タイトル:プリズンホテル 春
著者 :浅田次郎
出版社 :集英社
読書期間:2007/12/12 - 2007/12/16
お勧め度:★★★
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義母の富江は心の底から喜んだ。孝之介が文壇最高の権威「日本文芸大賞」の候補になったというのだ。これでもう思い残すことはない…。忽然と姿を消した富江。その行方を気に病みながらも、孝之介たちは選考結果を待つべく「プリズンホテル」へ。果たして結果はいかに?懲役五十二年の老博徒や演劇母娘など、珍客揃いの温泉宿で、またしても巻き起こる大騒動。笑って泣ける感動の大団円。
シリーズ完結作。文学賞の最高権威「日本文芸大賞」候補にあがったのを機に姿を消した義母。その行方を気にしながら「プリズンホテル」で結果を待つが・・・。
義母に対して母とは思わない言動や暴力を振るっていた小説家・木戸孝之介ですが、実際いなくなられてその存在の大きさを知ることとなります。自分を本当に愛していたのは誰か。前作で愛されることを知ることで愛することを知った孝之介が、ようやく義母に愛情を向けようとしたところだったのにいなくなるなんて・・・。賞の行方も気になりましたが、義母はどうしているのかの方がより気になりました。
メインの話に絡む半世紀の懲役明けの博徒の話や演劇に情熱を燃やす母娘の話は、メインの話に押されて少々かすんでいたような気がします。特にチンチロリン(=サイコロ博打)の話は長すぎて少々間延びしてました。もう少しメインの話に絞って展開していたら、ラストで涙が流れたかも。
ただ、滑稽な中に人間味あふれる人々が行き交う話は読んでいてとても楽しかったです。実は著書の作品は初読みでした。初期の作品といってもよいこの本で既にこの完成度はすごいなと思います。「全作品制覇しよう」とまで思うには至りませんでしたが、話題になった本には手を伸ばしてみようと思います。