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「道路公団民営化を嗤う―これは改革ではなく成敗である」諏訪雄三

道路公団民営化を嗤う―これは改革ではなく成敗であるタイトル:道路公団民営化を嗤う―これは改革ではなく成敗である
著者  :諏訪雄三
出版社 :新評論
読書期間:2005/02/18 - 2005/02/22
お勧め度:★★★★★

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だれが英雄でも、だれが悪者でもない。政権浮揚策として民営化でもてあそばれた日本道路公団は、私達の資産だった−。民営化の意思決定の過程、藤井総裁の更迭など、民営化の舞台裏を3年間にわたって取材した記録をまとめる。

2001年に小泉内閣が発足し、「聖域なき構造改革」の目玉として取り上げられた道路公団民営化。国民の期待が大きかったのだが、結果として従来と比べ、「建設費の削減」、「高速料金の値下げ」など、わざわざ民営化などしなくても出来るようなことが決まっただけで終わってしまった。本当に改革をしたかった部分−料金収入で高速道路を建設するのを止めること−には、何らメスが入らなかったのだ。

3年間という月日、そして総額数百億にのぼるお金をかけて調査・検討したにしてはお粗末としか言いようがないこの内容。本書では、国土交通記者会に属する共同通信社の記者である著者が、小泉内閣発足から3年間に渡る道路公団民営化の議論を時系列に克明に記録している。

「小泉総理vs道路族議員」、「民営化委員vs今井敬民営化委員会委員長」、「石原国土交通相vs藤井道路公団総裁」という対立図式が、それぞれ前者が善、後者が悪としてマスコミ報道された。善悪を明確に報道することにより、国民にとってはわかりやすいものとなるが、本書を読むと善悪図式がそう単純なものではないことがわかる。

そもそも「道路公団民営化」というのは小泉内閣の掲げる「聖域なき構造改革」には入っていなかった。キャッチフレーズをつけることが得意な内閣は、聞こえのいい「民間で出来ることは民間で」というフレーズの基に、自身ほとんど理解もせず興味ない道路公団民営化を検討すると宣言する。興味がないのだから、将来のビジョンなど持っていない。それが丸投げにつながり、最後には民営化推進委員会の案を無視し、単に道路族議員との利権調整に終始することになったのだ。

丸投げが悪いとは言わない。総理大臣といえ全てを理解するのは到底無理な話である。引き合いに出される国鉄の分割民営化時に総理大臣だった中曽根総理でさえ、民営化検討委員会に丸投げしていた。しかし大きく違うのは、要所要所で発揮されるリーダーシップである。方向性を示していくことは総理大臣の仕事。それが出来なかったことが、一連のごたごたに繋がってゆく。

民営化が失敗した理由はそのほかに「今井敬委員長の辞任により、民営化委員会のまとめた案が軽くなってしまった事」、「一人の民営化委員−猪瀬直樹氏−が、名を成すために民営化委員会案を捻じ曲げた調整案を勝手に纏め上げ、それがあたかも民営化委員会案であるかのように喧伝した事」、「対立案となるべき民主党の民営化案が穴だらけで箸にも棒にも引っかからない事」などがあげられる。負の連鎖によりすべてが失敗する方向に動いていったように思えてならない。

2005年10月に道路公団は民営化される予定だ。その時期に、また道路公団民営化のあり方が大きな議論を呼び起こすだろう。それまでに是非一読しておいて欲しい一冊である。


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