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「日本国民に告ぐ」小室直樹

日本国民に告ぐタイトル:日本国民に告ぐ
著者  :小室直樹
出版社 :ワック
読書期間:2008/07/28 - 2008/07/30
お勧め度:★★★★

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謝罪外交、自虐教科書、「従軍慰安婦」問題…。日本の行く末は大丈夫か。現下の危機の本質を歴史と社会構造にまでさかのぼり分析し、「日本人にとって今いちばん大切なこと」を考える。

感想はそのうち・・・。


「日経新聞の黒い霧」大塚将司

夫婦茶碗タイトル:日経新聞の黒い霧
著者  :大塚将司
出版社 :講談社
読書期間:2005/11/06 - 2005/11/08
お勧め度:★★★

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イトマン事件、コスモ信組事件、TCW事件…。経済犯罪史に残る3事件の裏面で蠢いた日経幹部がいた。疑惑を追及していくうちに、浮かび上がってきた背筋の寒くなるような真相とは−。
日本経済新聞記者が自社の腐敗を正すべく起こした行動について書かれた手記。周到な調査、株主総会での解任提案まで綴られています。社長に始まり、上司、同僚など登場人物はすべて実名、些かの例外もありません。これだけで迫力十分、真実味も十分です。

一度は口を閉ざし、これまでのことを見てみぬふりを決め込もうと決めた著書であったが、"サラリーマン"ではなく"ジャーナリスト"として生きようと自社トップの実像を暴き出します。旧態依然とした会社での放蕩経営と紙面の濫用。会社を従業員の手に取り戻すための戦いです。いくら解任提案が出来るほど自社株を持っているとしても、ずいぶんと思い切ったことをしたものです。当時のことは知らないが、マスコミでも話題騒然となったことでしょう。

会社を変えようと起こした著者の行動は認めるが、解せない点はあります。一時懲戒解雇処分になりながら裁判で勝利し復職、今は日本経済新聞社の子会社日本経済研究センターに席をおく著者。なぜそうまでして復職しなければならなかったのでしょう。なぜ内部から批判しなくてはならないのでしょう。なぜ外部からではダメなのでしょう。ぜひぜひ著者の心情を伺いたいものである。


「道路公団民営化の内幕 なぜ改革は失敗したのか」屋山太郎

道路公団民営化の内幕 なぜ改革は失敗したのか PHP新書タイトル:道路公団民営化の内幕 なぜ改革は失敗したのか
著者  :屋山太郎
出版社 :PHP新書
読書期間:2005/04/21 - 2005/04/23
お勧め度:★★★★

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小泉首相は構造改革のターゲットとして、持論である郵政民営化とともに「道路公団民営化」を挙げた。この二つの民営化で、小泉首相は政・官・財の癒着構造をぶっ壊そうとしたのだ。ところが二〇〇三年暮れに発表された道路関係四公団民営化の基本的枠組みは、絵に描いたような「骨抜きの民営化案」であった。「小泉首相に裏切られた」と辞表を提出する改革派委員たち。満面の笑みを浮かべる道路族のドン…。構造改革の目玉といわれた道路公団改革はなぜ失敗したのか。
国鉄分割・民営化に参画した著者が道路公団民営化の問題点、失敗した原因について書いた本。

道路公団民営化を嗤う」や「偽りの民営化」、「特殊法人改革のまやかし」など、これまで読了した一連の道路公団本と内容で重なる部分が多いが、唯一違う点「イタリアとの比較」がなかなか興味深い。イタリアはEU発足前巨額の財政赤字に喘いでいた。しかし、1992年のマーストリヒト条約で定められたEU加盟条件をクリアするために徹底した構造改革を行い、最初からEUに加盟することが出来のだ。

当時のイタリアは、GDP比約120%の債務を抱え(日本は約64%)、単年度財政赤字は約11%(日本は約1.6%)という悲惨な状況。しかし現在、状況はまさに180度ひっくり返っている。現在の日本は、GDP比約150%の債務を抱え(イタリアは約108%)、単年度財政赤字は7.7%(イタリアは約2.1%)と10数年前のイタリアより状況はひどい。企業なら倒産だ。直ぐにでも改革に着手しなくては、日本という国が倒れてしまいかねない。

イタリアが改革に成功したのは、国民一人一人が事実を受け止め、改革に取り組んだ成果といえる。EUへ最初から参加という国民が一丸となるに値する大きな目標があったから取り組めたと言えなくもない。しかし、選挙時に改革を妨げる議員を軒並み落とし、改革派の議員を当選させるという波を日本でも作ることが出来るのか。日本では政治に対してあきらめムードが漂ってはいないか。政治家不信で政治への希望を無くしてしまっては、元も子もない。

日本では改革派の議員を探すことすら難しい状況なのかもしれない。適切な人選の出来る眼を持っていて、勉強家で、自分が間違えている時は他人の意見を受け入れられる器の広さを持っている人物はいないのだろうか。良くも悪くも昔の政治家はそうだったように思えてならない。

【関連ページ】


「特殊法人改革のまやかし−官僚たちの甘い汁」櫻井よしこ

特殊法人改革のまやかし−官僚たちの甘い汁タイトル:特殊法人改革のまやかし−官僚たちの甘い汁
著者  :櫻井よしこ
出版社 :新潮文庫
読書期間:2005/04/05 - 2005/04/08
お勧め度:★★

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官僚が天下り、平気で赤字事業を繰り返し、莫大な国費を食い潰す「闇のシステム」特殊法人。その改革は本当にできるのか?日本道路公団をはじめとする典型的特殊法人を取り上げて実態を徹底糾明し、甘い汁を吸い続ける官僚の「悪」を暴き出す。膨大な資料の分析と、困難を極める特殊法人や主務官庁への直接取材によって成し遂げられた執念のルポ。
かつてはNTVニュースキャスター、そして現在はジャーナリストとして有名な著者。その辛口な論評で出版本の評価もなかなか高評価であるようだが、果たして本書はどうなのであろうか。

本書は、週刊新潮等に連載された記事に加筆修正を加え2001年8月に出版された「日本のブラックホール 特殊法人を潰せ」の文庫化版。各記事で取り上げられている特殊法人問題はどれも興味深い。

しかし、ページ数の制約からかどの問題も踏み込みが浅く、今ひとつ論拠が希薄であることは否めない。また調査レポートとしての意味合いが強いため、数字の羅列に終始している。さらに言うと、特殊法人=悪というところからスタートしているので、出てくる事柄全てを悪い方向へと結びつける傾向が見える。良い部分と悪い部分を明確に切り分けをした説明が欲しい。

特にひどい記事と感じたのは「石油公団・杜撰経営と通産官僚の隠蔽工作」の章。櫻井氏によると
石油公団が手がけている日本の自主開発油田の全てを含めてそれが供給している石油は全体の消費量の15%にすぎない。たとえこの15%を失ったからといって、日本が揺らぐことはない(p240)
のだそうだ。石油を15%失えば、健全な産業の発展はないと思うのだが・・・。失った分を民間企業の供給に委ねればよいという記載はない。また、この章は取材した内容は言葉巧みにつないでいる印象が強いのも問題。

悪いことばかり書き連ねたが、本書を通し問題点は見えた。つまり「財政投融資(*1)の流れが不明確である点」、「財投債(*2)の発行目的が不明確な点」、「特殊法人が官僚の天下り先として、雨後の筍のように設立されている点」が問題なのである。

一人で問題解決しようとしても、その力は高が知れている。重要なのは国民一人一人が関心を持つことではないかと強く感じた。

(*1)財政投融資
郵便貯金や国民年金・厚生年金など国の制度と信用で集められた資金のこと。財務省が全額を預かり特殊法人に融資する。特殊法人は、自主的な資金調達を行う必要がないため、市場のチェックを受けることがなく経営が不透明であるのが問題となり、2001年4月に制度が改正された

(*2)財投債
財政融資資金特別会計が国の信用で発行する国債。
上記制度改正で、特殊法人は財投機関債を発行して金融市場から自主的に資金調達することになったが、財投機関債は特殊法人が自らの信用力で発行する政府無保証の債権であるため、経営内容によっては資金調達が難しい場合がある。業績の悪い特殊法人が資金を調達するため、政府が財投債を発行し、調達した資金を融資するという措置が取られている。財投債は政府名で発行されるため、業績の悪い特殊法人名が表に出ないという問題がある。


【関連ページ】

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【みなさまのご意見】


「偽りの民営化―道路公団改革」田中一昭

偽りの民営化―道路公団改革タイトル:偽りの民営化―道路公団改革
著者  :田中一昭
出版社 :ワック
読書期間:2005/02/23 - 2005/02/25
お勧め度:★★★★

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誰が民営化を殺したか? 道路公団民営化そのものが「幻」に終わる気配が濃厚となった。小泉改革・まやかしの正体とは? 元委員会トップが語る「民営化が踏みにじられるまで」の全真相。

道路公団民営化を嗤う」に引き続き読んだ本。この手の本を読むときは、同じテーマを扱った本を2-3冊まとめて読んで見たほうが良いと思っている。

著者・田中一昭氏は、道路公団民営化推進委員会委員長代理を務め、国鉄分割民営化にも携わった人物。民営化委員が書いた本といえば猪瀬直樹著「道路の権力」が思い浮かぶが内容を比較してみると、「偽りの民営化」の方が一連の出来事を客観的に扱っている印象を持った。「道路の権力」では全てのことをあたかも猪瀬氏一人が決めたかのように読めたのだが、こちらが真実なのであろう。

田中氏の怒りの矛先は、小泉総理と猪瀬委員の二人に向いている。「民営化案を基本的に尊重する」「私はぶれたことはない。信用してくれ」など、どちらとも取れる言動を繰り返す小泉総理。その姿には国鉄分割民営化時に見た中曽根元総理のような力強い姿はない。

推進委員の総意(途中で2名欠けたが)でまとめた委員会案を、一委員の立場でありながら、誰にも頼まれていないので国交省案とのフィクサー(=調停者)の役回りを演じ、その過程で自分の意見を取り入れることに終始した猪瀬委員。そこには道路公団民営化をまとめた人物として後世に名を残したいという意識が見え隠れする。また、民営化の旗手と見られた猪瀬氏の案は、道路族議員らの主張と本質的にほぼ同じという驚くべき事実も隠されていた。

この本を読み、私がそれ以外に怒りを感じたのは石原国道交通相だ。藤井元道路公団総裁の退陣劇で見せた無様な対応。あの姿をテレビで見たときから大臣としては役不足と感じたが、より一層その気持ちを強くした。

ここであげている本以外にも櫻井よしこ氏(ジャーナリスト)や屋山太郎氏宮川公男氏などが多くの関連書籍が出版されている。先の記事にも書いたが道路公団の民営化は今年10月。それまでに猪瀬氏の著作の再読、諸氏の著作を読破したいと思う。

【関連ページ】


「道路公団民営化を嗤う―これは改革ではなく成敗である」諏訪雄三

道路公団民営化を嗤う―これは改革ではなく成敗であるタイトル:道路公団民営化を嗤う―これは改革ではなく成敗である
著者  :諏訪雄三
出版社 :新評論
読書期間:2005/02/18 - 2005/02/22
お勧め度:★★★★★

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だれが英雄でも、だれが悪者でもない。政権浮揚策として民営化でもてあそばれた日本道路公団は、私達の資産だった−。民営化の意思決定の過程、藤井総裁の更迭など、民営化の舞台裏を3年間にわたって取材した記録をまとめる。

2001年に小泉内閣が発足し、「聖域なき構造改革」の目玉として取り上げられた道路公団民営化。国民の期待が大きかったのだが、結果として従来と比べ、「建設費の削減」、「高速料金の値下げ」など、わざわざ民営化などしなくても出来るようなことが決まっただけで終わってしまった。本当に改革をしたかった部分−料金収入で高速道路を建設するのを止めること−には、何らメスが入らなかったのだ。

3年間という月日、そして総額数百億にのぼるお金をかけて調査・検討したにしてはお粗末としか言いようがないこの内容。本書では、国土交通記者会に属する共同通信社の記者である著者が、小泉内閣発足から3年間に渡る道路公団民営化の議論を時系列に克明に記録している。

「小泉総理vs道路族議員」、「民営化委員vs今井敬民営化委員会委員長」、「石原国土交通相vs藤井道路公団総裁」という対立図式が、それぞれ前者が善、後者が悪としてマスコミ報道された。善悪を明確に報道することにより、国民にとってはわかりやすいものとなるが、本書を読むと善悪図式がそう単純なものではないことがわかる。

そもそも「道路公団民営化」というのは小泉内閣の掲げる「聖域なき構造改革」には入っていなかった。キャッチフレーズをつけることが得意な内閣は、聞こえのいい「民間で出来ることは民間で」というフレーズの基に、自身ほとんど理解もせず興味ない道路公団民営化を検討すると宣言する。興味がないのだから、将来のビジョンなど持っていない。それが丸投げにつながり、最後には民営化推進委員会の案を無視し、単に道路族議員との利権調整に終始することになったのだ。

丸投げが悪いとは言わない。総理大臣といえ全てを理解するのは到底無理な話である。引き合いに出される国鉄の分割民営化時に総理大臣だった中曽根総理でさえ、民営化検討委員会に丸投げしていた。しかし大きく違うのは、要所要所で発揮されるリーダーシップである。方向性を示していくことは総理大臣の仕事。それが出来なかったことが、一連のごたごたに繋がってゆく。

民営化が失敗した理由はそのほかに「今井敬委員長の辞任により、民営化委員会のまとめた案が軽くなってしまった事」、「一人の民営化委員−猪瀬直樹氏−が、名を成すために民営化委員会案を捻じ曲げた調整案を勝手に纏め上げ、それがあたかも民営化委員会案であるかのように喧伝した事」、「対立案となるべき民主党の民営化案が穴だらけで箸にも棒にも引っかからない事」などがあげられる。負の連鎖によりすべてが失敗する方向に動いていったように思えてならない。

2005年10月に道路公団は民営化される予定だ。その時期に、また道路公団民営化のあり方が大きな議論を呼び起こすだろう。それまでに是非一読しておいて欲しい一冊である。