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「仏果を得ず」三浦しをん

仏果を得ずタイトル:仏果を得ず
著者  :三浦しをん
出版社 :双葉社
読書期間:2008/01/18 - 2008/01/21
お勧め度:★★★★

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"好き"が過ぎるとバカになる。でも、そんなバカならなってみたい。文楽に賭ける若手大夫の熱い青春。直木賞作家が愛をこめて語ります。

エッセイも書いてしまうほど文楽好きの著者が小説にも挑戦。若き文楽の太夫・健と三味線弾き・兎一郎を中心に、恋あり笑いあり涙ありの青春小説です。「本が好き!」からの献本。

ここのところマイナー競技を扱った本ばかり読んでましたが、とうとう文楽とは・・・。スポーツだったら好きなのでマイナーでも少々知識はあるのですが、文楽については全く知識がありません。なので、最初は主人公が語る演目もあらすじも全然頭に入ってこなくて、右から左へと抜けてゆく状態でした。

しかし、演目の内容と実際に起こる事件が絶妙にリンクして、「文楽=人生そのもの」と置き換えられるようになってから俄然面白くなってきました。文楽を極めようとしつつも恋に悩む健、大切な相棒を亡くしたことを今一つ吹っ切れない兎一郎に感情移入することしきりでした。

他の登場人物たちもいい味を出していて、特に二人の師匠・銀太夫がいいです。いい加減なようで、しっかり見ているところは見ているし、悪い点をはっきり言わず、本人が自分で見つけ出すように道を示す。近くにいると苦労しそうですが、いい上司じゃないかと思います。

この本を読んでから「あやつられ文楽鑑賞」というエッセイが出ていることを知りました。普段エッセイは全く読まないのだけれど、本書をより楽しむために読んでみようかと思っています。

+++++

【みなさまのご意見】
多趣味が趣味♪さん('08/02/07追加)
苗坊の読書日記さん('08/04/06追加)


「風が強く吹いている」三浦しをん

風が強く吹いているタイトル:風が強く吹いている
著者  :三浦しをん
出版社 :新潮社
読書期間:2007/01/06 - 2007/01/09
お勧め度:★★★★★

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箱根の山は蜃気楼ではない。襷をつないで上っていける、俺たちなら。才能に恵まれ、走ることを愛しながら走ることから見放されかけていた清瀬灰二と蔵原走。奇跡のような出会いから、二人は無謀にも陸上とかけ離れていた者と箱根駅伝に挑む。たった十人で。それぞれの「頂点」をめざして…。長距離を走る(=生きる)ために必要な真の「強さ」を謳いあげた書下ろし1200枚!超ストレートな青春小説。最強の直木賞受賞第一作。

寛政大学四年・清瀬灰二は銭湯からの帰り道、万引きした男の走りに目を奪われ、自転車で追跡。万引き犯は、四月から後輩になる蔵原走(かける)だった。灰二は、走に自分が住んでいるアパート・竹青荘を紹介し、空いていた部屋に住まわせることに成功。そして、走の歓迎会で、灰二は長年温めていた構想、箱根駅伝への挑戦を宣言した。

1,200枚の書き下ろし。直木賞受賞後の入魂作ですが、直木賞受賞作以上に素晴らしかった。もう大感動。出来ることなら、こっちで直木賞を受賞して欲しかったです。

灰二と走以外の八人の陸上素人が、優秀な指導者の下でぐんぐんタイムを伸ばしてゆく。いくら素質があるといっても現実的に考えて苦しい設定なのですが、細やかな情景・心情描写で、その苦しさを補って余りあるほどの感動を読み手に与えてくれます。箱根の予選会辺りから、ずっとどきどき感が止まらなくって、一気に読んでしまいました。

箱根駅伝は毎年必ず見てしまいます。臙脂色の"W"のユニフォームをついつい応援してしまいますが(出身大学というわけではない)、区間賞を取ったランナー、そして練習の苦労が報われずブレーキとなってしまうランナーそれぞれに拍手を送りたくなります。高校野球と同じく、一発勝負ってのが最大の魅力ですね。結果がどうあれ力の限りを尽くす姿は、本当に胸を打ちます。

予選会を勝ち残り、本線出場を果たした寛政大学の面々。それぞれ20kmという距離を走りながら、走ることの意味について思いを巡らします。だらだらとなりそうなところを絶妙な時間経過と共に読ませてもらって、緊張感が持続しました。走るたびに人間的に成長していった十人に待っていたラストとは・・・。彼らの得たものは、勝利以上に掛替えのないものでした。

走るのが苦手な僕ですが、この本を読むと無性に走りたくなります。運動不足で体重が増えてきているし、ジョギングから始めてみようかな。風を感じるには当分時間がかかりそうですが。

+++++

【みなさまのご意見】


「まほろ駅前多田便利軒」三浦しをん

まほろ駅前多田便利軒タイトル:まほろ駅前多田便利軒
著者  :三浦しをん
出版社 :文藝春秋
読書期間:2006/09/12 - 2006/09/14
お勧め度:★★★

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東京のはずれに位置する“まほろ市”。この街の駅前でひっそり営まれる便利屋稼業。今日の依頼人は何をもちこんでくるのか。痛快無比。開巷有益。やがて切ない便利屋物語。

第135回直木賞受賞作。三浦さんの本は初読みです(「格闘するものに○」を購入してましたが、図書館本を先に読書)。ブログの書評も(ほぼ)一切読まず、三浦さんの作風についても一切情報を入れず、まっさらな状態での読書でした。

東京の外れに位置するまほろ市(おそらく町田市)で営業している「多田便利軒」という便利屋が舞台。行天に対し、指を怪我させたという負い目を持っている便利屋店主・多田は、泊まる所もなく行き倒れていた行天を仕方なく自分の家へ泊めます。一晩泊めてすぐに追い出すはずが、なぜだか行天を助手として雇う羽目に・・・。その後、次々に舞い込む依頼を、多田と行天が次々に解決してゆきます。

過去に離婚を経験して、子供に関する暗い記憶のある多田は、そのことが影響してか、潔癖で慎重でやや屈曲した性格。一方、行天は計算なのか天然なのかわからないけど、思ったことをストレートに行動するタイプで、一見悩みなんてなさそう。しかし、実は子供がいて、しかも複雑な家庭事情。

飄々としながらも、何だか物悲しさが漂う行天の過去を払拭するストーリーかと読み進めましたが、まったくの逆で多田の中にある暗い過去を行天が癒す(?)ストーリーと分かりました。滑稽さや暖かさのこもった依頼を片付けていく話をメインに、過去のわだかまりを解いてゆく二人。

割と重い話を、軽くて読みやすく仕上げている点に著者の力量が伺えますが、残念なことに読後はそれほど印象に残っていません。ストーリーは楽しめたのですが、実は挿絵が気になって深く入り込めませんでした。文中から受ける多田、行天のイメージと、挿絵が大きくかけ離れていたもので・・・。行天を「見た目だけはいい男」としていた辺りで少々興醒めだったのですが、挿絵でさらに印象悪化してしまいました・・・。

この本からは、少女漫画っぽさを感じました(挿絵からも内容からも)。似たようなテイストの作品はおそらく自分には合わないような気がします。今後三浦さんの本を読むときは、内容も一応確認してからにしようかなぁと思っています。

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【みなさまのご意見】