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「一瞬の風になれ」佐藤多佳子

一瞬の風になれ 第一部一瞬の風になれ 第二部一瞬の風になれ 第三部

タイトル:一瞬の風になれ
著者  :佐藤多佳子
出版社 :講談社
読書期間:2008/04/22 - 2008/04/28
お勧め度:★★★★

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「速くなる」
・・ただそれだけを目指して走る。
白い広い何もない、虚空に向かって…………。
春野台高校陸上部。とくに強豪でもないこの部に入部した2人のスプリンター。ひたすらに走る、そのことが次第に2人を変え、そして、部を変える・・。「おまえらがマジで競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」思わず胸が熱くなる、とびきりの陸上青春小説、誕生。(第一部)

何かに夢中にだった、すべての人へ贈る青春小説
「最高だ」
・・直線をかっとんでいく感覚。このスピードの爽快感。身体が飛ぶんだ……。
少しずつ陸上経験値を上げる新二と連。才能の残酷さ、勝負の厳しさに出会いながらも強烈に感じる、走ることの楽しさ。意味なんかない。でも走ることが、単純に、尊いのだ。
「そういうレースがあるよね。きっと誰にも。一生に一回……みたいな」
今年いちばんの陸上青春小説、第2巻!(第二部)

すべてはこのラストのために。話題沸騰の陸上青春小説

ただ、走る。走る。走る。他のものは何もいらない。
この身体とこの走路があればいい……
「1本、1本、全力だ」

そして、俺らはいつものように円陣を組んだ。総体に行くためだけでなく、タイムを出すためだけでなく、鷲谷と戦うためだけでなく、何より、俺たち4人でチームを組めたことのために走りたいのだった。
「この決勝走れて、どんなに嬉しいか、言葉じゃ言えねえよ」
全3巻圧倒的迫力の完結編!! (第三部)

感想はそのうち・・・


「しゃべれどもしゃべれども」佐藤多佳子

しゃべれどもしゃべれどもタイトル:しゃべれどもしゃべれども
著者  :佐藤多佳子
出版社 :新潮社
読書期間:2008/01/21 - 2008/01/24
お勧め度:★★★★

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俺は今昔亭三つ葉。当年二十六。三度のメシより落語が好きで、噺家になったはいいが、未だ前座よりちょい上の二ツ目。自慢じゃないが、頑固でめっぽう気が短い。女の気持ちにゃとんと疎い。そんな俺に、落語指南を頼む物好きが現われた。だけどこれが困りもんばっかりで…胸がキュンとして、思わずグッときて、むくむく元気が出てくる。読み終えたらあなたもいい人になってる率100%。

文楽の次は落語。

今年の正月は、池袋演芸場に落語を聴きに行ってきました。正月の初笑いを演芸場で、と考える人は多いのか超満員。笑点で三遊亭小遊三と春風亭昇太が出たというのもあったかもしれませんが。小遊三や昇太は真打昇進を果たしていますが、本書の主人公はまだ前座を卒業したばかりの二ツ目・今昔亭三つ葉です。

師匠の落語が大好きで、古典落語が大好きな三つ葉。精進してはいるものの「自分らしさ」を確立できずに悩む日々です。そんな三つ葉のもとに、ひょんなことから訳ありの四人が落語を教えて欲しいと頼んできます。

学校でいじめにあっているらしい少年・村林、人と満足に会話を交わすことができない女性・十河、対人恐怖症で吃音症のいとこ・良、そして口下手でテンポよくしゃべれない野球解説者・湯河原。みんな"話す"ことに難を抱えています。さて、三つ葉は彼らに落語を教えることが出来るのか・・・。

落語教室を通して、凝り固まっていた心を解き、みんな自分らしさを掴んでゆきます。村林はいじめる友達を許し、十河は自分のことを好きになり、湯河原は他人に優しさをみせる。完全に問題が解決したわけじゃないけど、今後彼らが人生を一歩ずつ前進していくことが予想されて、とても温かい気分になりました。

特に華やかな出来事もなく、深くて重い事件も起きず、割と淡々と物語は展開していくのに、読んでいる最中はずっといい気持ちでした。読み終わってからは、情景が思い出されてさらにいい気持ちです。今までに味わったことのない、ちょっと不思議な感覚。

三つ葉の一人語りがやや説明的なところと三つ葉の落語にもうちょっと迫力があったらなぁというのがやや残念でしたが、十分に満足のいく作品でした。

+++++

【みなさまのご意見】
肩の力を抜いてさん('08/02/17追加)


「サマータイム」佐藤多佳子

サマータイムタイトル:サマータイム
著者  :佐藤多佳子
出版社 :新潮社
読書期間:2007/03/19
お勧め度:★★★★

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佳奈が十二で、ぼくが十一だった夏。どしゃ降りの雨のプール、じたばたもがくような、不思議な泳ぎをする彼に、ぼくは出会った。左腕と父親を失った代わりに、大人びた雰囲気を身につけた彼。そして、ぼくと佳奈。たがいに感電する、不思議な図形。友情じゃなく、もっと特別ななにか。ひりひりして、でも眩しい、あの夏。他者という世界を、素手で発見する一瞬のきらめき。鮮烈なデビュー作。

著者のデビュー作。表題作のほか「五月の道しるべ」「九月の雨」「ホワイト・ピアノ」の計四編が収録された短編集です。

小学五年生の少年・進、その姉・佳奈、同じ団地に住む左手のない少年・広一の三人の物語で、それぞれの編が主役を変えながら物語は展開していきます。背景に常に音楽が流れているようでとても心地よかったです。

どしゃ降りのプールでの衝撃的な出会い。進と佳奈の姉弟にとっても、広一にとっても、後の人生感を変えるほど意識が大きく変化します。おそらく当人たちはあまり気が付いていないのだろうけど、将来大きくなってこの出会いを思い出すのだろうなぁって思いました。すごいなぁ、こういう出会いって。

物語は年代を行きつ戻りつ進みますが、特に違和感はありませんでした。むしろ最後を読むとまた最初から読みたくなってしまったので、とても上手な構成なのかもしれません。

初読みでしたが、これからガンガン読みます。

+++++

【みなさまのご意見】