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「麦の海に沈む果実」恩田陸

麦の海に沈む果実タイトル:麦の海に沈む果実
著者  :恩田陸
出版社 :講談社文庫
読書期間:2006/06/15 - 2006/06/19
お勧め度:★★★★★

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三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。二月最後の日に来た理瀬の心は揺らめく。閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生徒たち。生徒を集め交霊会を開く校長。図書館から消えたいわくつきの本。理瀬が迷いこんだ「三月の国」の秘密とは?この世の「不思議」でいっぱいの物語。
今まで読んだ恩田さんの本の中で一番その世界に入り込めたかもしれません。抽象的で幻想的な世界が展開しています。

「三月以外の転校生は破滅をもたらす」という伝説のある学校に、二月最後の日に転校してきた理瀬。学校には、優れた能力を有するが複雑な家庭事情を持つ生徒たちで一杯だった。その学校では、年に数人の生徒が謎の失踪を遂げ、その行く先はわからないという。彼女が一員となった"ファミリー"でも2名が行方不明となっていた。そして、理瀬の身の回りでも不思議な出来事が発生していく・・・。

何だかいわくありげな学校。その中で生活する生徒たち。恩田さんは閉じた空間を描かせれば、抜群の腕前を発揮すると思っていましたが、この本でさらにその気持ちが強くなりました。発生する事件はそれはそれで興味深いのですが、それ以上に、立ち込める空気感とか現実から半歩ほど浮かんだような浮遊感、先の読めない恐怖感がたまりません。

また、登場する人物たちが実に魅力的です。理瀬、聖、黎二、憂理、ヨハンや校長などメインのキャラクターたちは、見事に書き分けられていて、それぞれが抱えている問題やそれに対する苦悩が実にはっきりと理解できました。彼らの行動の背景には、心の奥底に潜む苦悩があるのだと。校長やヨハンを取り巻く、いかにもな女の子たちも学園モノを引き立てる存在として、地味ながら重要な存在と感じました。

一気に展開するラスト、結末には一抹の寂しさも感じましたが、理瀬やヨハンなど、登場人物たちの今後がどうなったのか、気になって仕方がありません。今「黒と茶の幻想」を読書中、続いて「黄昏の百合の骨」(図書館で借りるつもり)へと進みたいと思います。あぁ、しあわせ・・・。

+++++

【みなさまのご意見】
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ナナメモさん
+++こんな一冊+++さん
本を読む女。改訂版さん
本のある生活さん
たりぃの読書三昧な日々さん
日だまりで読書さん
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hibidoku〜日々、読書〜さん('07/08/12追加)


「劫尽童女」恩田陸

劫尽童女 タイトル:劫尽童女
著者  :恩田陸
出版社 :光文社文庫
読書期間:2006/05/15 - 2006/05/17
お勧め度:★★★

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父・伊勢崎博士の手で容易ならぬ超能力を与えられた少女・遥。彼ら親子は、属していた秘密組織「ZOO」から逃亡していた。そして、七年を経て、組織の追っ手により、再び戦いの中へ身を投じることに!激闘で父を失った遥は、やはり特殊能力を持つ犬・アレキサンダーと孤児院に身を潜めるが―。殺戮、数奇な運命、成長する少女。彼女の行く手に待つのは何か。

タイトルは、「コウジンドウジョ」と読みます。劫尽火−すべてを焼き尽くす地獄の炎−の童女という意味でしょうか。

父・伊勢崎博士の手により、特殊な能力を持って生まれた遥。父娘は秘密組織「ZOO」を抜け出し、逃亡生活を送っていた。必死にその行方を追う「ZOO」の面々。遥は、同じく特殊な能力を持つシェパード犬・アレキサンダーと共に「ZOO」と対峙する。

幼い時期こそ自分の特殊能力を受け入れていた遥ですが、成長するにつれ、なぜ自分にこんな能力があるのかに悩み苦しみます。他人と異なることによる不安と孤独。目の前で繰り広げられる残酷な出来事の数々に、特殊な力を持ちながら無力感に苛まれる遥が哀れです。

物語展開の妙で一気に引き込まれ、序盤から中盤までは面白く読み進めました。しかし、その後はどんどん話が大きくなってついていけなくなり、よくわからないままラストを迎えました。結局、話のタネをたくさんばら撒いたのはいいけれど、逆に話を広げすぎて、深みのないものとなったという感じかも。アレクサンダーとかうまく使えばもっと面白い話になっただろうに、とちょっともったいなかったです。

SFミステリーで得意なジャンルなはずですが、微妙に外れかなぁと感じました。

+++++

【みなさまのご意見】
+ChiekoaLibrary+さん
たりぃの読書三昧な日々さん
たこの感想文さん
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「象と耳鳴り」恩田陸

象と耳鳴りタイトル:象と耳鳴り
著者  :恩田陸
出版社 :祥伝社文庫
読書期間:2006/02/25
お勧め度:★★★

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あたくし、象を見ると耳鳴りがするんです」

退職判事関根多佳雄が博物館の帰りに立ち寄った喫茶店。カウンターで見知らぬ上品な老婦人が語り始めたのは、少女時代に英国で遭遇した、象による奇怪な殺人事件だった。だが婦人が去ったのち、多佳雄はその昔話の嘘を看破した。蝶ネクタイの店主が呟く彼女の真実。そしてこのささやかな挿話には、さらに意外な結末が待ち受けていた。

ねじれた記憶、謎の中の謎、目眩く仕掛け、そして意表を衝く論理!ミステリ界注目の才能が紡ぎだした傑作本格推理コレクション。
表題作を含む12編を収めた短編集。本格モノを意識しつつ、そこに恩田さんなりの独特な味付けがなされています。

本作の主人公は「六番目の小夜子」で登場した関根秋の父・多佳雄。元敏腕判事で推理がさえます。「海にゐるのは人魚ではない」ではちょっとした会話から事件の真相を見抜き、「往復書簡」では書いてる本人さえ意識していない、ちょっとした心の動揺を読み取ります。それでいてチョコ好きで掃除ベタというお茶目な一面も。

また、多佳雄だけでなく、妻・桃代、長男・春、長女・夏、従兄弟・隆一などが登場し、まさに一族郎党総出演状態。しかもみんな秀才。考えられない家族です(秋だけ登場しません)。

この本でもいつもの恩田作品に見られるように謎が謎のまま残るため、これが正解なのかなぁとちょっとすっきりしない感覚があります。慣れると癖になりますが、恩田本初読みだったり裏表紙説明の「傑作本格推理コレクション」に惹かれて手に取ったならどうかなぁと思います。

+++++

【みなさまのご意見】
IN MY BOOKさん
+++こんな一冊+++さん
ひなたでゆるりさん
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ANDANTEさん
本を読む女。改訂版さん
のほ本♪さん
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"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('06/11/06追加)
たこの感想文さん('06/12/11追加)
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「MAZE」恩田陸

MAZEタイトル:MAZE
著者  :恩田陸
出版社 :双葉文庫
読書期間:2006/01/13 - 2006/01/14
お勧め度:★★★

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アジアの西の果て、白い荒野に立つ矩形の建物。いったん中に入ると、戻ってこない人間が数多くいると伝えられている。その「人間消失のルール」とは?謎を解き明かすためにやってきた4人の男たちは、果たして真相を掴むことができるのか?異国の迷宮を舞台に描かれる、幻想的な長編ミステリー。
アジアの西の果て、山奥の荒野に立つ白い建造物。これまでの記録によると、足を踏み入れた人が何人も消えているという・・・。現地の人々に「存在しない場所」「有り得ぬ場所」と呼ばれ、孤立する遺跡。なぜ人は消えるのか? 友人・神崎恵弥の依頼で現地に連れてこられた時枝満は、謎解きを開始する。

思い浮かんだのは映画「CUBE」。単純に建物の形状思いついただけだったのですが、読んでいくとミステリーのようでありホラーのようであり。映画「CUBE」同様緊張してしまいました。

恩田さんの書くミステリーは、読者に答えを任せるようなものが多いですが、この本にはハッキリとした謎解きがありました。ただ、少々拍子抜けだったのですが・・・。

「神崎恵弥」というキャラクター、面白いと思うんだけどあまり生かしきれてないようにも感じました。普通に女性じゃダメだったんだろうかとちょっと疑問です。chiekoaさんのブログによると「神崎恵弥」が出てくる作品があるようなので、そちらに期待してみます。

+++++

【みなさまのご意見】


「ドミノ」恩田陸

ドミノタイトル:ドミノ
著者  :恩田陸
出版社 :角川文庫
読書期間:2005/09/13 - 2005/09/15
お勧め度:★★★★★

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一億円の契約書を待つ、締切直前のオフィス。オーディション中、下剤を盛られた子役の少女。推理力を競い合う大学生。別れを画策する青年実業家。待ち合わせ場所に行き着けない老人。老人の句会仲間の警察OBたち。真夏の東京駅、二七人と一匹の登場人物はそれぞれに、何かが起こる瞬間を待っていた。迫りくるタイムリミット。もつれ合う人々、見知らぬ者同士がすれ違うその一瞬、運命のドミノが次々と倒れてゆく!抱腹絶倒、スピード感溢れるパニックコメディの大傑作。
積読本一掃月間第5弾。恩田陸さんの積読本はこれが最後。なんとも楽しい作品が最後を飾ってくれました。

それほど厚くない本書に登場人物が総勢28人+1匹。人物名を覚え切れるのか、それぞれ個性を持って書かれているのかと思って読み始めましたが、そんな心配は杞憂でした。最初こそ頭に入るまでは名前と性格が一致しませんでしたがすぐに慣れ、全員に感情移入しながら読み勧めました。読後冒頭の登場人物紹介を読み直すと、そのキャラが話したと思われる一言が人となりをよく表していることがわかりました。

舞台がこのお話にふさわしい東京駅。何の関係もない人々がすれ違う場所。いつどんな拍子でそれぞれの人が係わることになるのかわからない。それがとても面白い。保険会社の従業員、ネットのオフ会で待ち合わせする男性たち、子役オーディション帰りの二組の親子、ミステリー研究会の3人、そして・・・。これらの人々がクライマックスへ向けて一気に収斂していく。どれシーン一つ取っても無駄がなく、ラストまでのスピード感を十分に味わうことが出来ました。

テレビで見るドミノと違い、本作はたくさんのスタート地点があるドミノです。途中各々が合流・分岐を繰り返しながら最後に一つの流れになるのを十分に堪能ください。常々感じてたことですが、ファンタジー系よりもやっぱりこの手の作品の方が肌にあいます。恩田さんの幅の広さはすごいと思いますが。

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【みなさまのご意見】
読んだものをわりとぶっきらぼうに語るblogさん
本のことどもさん
たこの感想文さん
本のある生活さん
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Grave of memoryさん('05/10/31追加)
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多趣味が趣味♪さん('06/06/26追加)
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ぱんどら日記さん('06/09/25追加)
まろ茶らいふるさん('06/11/08追加)
肩の力を抜いてさん('08/02/28追加)


「ライオンハート」恩田陸

ライオンハートタイトル:ライオンハート
著者  :恩田陸
出版社 :新潮文庫
読書期間:2005/09/09 - 2005/09/12
お勧め度:★★★

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いつもあなたを見つける度に、ああ、あなたに会えて良かったと思うの。会った瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ…。17世紀のロンドン、19世紀のシェルブール、20世紀のパナマ、フロリダ。時を越え、空間を越え、男と女は何度も出会う。結ばれることはない関係だけど、深く愛し合って−。神のおぼしめしなのか、気紛れなのか。切なくも心暖まる、異色のラブストーリー。
積読本一掃月間第4弾。さらに恩田陸さんの本。3週間ほど前に読んだので内容を忘れ気味。

物語はロンドン大学の名誉教授エドワード・ネイサンが失踪したことから始まります。忽然と姿を消した彼の書斎に残された白いハンカチーフと紋章入りの便箋。便箋には一語だけ"LION HEART"と記されており・・・。彼の周囲の人間は、書斎に残されたものを頼りに行方を追います。

SF小説と恋愛小説をミックスした内容。その意気込みは買うのですが、章ごとに行きつ戻りつする時代構成に戸惑い気味です。描かれる情景も美しいのですが、それだけのもので目に浮かぶほどでもなし。それは自分の経験不足(海外旅行経験が台湾のみ)のせいかもしれませんが、話に入り込めない大きな理由は全体的に説明不足だからかもしれません。

時代を超えた愛、面識のない者どおしが惹かれあう。素敵なお話じゃないですが。でも、素直に入り込めない。常に"なぜ"が付きまとうからです。なぜこの2人なんだろう。なぜ出会ってすぐに別れなくてはならないのだろう。なぜ時を超えて同じ出来事が繰り返すのだろう。

で、極め付けなのが小道具として登場するハンカチーフがどのようにして手から手へと渡っていくのだろうということ。同じものではないのだろうが、何も説明なしで進められるのはあまりにも唐突であるし、キーとなるはずなのにあまりにもぞんざいな扱い。

すべてを説明してしまっては成立しないのは重々承知なのですが、もう少しそれとない説明があっても・・・。読了後にもやもや感が残った一冊。世間の評価は高いのですが、この手のお話にはあまり向いていないのかもしれません。


「ネバーランド」恩田陸

ネバーランドタイトル:ネバーランド
著者  :恩田陸
出版社 :祥伝社文庫
読書期間:2005/09/02 - 2005/09/03
お勧め度:★★★★

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舞台は、伝統ある男子校の寮「松籟館」。冬休みを迎え多くが帰省していく中、事情を抱えた4人の少年が居残りを決めた。ひとけのない古い寮で、4人だけの自由で孤独な休暇がはじまる。そしてイブの晩の「告白」ゲームをきっかけに起きる事件。日を追うごとに深まる「謎」。やがて、それぞれが隠していた「秘密」が明らかになってゆく。驚きと感動に満ちた7日間を描く青春グラフィティ。
積読本一掃月間第2弾。忙しさにかまけて感想が書けてないですが、この本は月初に読みました。

恩田さんは学園モノがうまいと巷で評判ですが、僕はそれよりも閉じこもった空間の描写が抜群に巧い方と思っています。この本もそう。全編とある男子校の寮「松籟館」が舞台。みんなが帰省する中、冬休みに居残りを決めた事情を持つ4人。誰から好かれる美国、常に客観的に物事を見ている光浩、万事なんとかなるさと大らかな寛司、十分と同じことを続けていられない統。タイトル「ネバーランド」=「松籟館」と想像してファンタジックな展開になるのかと思いきや、それとは真逆の展開に・・・。

仲がいいのだけどお互いに秘密を打ち明けるほどではない4人ですが、同じ時間を共有することで連帯感が生まれて、今まで言えなかった秘密を話していく。青春モノの典型のような展開ですが、その秘密は自分の生い立ちであったり、トラウマであったりとかなりドロドロな内容です。特に光浩に至ってはやりすぎなような気が・・・。しかし、そこは恩田さん、ドロドロ具合を中和してカラっとさわやかな内容に仕上げています。

高校時代ならではの大人でも子供でもない微妙な時期を爽やかに描いている本。やや男子校という舞台と男子生徒を美化されているような気がしないでもないけど、他愛もないことで徹夜なんかが出来た学生時代を思い出して懐かしくなりました。

+++++

【みなさんのご意見】
紫微の乱読部屋 at blogさん
本を読む女。改訂版さん
ナナメモさん
本のある生活さん
まろ茶らいふるさん('05/10/02追加)
アマガエルの日記さん('05/10/16追加)
苗坊の読書日記さん('06/02/28追加)
多趣味が趣味♪さん('06/07/06追加)
サラリーマンの読書エッセイさん('06/08/11追加)
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('06/09/04追加)


「puzzle」恩田陸

puzzleタイトル:puzzle
著者  :恩田陸
出版社 :祥伝社文庫
読書期間:2005/09/01
お勧め度:★★★

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学校の体育館で発見された餓死死体。高層アパートの屋上には、墜落したとしか思えない全身打撲死体。映画館の座席に腰掛けていた感電死体−コンクリートの堤防に囲まれた無機質な廃墟の島で見つかった、奇妙な遺体たち。しかも、死亡時刻も限りなく近い。偶然による事故なのか、殺人か?この謎に挑む二人の検事の、息詰まる攻防を描く驚愕のミステリー。
9月は積読本一掃月間だぁってことで、まずは恩田さんの作品を読むことにしました。この後数冊恩田作品が続きます。

本書「puzzle」は祥伝社創刊15周年記念特別書下ろし。テーマ競作「無人島」の中の一作品になってます。廃墟の島で見つかった数対の遺体。そのどれもが、その場にふさわしくない方法で死んでいる。殺人なのかそれとも事故なのか。キーとなるのは遺体が一枚ずつ持っていた関連のない新聞記事のみ。数個のpuzzleのピースから、結論を導くことが出来るのか−。

主人公は2人の検事、黒田と関根春。そのうち関根春はたしか「六番目の小夜子」に出てきましたよね?頭脳明晰で鋭い一言を発する人物でしたが、本書でもそのままの人物像。どちらかというと黒田がメインで、関根春はサブと思いますが。

廃墟で見つかった奇妙な遺体、巧みな文章と引き込まれる要素はあるのですが、如何せんラストが・・・。こんなんでいいの?とある意味驚愕の結末。ワンアイディアで書いてしまったんだろうなぁ。いやそれよりページ数が足りなくて書き込めなかったからかな。舞台設定がよかっただけに、ややもったいない印象。

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【みなさまのご意見】
たこの感想文さん('06/07/24追加)
多趣味が趣味♪さん('07/07/30追加)


「上と外」恩田陸

上と外(1) 素晴しき日々上と外(2) 緑の底上と外(3) 神々と死者の迷宮(上)上と外(4) 神々と死者の迷宮(下)上と外(5) 楔が抜ける時上と外(6) みんなの国
タイトル:上と外(全6巻)
著者  :恩田陸
出版社 :幻冬舎文庫
読書期間:2005/06/22 - 2005/06/28
お勧め度:★★★★★

1巻 → [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]
2巻 → [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]
3巻 → [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]
4巻 → [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]
5巻 → [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]
6巻 → [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]


両親の離婚で別れて暮らす元家族が年に一度、集う夏休み。中学生の楢崎練は久しぶりに会う妹、母とともに、考古学者の父がいる中央アメリカまでやってきた。密林と遺跡と軍事政権の国。四人を待つのは後戻りできない「決定的な瞬間」だった。全五巻書き下ろし、隔月の連続刊行、熱狂的面白さで読者を魅了する恩田ワールドの決定版、待望の第一巻。
全6巻からなる大冒険劇(5巻の予定が1巻増えた)。隔月刊行されたようだが、リアルタイムに読んでいた方は次刊が出るのが待ち遠しくて待ち遠しくてしょうがなかったことだろう。それほどに読み始めるとはまるお話。

錬と千華子の兄妹は両親の離婚でそれぞれ父、母に引き取られた。家族が一同に会すのは年に一回夏休みに、父の働く国でと決まっていた。今年の旅は中央アフリカ。いつもと変わらない旅行のはずがクーデターに巻き込まれ、錬と千華子は密林の中へ放り出されてしまう・・・。

これでもかと降りかかる災難の連続を兄妹が力をあわせてクリアしていく。緊急事態に一人ではないということがなんとも心強いことか。互いに補い合って時には冷静に時には大胆に。力をあわせることで、1+1が2以上になることを証明してくれる。

著者は(今はどうかわからないが)外国に行ったことがないと書かれていた。むせ返るような密林の熱気、魅力的な遺跡の光景を読んで誰がそのように思うだろうか。読書家の著書のことだから色々な文献で下調べをして本書の執筆に当たったに違いない。

ファンタジーとリアリティの両方を楽しめるお得な本。一冊150ページほどなので読み始めるとほんの2,3時間ほどで終わってしまう。ちょうどいい長さだ。一日一冊ずつ読んで、錬や千華子と一緒に6日間の旅に出るのもよいのではないだろうか。

※しばらく前までは入手困難だったようですね。今はマシになったのかな。いずれにしても、古本屋で見つけたら即買いですよ。

+++++

【みなさまのご意見】
deepsixさん
3307ノートさん
本を読む女。改訂版さん
多趣味が趣味♪さん('06/07/06追加)
+ChiekoaLibrary+さん('06/09/19追加)
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('07/11/07追加)
新・たこの感想文さん('08/02/17追加)


「木曜組曲」恩田陸

木曜組曲タイトル:木曜組曲
著者  :恩田陸
出版社 :徳間文庫
読書期間:2005/06/09
お勧め度:★★★★

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耽美派小説の巨匠、重松時子が薬物死を遂げてから、四年。時子に縁の深い女たちが今年もうぐいす館に集まり、彼女を偲ぶ宴が催された。ライター絵里子、流行作家尚美、純文学作家つかさ、編集者えい子、出版プロダクション経営の静子。なごやかな会話は、謎のメッセージをきっかけに、いつしか告発と告白の嵐に飲み込まれてしまう。はたして時子は、自殺か、他殺か―?気鋭が贈る、長篇心理ミステリー。
長い間放置状態にしていた本書であったが失敗した。もっと早く読めばよかった。これはかなり面白い。

4年前に起きた巨匠・重松時子の謎の死。死に居合わせた5人の女性たちは、それぞれの思いを抱きつつ日々生活してきた。毎年命日の週の木曜日を含む3日間に時子を偲ぶ会を開いていた5人だったが、4年目の集まりは例年とは違った。5人に宛てた謎の花束。これをきっかけに今まで心にとどめていた疑念をお互いぶつけ合う。時子は本当に自殺したのだろうか・・・。

物語の舞台は一軒家。特にどこか違う場所に話が飛ぶわけでもない。ただただ罵り合いまで行かないものの5人の女性が突っ込んだ意見交換を繰り広げるだけの話なのだが、緊張/弛緩の連続で行きつく暇もなく読ませてくれる。5人の視点から見た謎の死を書き分けることによって、自殺と他殺が二転三転して行き、最後にはどこまでが正しくてどこからがウソなのかはっきりしなくなってしまった。

登場人物は皆物書きを生業としている。人物の書き分けが難しいところだがしっかりと個性を感じられることが出来、恩田さんの力量というものをうかがい知ることが出来るだろう。恩田さんはどの人物に自分を重ねて書いているのだろうか、と考えながら読むのも面白いのではないだろうか。

ファンタジーっぽいのを読む機会が多かったせいで自分の中の印象が固まっていた恩田さんであったが、その印象が崩壊した。何とも懐の深い作家さんである。

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【みなさまのご意見】