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「ラッシュライフ」伊坂幸太郎

ラッシュライフタイトル:ラッシュライフ
著者  :伊坂幸太郎
出版社 :新潮ミステリー倶楽部
読書期間:2004/08/26 - 2004/08/27
お勧め度:★★★★


デビュー作「オーデュボンの祈り」に続き発表された本作。先に巷で評価の高かった「重力ピエロ」を読んだけど、自分としてはそこまでは・・・という評価です。こう突き抜けた面白さってのをどの本からも読んでも感じてないんだなぁ。伊坂さんの本は、自分には合わないのではないかと思ってました。

で、まず結論を言ってしまうと、この本はとても面白いのでお勧めです!いやー、伊坂さんの本が自分に合わないって事はないようだ。今まで読んだ伊坂作品の中(といっても4冊目だけど)で間違いなくベスト。たくさんの登場人物たちが、5つの全く独立した物語−瞬間移動する泥棒の話、拳銃を拾った失業者の話、神を解体する信者の話、殺人者になろうとする男女の話、富豪の話−を展開するんだけど、最後にすべてが繋がります。とまあ、これだけ聞くとミステリとしてはよくある手法じゃないかと思いますが、想像をしていたのとは違う繋がりをみせてくれます。最初から全部考えているんだろうなぁ。巧い!

時間軸がやや複雑で、7割くらい読んでもまだどう結論に向かうのかはっきりしなかったのだけど、1つ繋がるとそれはもうドミノを倒したようにラストまで。それぞれの物語中に張られている伏線は、その物語だけ読むとどういうこと?と多少違和感を持つだけれど、読み進めるとピタッとはまる部分があり、あーこの場所に繋がるのかぁと、まるでジグソーパズルが組みあがっていくような爽快感があります。

読了感はとてもさわやか。肩肘張らず軽い気持ちで読むのがいいんじゃないでしょうか。

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【みなさまのご意見】
たこの感想文さん('05/05/16追加)
Sheep Trackさん('05/05/18追加)
本を読む女。改訂版さん('05/06/20追加)
活字中毒日記!さん('05/07/21追加)
*モナミ*さん('06/09/04追加)
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('06/10/21追加)
Moving Planet(惑星ブログ)さん('06/10/23追加)
ヤサシイケド、ツライヨ。さん('06/11/06追加)
本を読もうさん('07/03/26追加)
しんちゃんの買い物帳さん('07/09/26追加)


「重力ピエロ」伊坂幸太郎

重力ピエロタイトル:重力ピエロ
著者  :伊坂幸太郎
出版社 :新潮社
読書期間:2004/08/03 - 2004/08/05
お勧め度:★★★


実はこれが読みたくて伊坂さんの本を読み始めました。"ミステリ作家はデビュー作に力量が現れる"と思ってて、なるべく発表された順番に読むことを心がけています。まず、この作品以前のものを全部読もうと思い、「オーデュボンの祈り」と「陽気なギャングは地球を回す」を手にしました。で、いよいよ本作。「ラッシュライフ」が抜けちゃいましたが、他2作品から伊坂さんは"独特な世界を持っている作家"という印象を持ってます。

本作品は第129回直木賞候補作となっています。また、「このミステリーがすごい!2004(別冊宝島編集部)第3位、「傑作ミステリーベスト10(週刊文春)」第4位、「本屋大賞2004(本の雑誌編集部)第5位に選ばれています。

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「兄貴の会社が放火に遭うかもしれない。気をつけたほうがいい」弟・春から留守番電話にメッセージが吹き込まれていた。果たして春の予言は的中、いぶかしがる私。そんな私に春は、最近仙台市内を賑わしている連続放火事件にはある一定のルール−近くに落書きが存在する−を発見したというのだ。私と春、病床の父はそれぞれの方法で連続放火犯人を追う。

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すごい期待をして読み進め、あっという間に読み終わりましたが、巷の評価ほどの傑作かなぁという感想です。まずまずでしょうか、面白いことは面白いです。ミステリーの名の付く賞に名を連ねてるけど、言っておきます。「この作品はミステリーではありません」パズル的謎解き部分はあるけど、どれもこれもほとんど予想の範囲内のことで、しかも散りばめられた伏線をきちんと読んでいれば大体わかってしまいます。「えっ・・・」となるようなことを期待して読んだらがっかりしますよ。僕がそうでしたから、、、。

扱っているテーマは"強姦"、"遺伝子"、"家族"、"生と死"などです。この本で一番書きたかったことは"家族の愛情"じゃないかと思います。弟を中心とし兄、父、そして亡くなった母の微妙な関係と家族の絆。あまり深く特化して書きすぎると臭くて重いものになりがちだけど、そこは伊坂さん、洒落たセンスよい文体と、いくつもの短い断章の中で語られるエピソードの積み重ねがテンポよくて、重さを感じさせません。

本作を読んで、伊坂さんが独特な世界を持っているのは間違いないと思いました。今回はまずまずという評価だけど、次回作以降も読んでいこうと思います。

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【みなさまのご意見】
イラストつきブックレビュー BOOKS@EVERYGROUNDさん('05/10/18追加)
ぱんどら日記さん('06/05/06追加)
たこの感想文さん('06/07/14追加)
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('06/08/06追加)
玉葱の本棚さん('06/09/04追加)
日だまりで読書さん('06/12/17追加)
きつねの本読みさん('07/01/30追加)
仙丈亭日乘さん('07/02/28追加)
本を読もうさん('07/03/29追加)


「陽気なギャングが地球を回す」伊坂幸太郎

陽気なギャングが地球を回すタイトル:陽気なギャングが地球を回す
著者  :伊坂幸太郎
出版社 :祥伝社ノン・ノベル
読書期間:2004/07/30 - 2004/08/02
お勧め度:★★★


オーデュボンの祈り」を読んで、その独特な雰囲気を持つ作品を早く読みたいと思ってました。刊行された順番に読もうと、と思って本作を買ったものの、実は「ラッシュライフ」の方が先なのね・・・。他にもいろいろ本を買ってしまい(重力ピエロも買ってしまった)、積読することもできないので読み始めてしまいました。

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市役所勤めの「人間嘘発見器」・成瀬、演説と嘘の名人で喫茶店店主・饗野、動物をこよなく愛する天才スリ青年・久遠、正確無比な体内時計を持つ1児の母・雪子。四人はひょんなことから出会い、これまたひょんなことから銀行強盗を始める。そろぞれの特技を生かした綿密な計画により、連勝街道まっしぐらだった。今回もいつもと同様に上手くお金を奪った成瀬らであったが、逃走中に別の強盗団の車と接触事故を起こし、お金と車を奪われてしまう。お金を取り戻そうと、久遠が強盗団の一人からすった免許証を元に探し始めるが・・・。

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なによりキャラクター設定が面白い。読んでいてなんとな〜くルパン三世が浮かんできました。こんな人いるわけない。ましてや偶然出会うなんてって思うけど、なぜかすぐに感情移入できて、すーっと本に引き込まれてしまう。強盗物だけど暗さは全くなく、逆に実にウィットに飛んだ会話を交わす、妙に明るい四人です。こんな銀行強盗なら騙されてみたい、なんて思ったりして。

周りを固めるサブキャラクター達も一本筋の通った人たちばかり。書きすぎてくどくならない程度に人物説明をしているのがいいのかな。

重厚な本格ミステリーとは違って、スピード感や軽さ、読みやすさを追求した作品。著者があとがきで「90分くらいの映画が好き」と書いているけど、まさに本作はそれを小説で書くとこうなるよ、ってことを示そうとしたのでしょう。

至る所に散りばめられた伏線(やや都合がいいように感じるかもしれませんが)を拾い集めながら最後の展開に持っていくのは、「オーデュボンの祈り」と同様で、とても上手です。ミスリードを誘う凝った手法など全く使っていないので、ミステリーを読みなれた人だと途中でわかってしまうかも。でも、この作品はそれでいいのです。スピード感が命ですから。

さわやかな読了感を得たい人、読んでみたらいかがでしょうか。あおちゃんはもう少し読み応えのあるもののほうが好きですが、十分楽しませてもらいました。早く次の長編が読みたいってことで星は三つにしておきます。伊坂さんはまだまだこんなものではないはず。次は「重力ピエロ」の予定。

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【みなさまのご意見】
40歳からのクローン病さん
BED FUCKERS!!!!!!!さん
イラストつきブックレビュー BOOKS@EVERYGROUNDさん('05/10/18追加)
たこの感想文さん('06/03/07追加)
本を読む女。改訂版さん('06/03/10追加)
ぱんどら日記さん('06/03/10追加)
ホンニホノジさん('06/05/16追加)
苗坊の読書日記さん('06/08/28追加)
粋な提案さん('07/01/26追加)


「オーデュボンの祈り」伊坂幸太郎

オーデュボンの祈りタイトル:オーデュボンの祈り
著者  :伊坂幸太郎
出版社 :新潮文庫
読書期間:2004/07/01 - 2004/07/06
お勧め度:★★★


本屋さんで平積みされていて、その紹介文が目を引いたので購入しました。著者は本作品でデビュー、第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しています。

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コンビニ強盗に失敗し逃走した伊藤は、気絶から冷めると"荻島"という孤島にいた。日本が鎖国を解くのに逆行して、一部を除き外界との交流を絶った"荻島"には、こっちの世界とは違うルールが存在し、奇妙な人間が住んでいた。何のために自分はこの島に連れてこられたのか−自問する伊藤は、日比野と名乗る男の案内で島の様子をいろいろ見てまわり、そこで優午と出会う。この世のあらゆる情報を知り、未来さえ見通すことの出来る優午は、人間の言葉を話す「生きたカカシ」として島の人々から崇められていた・・・。

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設定自体がものすごく現実世界と懸け離れています。生きたカカシの優午、島のルールで殺人すら容認されている桜、嘘しか言わず毎日同じ行動を取る画家園山、などこちらの世界では考えられません。文体は淡々と情景描写していく感じでスピード感はあまりありませんが、風景描写はかなり上手く目の前にその風景が浮かんでくるくらいです。

今までに読んだことのない雰囲気を持つ本です。半分くらい読み終えても今後の展開が全く読めませんでした。ややインパクトは欠けますが、登場人物の持つ不可解な行動が最後にはすべて辻褄が合い、ミステリーとしては一級と思います。今後の作品を早く読みたくなりました。

【みなさまのご意見】