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「独白するユニバーサル横メルカトル」平山夢明

独白するユニバーサル横メルカトル タイトル:独白するユニバーサル横メルカトル
著者  :平山夢明
出版社 :光文社
読書期間:2007/11/19 - 2007/11/21
お勧め度:★★★

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2006年度日本推理作家協会賞受賞作。怪談実話のスーパースター・平山夢明の恐るべき結実。絢爛たる第一短編集。

「このミステリーがすごい2007年版」の第一位ということで話題になった本。おそらく「このミス」で知って手に取った方も多かったかと思います。ただ、万人受けする本ではないです。

八編の短編から構成されていますが、すべて独特な雰囲気を醸し出しています。カニバリズム(人肉嗜食)あり、凄惨な虐待描写あり、糞尿ありと正直読むのはちょっと・・・という短編もありましたが、表題作では地図を擬人化していたりとなかなか凝った作りです。

嫌な世界のオンパレードでしたが、意外と悪くない読後感に驚きました。それはおそらくカニバリズムなどがメインのテーマではなく、一つの道具として使用されているからでしょうか。それを使わないと表現できないのはどうかとも思わなくもないですが、裏に潜む伝えたい事柄は至極真っ当な気がします。

みんなに薦められませんので、気が向いた方はどうぞ。


「一応の推定」広川純

一応の推定タイトル:一応の推定
著者  :広川純
出版社 :文芸春秋
読書期間:2007/01/12 - 2007/01/14
お勧め度:★★★★

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轢死した老人は事故死だったのか、それとも愛しい孫娘のために自殺したのか。ベテラン保険調査員・村越の執念の調査行が、二転三転の末にたどり着いた真実とは?第13回松本清張賞受賞作品。

松本清張賞受賞作品。地味だけどなかなか読み応えのある本。

主人公は保険調査員・村越。保険調査員とは、果たして保険金を支払うのが妥当なものかを調査する人です。タイトルになっている「一応の推定」とは、「確たる証拠、例えば遺書などを残さずに自殺した場合、自殺の状況証拠が説明できれば、自殺として裁判官に認定される」という理論です。

村越が調査することになったのは、死亡時に数千万の借金を抱え、しかも心臓移植をしなければ治らない重度の心臓疾患を抱えた孫娘がいるという男性。一日でも早い保険金を願う遺族らですが、保険会社は「自殺」を疑い、支払いを拒否したいと考えています。

死亡した男性には非常に不利な状況です。至急お金が必要ということに加え、自分から保険外交員を呼んで契約したことから、保険金目当ての自殺という考えが膨らんでいきます。村越の調査で「一応の推定」を覆すような事実が明らかになる、といきたいところですが、村越が調べれば調べるほど、男性は自殺であったという方向へと結論が流れていきます。

保険会社が自殺と結論付ける直前に、村越がたどり着いた真実とは? キーとなるものとは? 亡くなった男性の孫への深い愛と先入観に捕らわれない村越の地道な調査が、結論へと導いてくれました。

著者自身、保険調査会社を経営しているということで内部事情が窺い知れ、なかなかに興味深いです。あまり期待せずに読みましたが、後味も非常によくてとても満足できました。

+++++

【みなさまのご意見】


「ひかりをすくう」橋本紡

ひかりをすくうタイトル:ひかりをすくう
著者  :橋本紡
出版社 :光文社
読書期間:2006/10/30 - 2006/10/31
お勧め度:★★★

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私にとって、ありふれた日常が最良の薬になった。注目の著者が、ひとの可能性を描く切実な物語。

一生懸命に頑張って働いて、周囲の評価が上がってきた矢先の出来事。グラフィック・デザイナーの智子は、こころの調子がおかしくなってしまった。パニック障害。仕事を辞め、彼氏との田舎生活を始めた智子。つつましいけど幸せに満ちた二人の生活を描いた作品です。

ここ数年、毎年会社でメンタルヘルス教育を受講させられています。程度の差こそあれストレスを受けずに仕事している人なんていないんじゃないでしょうか。明日は我が身と思わずにはいられません。

心の病気にかかったら、周囲の理解なしに完治はありえませんね。主人公の智子は、哲っちゃんという良き理解者がとてつもなく大きな包容力でもって受け止めてくれたおかげで快方に向かいます。智子に仕事を辞めていいと言い、自分も仕事を辞めて家事をこなし智子の負担を軽減する哲っちゃん。二人でご飯を食べ、同じことで笑い、散歩して過ごす何でもない日々。時間をかけて溜まった心の澱を洗い流すのは、励ましの言葉や慰めの言葉ではなく、日々の小さな幸せの積み重ねなのだと感じました。

それにしても、哲っちゃんはすごいですね。料理が出来て(おいしそう!)、裁縫が出来て、智子や不登校の中学生・小澤さんの気持ちもわかっていて、穏やかで決して怒らない。おそらく会社員のときは仕事も出来たのだろうから、まさにスーパーマンです。脱帽・・・。

日常生活の細かな描写にはリアリティを感じましたが、全体のイメージはファンタジーでしょうか。ゆるい空気感、嫌いじゃないです。この手の本は、疲れているときに読みたいです。

+++++

【みなさまのご意見】


「忘れないと誓ったぼくがいた」平山瑞穂

忘れないと誓ったぼくがいたタイトル:忘れないと誓ったぼくがいた
著者  :平山瑞穂
出版社 :新潮社
読書期間:2006/10/01 - 2006/10/03
お勧め度:★★★★

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世界中が君を忘れてしまっても、僕だけは君を憶えてる!――時の裂け目に消えゆく少女と、運命をも変えようと必死にもがく少年。激しく、切ない恋愛小説。

最近初読みの作家さんが増えてます。この本もそうで、おそらくブログを始めていなかったら読まなかっただろう一冊。ジャンルは、恋愛ファンタジーでしょうか。恋愛小説はかなり苦手なのですが、この本の内容はすーっと頭の中に浸透していきました。ファンタジックな設定に違和感は全く感じません。

「ぼく」こと葉山タカシは、私立進学高校三年生。夏休みも終わる頃、はじめて訪れたメガネショップで、アルバイトをしていた彼女・織部あずさと出会う。一目惚れ。しかし奇妙なことに、どうしてもどんな顔だったのか思い出せないのだった…。

記憶の片隅から消え行くあずさとそれを止めようと必死で忘れない努力を続けるタカシ。狂気とも取れるほど、自分の全てを「忘れないこと」に注ぎ込むタカシの姿は、あきらめたかのように現実を淡々と見つめるあずさと姿と対比され、ものすごく痛々しさが伝わってきます。あずさを覚えているのはタカシ一人という境遇に、タカシに共感し、応援せずにはいられない気持ちになりました。

存在が消えるというのは特殊な設定ですが、絶対に忘れないと思った(誓った)ことであろうとも、記憶が薄れていって忘れてしまうということは悲しいけど現実によくあります。こんなに一生懸命に人を好きになれるのは素敵だなと思いながら、自分にもこういうことが一つくらいあったかなとちょっと昔懐しい気持ちにもなりました。

+++++

【みなさまのご意見】
+ChiekoaLibrary+さん
今日何読んだ? どうだった??さん
ナナメモさん
図書館で本を借りよう!〜小説・物語〜さん
本を読む女。改訂版さん('06/10/25追加)
猛読醉書さん('06/11/06追加)
きつねの本読みさん('06/11/19追加)


「三年坂 火の夢」早瀬乱

三年坂 火の夢タイトル:三年坂 火の夢
著者  :早瀬乱
出版社 :講談社
読書期間:2006/09/21 - 2006/09/25
お勧め度:★★★

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「三年坂で転んでね」―そう言って兄は死んだ。火の街を疾走する謎の人力俥夫。「隠された坂」が背負う運命とは?第52回江戸川乱歩賞受賞作

第52回江戸川乱歩賞受賞作。三年坂の謎を追う話と、東京大火災の発火点の謎を追う話が交互に展開します。

前者の主人公は、内村実之。兄・義之が家族に何の連絡もなく帝大を退学した上に帰郷し、その故郷で急逝したところから話が始まります。「三年坂で転んでね」という謎の言葉を残して死んだ兄。帝大を目指すためと口実をつけて実之は東京に出奔、三年坂の謎を追います。

後者の主人公は、予備校の英語教師・高嶋鍍金(めっき)。顔のない人力俥夫に引かれて、大火災の中を駆け回る夢を見た鍍金先生。東京を焼き尽くすためには、いくつかの発火点に火を付ければよいと聞き、不思議な夢とも相まって、発火点の謎を追います。

幻想的な雰囲気の中、話は進みます。前半から中盤は三年坂探しに重きが置かれていますが遅々として調査は進まず、少々イライラさせられました。ですが、間に挟まれる時代背景の話や発火点探しがよいアクセントになっており、途中で読むのをやめようとは思いませんでした。メインは三年坂探しの方だと思いますが、読み進める気になったのは鍍金先生のキャラクターに寄るところが大きいと思います。

大掛かりな仕掛けの割りに、義之の死の謎、発火点の謎はやや規模の小さなものに感じたのが残念です。じっくりと謎を追う部分を書き込んだにもかかわらず、謎解き部分はかなり急いだ印象があります。もう少し書き込んでくれれば・・・。特に義之の死には、その原因となった犯人の行動に不可解さを感じずにはいられません。

謎解きに不満が残るものの、作品の持つ雰囲気がとても魅力的でした。今後の作品も気になります。鍍金先生でもう一冊、なんてことはあるでしょうか。期待したいです。

+++++

【みなさまのご意見】
Gotaku*Logさん
日記風雑記書きなぐりさん
ぼちぼち。さん
まったり読書日記さん
たこの感想文さん('06/11/08追加)
たりぃの読書三昧な日々さん('06/12/24追加)
聞いてあげるよ君の話をさん('07/01/16追加)
しんちゃんの買い物帳さん('07/05/07追加)