タイトル:プリズンホテル 冬
著者 :浅田次郎
出版社 :集英社
読書期間:2007/12/10 - 2007/12/12
お勧め度:★★★
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阿部看護婦長、またの名を“血まみれのマリア”は心に決めた。温泉に行こう。雪に埋もれた山奥の一軒宿がいい…。大都会の野戦病院=救命救急センターをあとに、彼女がめざしたのは―なんと我らが「プリズンホテル」。真冬の温泉宿につどうのは、いずれも事情ありのお客人。天才登山家、患者を安楽死させた医師、リストラ寸前の編集者。命への慈しみに満ちた、癒しの宿に今夜も雪が降りつもる。
シリーズ第三弾。登場するのは、救急センターで人の命を救い続ける看護婦、患者を安楽死させた医師、冬山に挑み続ける登山家、いじめに悩む小学生。
雪に埋もれたプリズンホテルを訪れたお客様は、各者各様に生と死を見つめています。なぜ人を救うのか。生きる権利に死ぬ権利。重たい話題ですが、著者にかかればさらりと読ませてもらえます。
幾多の修羅場を潜り抜けてきたヤクザの親分でさえ自分の死の影に怯えているのに、それに引き換え小説家の愛人・清子は母や娘が助かれば自分の命などよろこんで差し出すという無償の愛をみせます。愛に飢えている小説家は、その姿を見て自分の気持ちに素直になって・・・。
シリーズも三作目ともなればマンネリ化は否めないはずなのに、毎回新鮮に楽しませてもらっています。いよいよ次作で完結。大団円の"春"を迎えられるでしょうか。
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