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「パーフェクト・ブルー」宮部みゆき

パーフェクト・ブルータイトル:パーフェクト・ブルー
著者  :宮部みゆき
出版社 :創元推理文庫
読書期間:2004/11/18 - 2004/11/20
お勧め度:★★★

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諸岡克彦は私立松田学園高校野球部のエース。地区大会ではノーヒットノーラン試合を達成、夏の甲子園大会出場が期待されている高校野球界のスーパースターである。その克彦が殺害され、ガソリンをかけて燃やされてしまうという凄惨な事件が発生した。現場に出くわした克彦の弟進也、蓮見探偵事務所調査員の加代子、そして俺−元警察犬で今は蓮見家の一員であるマサ−は、事件の真相を追い始めるが・・・。

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横山さんの長編に取り掛かる前に頭の中をリセットするために読みました。宮部みゆきさんのデビュー作にして、元警察犬を物語の語り手に使っているという異色作。デビュー作からして思い切り宮部ワールド全開です。

まずは、ストーリーの展開。登場人物各人の気持ちが少しずつずれた挙句に引き起こされた悲劇。読み手になんでそんなことをするのかともどかしさを感じさせる展開。本来はとても悲しい話なのに、それを悲しく感じさせない文章力。どれを取ってもデビュー作とは感じられないし、数冊読んだ宮部作品でも同様な気がします。

次に、高校生・諸岡進也の生き生きとした姿。優秀な兄と比較され、家族内ではやや疎んじられている存在。普通ならひねくれてしまいそうなのに、確固たる信念と悪を許さない強い心を持った青年。若者を上手く描き出すことで定評のある宮部さんならではの登場人物です。

そして、意外な結末と清々しいラスト。タイトルの由来はあっさりと判ってしまうので、その点についてはやや物足りない気もしますが、殺人事件の結末は意外でした。また、あまり多くを語らないラストが読了後の余韻に繋がっていて、凄惨な事件の割には読了感は心地いいです。

ただ、面白いことは面白いと思うけど、後の作品の方がよく出来ているというのは否めないですね。もうちょっとページ数を割ければ、より深みのある話になった気がします。元警察犬マサ、蓮見加代子の推理が鋭く、展開があまりにも速すぎるような。マサが気付いたことを加代子に(言葉を使わず)伝える描写が書かれていればいいのに。でもなぁ、それだと「三毛猫ホームズ」の犬版になっちゃうのでまずいか・・・。

「興味ある作家の作品は、まずデビュー作から読むべし」という自分の教訓を再確認した作品でした。


【みなさまのご意見】数多くの方が読了されてます。


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『パーフェクト・ブルー』 宮部みゆき

1989年の作品なので、言葉遣いや小道具などに、 若干時代遅れ感があるのは否めないけれど、 軸となる「甲子園優勝有望校の不祥事」は、 ホットなネタかもしれない。 それに絡む事件も、投薬実験によるドーピング疑惑、 そして、自動車の欠陥による事故死がキッカケ

  • *モナミ*
  • 2005/09/02 4:34 PM