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「邂逅の森」熊谷達也

邂逅の森タイトル:邂逅の森
著者  :熊谷達也
出版社 :文藝春秋
読書期間:2006/04/13 - 2006/04/18
お勧め度:★★★★★

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「家に帰って、妻の手を握りたい」熊に足を喰われ、朦朧とする意識の中で富治はそのことだけを考えた。奔放に生きてきた富治を巨大熊に向かわせたものは何か。俊英がおくる感動の物語。
「空中ブランコ」と同時直木賞受賞作。「空中ブランコ」と比べると地味な印象がありますが、読み応えたっぷりでかなりオススメ。

大正から昭和初期、秋田県阿仁町打当のマタギ・松橋富治の生涯を描いた長編小説。序盤は、身を置くマタギ組織、善之助組のシカリ(頭領)・鈴木善次郎と獣を殺す旅を続ける話が展開していきます。マタギとはどんな集団か、どんなスタイルで獣をしとめていくのかなど技術的なこと、山には神様が住んでるとして、山に入る前は身を清めて女性との関わりを絶つ信心深さ、山に入ってからもじっと身を潜める忍耐強さといったマタギの精神などが書かれており、知識として興味深い内容です。

エンターテインメントとして話が一気に面白くなるのは中盤から。祭りで出会った地元名士の娘・文枝と恋仲になり、密会を繰り返す日々。密会がばれて村を追われ、鉱夫に身を転ずる富治。鉱山で暮らしながらもマタギとして生きた日々が忘れられず、数年後鉱夫を辞めてマタギとして再出発をします。鉱山では今後の生涯を左右する見習い鉱夫・小太郎と出会い、さらにはその姉・イクとの出会いと結婚が富治を心を大きく変えていきます。

主人公は富治ですが、イクの存在はそれを凌ぐ物があります。わずか十二歳で女郎屋に売られた薄幸の女性・イク。厄介者として疎んじられてきましたが、富治との結婚で別人のように変貌を遂げ、陰で支える健気な妻となります。女性が女性として扱われない時代にあって、とても力強く生きる女。圧倒されるほどの迫力です。

そして物語はクライマックスへ。山の主・コブクロとの壮絶な戦いです。何度撃っても一向に倒れない大熊・コブクロ。ついにコブクロは富治を倒し、その右足を喰らいはじめます。自分の体が熊に食われてるような痛さと戦慄を覚えます。

文化・時代背景など重いテーマを、読みやすくかつここまで読み応えある小説に書き上げられたのは、東北に育ち、その文化と風土を大切に思っている著者だからこそではないでしょうか。自然というのは人間の考えを遥かに凌ぐ大きなチカラを持っていると深く感じました。

400ページを超える長編ながら一気に読めること間違いなし。冒頭にも書きましたがかなりオススメですので、未読の方は是非どうぞ。

+++++

【みなさまのご意見】
のほ本♪さん
図書館で本を借りよう!〜小説・物語〜さん('06/05/23追加)
日記風雑記書きなぐりさん('06/05/23追加)
本のある生活さん('06/06/04追加)
たりぃの読書三昧な日々さん('06/08/25追加)


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comment

地味ですが読み応えがありました!
登場人物の懸命さとかピュアな感情が、よかったです。
それにしてもクライマックスの大熊との対決シーンは、
読んでいるだけで痛かったです。
でも、立ち向かう富治の気持ちはわかるんです。
いい本でした。

  • june
  • 2006/06/03 10:58 AM

■juneさん
それほど期待せずに読んだのですが、アタリでした!!
即効で熊谷さんの別の著作を買ってきたくらいです(まだ読んでませんが・・・)
山あり谷ありでエンタメとしても読み応えがあるし、
何より時代背景がしっかり描かれているのがよかったです。
おそらく直木賞を取った割りにあまり読まれていないと思うので、
もっと読まれて欲しいなぁと思っています。

  • あおちゃん
  • 2006/06/04 9:27 PM








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trackback

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  • 図書館で本を借りよう!〜小説・物語〜
  • 2006/05/23 1:15 PM

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  • 日記風雑読書きなぐり
  • 2006/05/24 11:31 PM

「邂逅の森」熊谷達也

邂逅の森 直木賞作品だから読みやすくておもしろいんだろうな・・と気にはなりながらも、地味な表紙とタイトルにすっかり後回しになっていました。東北の山で狩猟をするマタギが主人公ということで、なじみのない設定にすんなり入ることができるか不安だったのです。

  • 本のある生活
  • 2006/06/03 10:58 AM

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  • たりぃの読書三昧な日々
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