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「沼地のある森を抜けて」梨木香歩

沼地のある森を抜けてタイトル:沼地のある森を抜けて
著者  :梨木香歩
出版社 :新潮社
読書期間:2006/08/07 - 2006/08/11
お勧め度:★★★

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始まりは「ぬか床」だった。先祖伝来のぬか床が、呻くのだ。変容し、増殖する命の連鎖。連綿と息づく想い。呪縛を解いて生き抜く力を伝える書下ろし長篇。
久しぶりによくわからない本でした・・・。感想を書くのが難しいです。間違いがあったら、ご指摘ください。

叔母が亡くなり、先祖伝来のぬか床を受け継いだ久美。あるときぬか床の中に卵を発見、数日後には卵から透明な少年が出現する。姿がはっきりしていくにつれて、どうもその少年はどこかで会ったことがあるような気がしてきて・・・。ぬか床を手にしてから起こる不思議な現象。それは、自分の生い立ちと出生の秘密につながるものだった・・・。

序盤はとても楽しく読めました。現実と非現実の狭間を久美と一緒にふわふわと漂ってました。卵から生まれた少年をあっさりと受け入れる久美。そもそもぬか床から卵なんておかしいのに、そんなことには驚きもしない。微妙な感覚のずれにくすっと笑いが漏れます。次にぬか床から生まれたカッサンドラは、怨念の塊。物も長生きすれば生霊となるというし、こっちは割とあっさり納得できたんだけど、それにしてもぬか床に怨念が溜まるとは・・・。で、そんなぬか床からできたぬか漬がおいしいなんて皮肉。

こういったぬか床にまつわるエピソードが続くのかと思いきや、男性性を否定した風野さんの登場とか風野さんが飼う不思議な生き物の話とかぬか床を故郷に返すなんて話が出てきて、ジェンダーや人類の創造なんかに発展。ここら辺から、話が大きくなりすぎて、だんだん着いていけなくなりました。

わからないなりに言いたかったことをまとめると「連綿とした生命の神秘を考えると、所詮人間なんてちっぽけな存在である」ってことでしょうか?んー、違うような気がする・・・。機会があったら再挑戦してみようと思います。

+++++

【みなさまのご意見】


「村田エフェンディ滞土録」梨木香歩

村田エフェンディ滞土録タイトル:村田エフェンディ滞土録
著者  :梨木香歩
出版社 :角川書店
読書期間:2006/07/27 - 2006/07/28
お勧め度:★★★★

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町中に響くエザン(祈り)。軽羅をまとう美しい婦人の群れ。異国の若者たちが囲む食卓での語らい。虚をつく鸚鵡の叫び。古代への夢と憧れ。羅馬硝子を掘り当てた高ぶり。守り神同士の勢力争い―スタンブールでの村田の日々は、懐かしくも甘美な青春の光であった。共に過ごした友の、国と国とが戦いを始める、その時までは…。百年前の日本人留学生村田君の土耳古滞在記。
今から100年ほど昔の土耳古(トルコ)に留学した若き考古学者・村田の滞在記。村田は、「家守綺譚」の綿貫の友人で、「家守綺譚」にちょっとだけ登場します。

実はトルコは今一番行ってみたい国なのです。来年勤続10年のため1週間ほど休みがもらえるのですが、その際に訪れてみたいと思っています。ヨーロッパとアジアが交わり、独特な文化が発展していて、街並みや色使いも独特。それでいて食べ物が日本人好みの味付けとなれば、行ってみたくなるのも当然でしょう!

本書は100年前の設定ですが、十分にその異文化の雰囲気を感じ取ることができます。下宿先での人間関係など、話は主に身の回りの小さな出来事ばかり。しかし、その分、文化、思考、宗教が異なる人々たちが異国で生活を共にする上での、些細なようで大きな違いが伝わってきます。

互いに友情を深め合う異国人たちですが、最後に小さくない出来事=戦争が起こってバラバラに。個人同士が憎しみあっているわけじゃないのに、国が、歴史が、互いに戦うことへと導いていくのです。なぜ戦わなければならないのだろう・・・。そのために失われた尊いものの数々に胸が痛くなりました。

「私は人間である。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない」

みんなが少しずつ他人に対し配慮と遠慮を持てば、この世から争いごとがなくなるのにと強く感じました。

chiekoaさんjuneさんにおススメいただいてましたが、ようやく読むことが出来ました。

+++++

【みなさまのご意見】


「家守綺譚」梨木香歩

家守綺譚タイトル:家守綺譚
著者  :梨木香歩
出版社 :新潮社
読書期間:2006/03/22 - 2006/03/23
お勧め度:★★★★

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これは、つい百年前の物語。庭・池・電燈つき二階屋と、文明の進歩とやらに棹さしかねてる「私」と、狐狸竹の花仔竜小鬼桜鬼人魚等等、四季折々の天地自然の「気」たちとの、のびやかな交歓の記録。
つい百年前の物語というから、明治あたりでしょうか。そのころの日本を舞台としたファンタジー小説。湖で行方不明となった友人の父親に請われ、旧家の家守をすることになった主人公の1年が描かれています。

庭にたくさんの植物が育っている家。何かが出てきてもおかしくない、そんな雰囲気のある家では、掛け軸から友人が現れたり、サルスベリが主人公に心を寄せたり、河童が現れて犬と仲良しになったりと不思議な出来事が日々起こります。不思議なんだけど、どこか懐かしさを感じさせてくれて非常に心地よいです。現実の世界と夢の中を入ったりきたりしている感じの浮遊感。あまり物事を悩まない主人公がとてもいい味を出していて、気が付かないだけで自分の身近にも起こっているのかも、なんて思わせてくれます。

各章にタイトルで挙げられた植物が用いられ、独特の雰囲気をさらに盛り上げています。残念ながらどのような植物なのかが想像できなかったのですが、十分楽しめました。もし知っていたらもっと楽しめたでしょうね。

ブログで初めて知って手にした梨木さんの本でしたが、いい本に出会えました。毎日の生活に追われ、身の回りの草花に心を動かすことがなくなってしまい寂しい限りですが、この本を読んで癒しをもらいました。いい季節だし、近所の散歩や(ちっちゃな)庭の手入れなどしようかなぁ、なんて思ってます。

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【みなさまのご意見】