事件の背後に都会人の孤独な人間模様を浮かび上がらせた表題作、タクシーの女性ドライバーが遠大な殺人計画を語る「十年計画」など、街の片隅、日常に潜むよりすぐりのミステリー七篇を収録。
ようやく宮部作品10冊目。40冊超の本が出版されているので、ようやく4分の1といったところか。出版ペースに負けないよう読み進めていかねば。

最後に宮部さんの本を読んだのは、昨年末の「本所深川ふしぎ草紙」なので4ヶ月ぶりとなる。出せば話題になる宮部さんの本だが、本書はその中ではかなり地味な存在だろう。実際、出版当時に話題に上ったのだろうか。

本作は7編からなる短編集。一応ミステリーとなっているが、大きなサプライズはなし。「返事はいらない」と似たような感じで、日常よく耳にする事件をちょっと切ない物語に仕立て上げている。

表題作「人質カノン」。コンビニ強盗の落し物は、赤ちゃんのガラガラ。正直者は損をしてしまうのか。そして、何が正しくて何が間違いなのか。答えは出ない。

タクシー運転手が話す気の長い殺人計画「十年計画」は、宮部さんらしい切り口。だが、ラストが物足りない。売却予定のマンションが水浸しという話の「溺れる心」。落とし所は予想通りで似たような話を過去読んだ気がするが、毎回考えさせられる出来事。

いじめに関するものが3作品あるのだが、そのうち「八月の雪」が一番印象に残る。全7作品の中でも一番。交通事故で片足を失って以来、家に引きこもってしまった少年。たまたま見つけた祖父の遺書の秘密を探るうちに生きる希望を見つけてゆく。思わず簡単に口にしてしまう「頑張って」という言葉が、時には人を傷つけてしまうことがある。そんなことより立ち直るためには、きっかけが必要なのだと強く感じた。

全体的には可もなく不可もなくといった印象。

+++++

【みなさまのご意見】
Fionaのぼやきさん
Manma Mia!diaryさん
ゆうきの読書日記&矯正日記さん
Blank-Diary*さん
ぱんどら日記さん('06/03/07追加)


「本所深川ふしぎ草紙」宮部みゆき

本所深川ふしぎ草紙タイトル:本所深川ふしぎ草紙
著者  :宮部みゆき
出版社 :新潮文庫
読書期間:2004/12/27 - 2004/12/28
お勧め度:★★★★★

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近江屋藤兵衛が殺された。下手人は藤兵衛と折り合いの悪かった娘のお美津だという噂が流れたが…。幼い頃お美津に受けた恩義を忘れず、ほのかな思いを抱き続けた職人がことの真相を探る「片葉の芦」。お嬢さんの恋愛成就の願掛けに丑三つ参りを命ぜられた奉公人の娘おりんの出会った怪異の顛末「送り提灯」など深川七不思議を題材に下町人情の世界を描く7編。宮部ワールド時代小説篇。

宮部みゆきさん初の時代物作品。本所七不思議をテーマに据えた連作短編集。どの短編にも回向院(えこういん)の茂七が登場しますが、飽くまでも脇役的存在で、市井の人々の日常生活にスポットが当たっています。

正直言いましょう。この作品、今まで読んだ宮部作品でマイベストの作品となりました!現代物も面白いけど、時代物はそれに輪をかけて面白かった!

本作に収められた7編では、本所七不思議の謎解きは全くありません。が、それでいてしっかりと各編の芯を形成しています。謎を謎として残したまま、別の物語を形作る。一言で表すのは簡単ですが、どこで折り合いを付け、謎を中途半端にさせずに書くかが難しいはず。

所詮テレビで見る時代劇程度の知識しかないんだけど、目の前に当時の情景が鮮明に浮かび上がってきます。貧しいながらも夢に向かって必死に生きる姿。富を築き上げた父とそれを蔑む娘。主人と使用人の関係。そして夫婦の関係。全編通じて哀しい作品が続くのだけれど、宮部さんの筆致により救いある内容となっています。

最新作「日暮らし」までに数作の時代物が出ているようですね。また人情味が溢れてて、生きていくことの意味を教えてくれる作品を読みたいです。

+++++

【みなさまのご意見】


「龍は眠る」宮部みゆき

龍は眠るタイトル:龍は眠る
著者  :宮部みゆき
出版社 :新潮文庫
読書期間:2004/12/10 - 2004/12/13
お勧め度:★★★

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嵐の晩だった。雑誌記者の高坂昭吾は、車で東京に向かう道すがら、道端で自転車をパンクさせ、立ち往生していた少年を拾った。何となく不思議なところがあるその少年、稲村慎司は言った。「僕は超常能力者なんだ」。その言葉を証明するかのように、二人が走行中に遭遇した死亡事故の真相を語り始めた。それが全ての始まりだったのだ…宮部みゆきのブロックバスター待望の文庫化。
超能力を持った二人の少年(一人は青年といってもいいかも)のお話。超能力のない人間にとって、特殊な能力があるというのはうらやましいこと。しかし、実際にそんな能力をもっていたらどうだろう。超能力を持つが故の苦労と苦悩。そこに過去に傷を持つ雑誌記者と話すことの出来ない女性が絡んできて・・・。超能力を独特の視点で切り取り、宮部さんが巧みに書き綴っています。いつもながら、登場人物(少年)を生き生きと表現されてますね。

SF(超能力)とミステリー(謎解き)を合体させた意欲作。謎解き自体はあまり手の込んだものではなく、直ぐに見抜けますが、二人の少年がどのように絡んでいるのか(もしくは絡んでいたのか)が読ませどころです。

宮部さんの超能力モノといえば「蒲生邸事件」を読みましたが、あまりに突飛なタイムトラベラーの話だったので、面白いながらも今ひとつ乗り切れなかった部分がありました。「龍は眠る」は、幾分話が現実的(!?)なので、すんなりと入り込むことが出来ました。近くにも一人くらいはいそうな超能力者でした。

多少うらやましく思っていた超能力。読み終えて、こんなのなら必要ないなぁと。知らないことは知らないままの方が幸せということもある、ということを痛感。

【みなさまのご意見】


「パーフェクト・ブルー」宮部みゆき

パーフェクト・ブルータイトル:パーフェクト・ブルー
著者  :宮部みゆき
出版社 :創元推理文庫
読書期間:2004/11/18 - 2004/11/20
お勧め度:★★★

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諸岡克彦は私立松田学園高校野球部のエース。地区大会ではノーヒットノーラン試合を達成、夏の甲子園大会出場が期待されている高校野球界のスーパースターである。その克彦が殺害され、ガソリンをかけて燃やされてしまうという凄惨な事件が発生した。現場に出くわした克彦の弟進也、蓮見探偵事務所調査員の加代子、そして俺−元警察犬で今は蓮見家の一員であるマサ−は、事件の真相を追い始めるが・・・。

+++++

横山さんの長編に取り掛かる前に頭の中をリセットするために読みました。宮部みゆきさんのデビュー作にして、元警察犬を物語の語り手に使っているという異色作。デビュー作からして思い切り宮部ワールド全開です。

まずは、ストーリーの展開。登場人物各人の気持ちが少しずつずれた挙句に引き起こされた悲劇。読み手になんでそんなことをするのかともどかしさを感じさせる展開。本来はとても悲しい話なのに、それを悲しく感じさせない文章力。どれを取ってもデビュー作とは感じられないし、数冊読んだ宮部作品でも同様な気がします。

次に、高校生・諸岡進也の生き生きとした姿。優秀な兄と比較され、家族内ではやや疎んじられている存在。普通ならひねくれてしまいそうなのに、確固たる信念と悪を許さない強い心を持った青年。若者を上手く描き出すことで定評のある宮部さんならではの登場人物です。

そして、意外な結末と清々しいラスト。タイトルの由来はあっさりと判ってしまうので、その点についてはやや物足りない気もしますが、殺人事件の結末は意外でした。また、あまり多くを語らないラストが読了後の余韻に繋がっていて、凄惨な事件の割には読了感は心地いいです。

ただ、面白いことは面白いと思うけど、後の作品の方がよく出来ているというのは否めないですね。もうちょっとページ数を割ければ、より深みのある話になった気がします。元警察犬マサ、蓮見加代子の推理が鋭く、展開があまりにも速すぎるような。マサが気付いたことを加代子に(言葉を使わず)伝える描写が書かれていればいいのに。でもなぁ、それだと「三毛猫ホームズ」の犬版になっちゃうのでまずいか・・・。

「興味ある作家の作品は、まずデビュー作から読むべし」という自分の教訓を再確認した作品でした。


【みなさまのご意見】数多くの方が読了されてます。