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「DIVE!!」森絵都

DIVE!! 上DIVE!! 下タイトル:DIVE!!
著者  :森絵都
出版社 :角川書店
読書期間:2008/01/07 - 2008/01/10
お勧め度:★★★★★


上巻 → [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス | Book off ]
下巻 → [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス | Book off ]


高さ10メートルの飛込み台から時速60キロでダイブして、わずか1.4秒の空中演技の正確さと美しさを競う飛込み競技。その一瞬に魅了された少年たちの通う弱小ダイビングクラブ存続の条件は、なんとオリンピック出場だった! 女コーチのやり方に戸惑い反発しながらも、今、平凡な少年のすべてをかけた、青春の熱い戦いが始まる―。大人たちのおしつけを越えて、自分らしくあるために、飛べ。(上巻)

密室で決定されたオリンピック代表選考に納得のいかない要一は、せっかくの内定を蹴って、正々堂々と知季と飛沫に戦いを挑む。親友が一番のライバル。複雑な思いを胸に抱き、ついに迎える最終選考。鮮やかな個性がぶつかりあう中、思いもかけない事件が発生する。デッドヒートが繰り広げられる決戦の行方は?! 友情、信頼、そして勇気。大切なものがすべてつまった青春文学の金子塔、ここに完結。(下巻)

2008年は森絵都さんの代表作からスタート。飛び込みに青春をかける中高生のお話です。

登場人物が非常に魅力的で、ぐいぐいと物語に引き込まれていきます。主要な登場人物は三名。ダイヤモンドの瞳(動体視力)と柔軟な体を持つ知季、幻のダイバーを祖父に持ち、津軽の海で飛び込みを習得した飛沫(しぶき)、元オリンピック選手を父に持つ飛び込みのサラブレッド・要一です。物語は四章に別れていて(もともと四分冊だった)、一章は知季の章、二章は飛沫の章、三章は要一の章、そして四章はオリンピック代表選考会の模様を描いています。

各者各様に中高生ならではの悩みや苦しみ、自分の家系について悩みながら、自分がなぜに飛び込みを行うのかと自問自答を繰り返します。描き出されている個性と口調、飛び込みのスタイルがぴったりと嵌っていて、おそらく読者は三名のうちの誰かに肩入れしながら読み進めることになるでしょう。

僕は断然要一に肩入れして読みました。クールで独善的、悩みなど何もないように見える要一も父との関係に悩み、自分の力ではなく周りの力で物事が決められていくことに憤り、飛び込みを始めたときの気持ちを失いかけます。しかし、自分を取り戻し、技を磨いてオリンピック代表選考会に望むのですが・・・。結果は読んでもらうことにして、途中でまさかこんなオチではないだろうなと訝しく思いましたが思い切り予想を裏切られ、爽やかな読後感を味わうことが出来ました。

脇を固める飛び込み仲間やコーチ陣の描き方も秀逸で、三人のエピソードを壊すことなく視点が切り替わります。まるで性格の重なる人物がいなくって、こんなにうまく書き分けられるなんてすごい。そして、全く嫌なやつが出て来ないのに話が盛り上がるなんて・・・。森さんの力量を感じずにはいられません。

三人のその後が知りたいところですが、本作を超えるのは容易なことではないし、自分で想像して楽しむのがよいのかもしれません。スポーツ小説は数々読みましたが、本作が断然一番面白いです。もっと早く読めばよかった・・・。

オススメですので、未読の方は是非ご一読を。

+++++

【みなさまのご意見】
■苗坊の読書日記さん(1)(2)(3)(4)('08/01/22追加)


「永遠の出口」森絵都

永遠の出口タイトル:永遠の出口
著者  :森絵都
出版社 :集英社文庫
読書期間:2007/06/27 - 2007/06/29
お勧め度:★★★

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「私は、“永遠”という響きにめっぽう弱い子供だった。」誕生日会をめぐる小さな事件。黒魔女のように恐ろしい担任との闘い。ぐれかかった中学時代。バイト料で買った苺のケーキ。こてんぱんにくだけちった高校での初恋…。どこにでもいる普通の少女、紀子。小学三年から高校三年までの九年間を、七十年代、八十年代のエッセンスをちりばめて描いたベストセラー。第一回本屋大賞第四位作品。

およそ半年振りに著者の本を読みました。相変わらずひらがなが多目の優しい文章でした。

一人の少女の小学三年から高校三年までを描いています。少女が悩みと葛藤を乗り越え成長していく姿を、当時の流行りモノなんかを交えながら書いているので、同年代の方は少女に共感しつつ、当時を懐かしみつつ読めたのではないかと思います。

若干年代がずれているのと、学生時代は割りとのほほんと悩みなく過ごした事もあって、深く感情移入するまでには至りませんでした。「まぁ、そういうことあるよね」といった程度。ただ、読みながら昔のこと−仲のよかった友達、些細なことから始まったけんかや引越しのこと−を少々思い出しました。

次はみんなの評価が高い「DIVE!」を読みたいと思います(半年も間が開くことのないようにせねば・・・)。

+++++

【みなさまのご意見】


「アーモンド入りチョコレートのワルツ」森絵都

アーモンド入りチョコレートのワルツタイトル:アーモンド入りチョコレートのワルツ
著者  :森絵都
出版社 :角川文庫
読書期間:2006/11/10 - 2006/11/13
お勧め度:★★★

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ピアノ教室に突然現れた奇妙なフランス人のおじさんをめぐる表題作の他、少年たちだけで過ごす海辺の別荘でのひと夏を封じ込めた「子供は眠る」、行事を抜け出して潜り込んだ旧校舎で偶然出会った不眠症の少年と虚言癖のある少女との淡い恋を綴った「彼女のアリア」。シューマン、バッハ、そしてサティ。誰もが胸の奥に隠しもつ、やさしい心をきゅんとさせる三つの物語を、ピアノの調べに乗せておくるとっておきの短編集。

ピアノの調べに乗せて綴られる三編の短編集。表題作のほか「子供は眠る」「彼女のアリア」が収録されています。

どの編も少年・少女から大人へと一歩成長をしようとしている年頃を描いています。児童文学出身だけあって(本書も児童書?)、繊細な子供心を書かせるとうまいですね。それぞれが抱えている悩みを、日常生活からの気付きから自力で解決していく姿がとても好感が持てました。

表題作「チョコレート入りアーモンドのワルツ」は、インパクトあるタイトルですが内容は微妙。とても魅力的な日々の出来事が書かれていたとは思うのですが・・・。今一つわかりにくかったです。

それに比べて、他の二編はどちらも良かった。「子供は眠る」は、毎年夏休みに別荘に集ういとこ5人のお話。何に対してもリーダーシップを取る章に対するみんなの行動もよく理解できるし、章の気持ちも理解ができました。自分の気持ちを隠さずぶつけた事で、彼らの絆はより深まったのではないでしょうか。次に再会したときの姿が見てみたいです。

「彼女のアリア」は、不眠症の男の子と虚言癖のある女の子のお話。一週間に一度の貴重な時間を大切に思うあまり、お互いに言いたいことを言えない辛さがひしひしと伝わってきました。言えないことからすれ違ってしまい、ここまま卒業を迎えると思いきや・・・。二人とも、やさしいなぁ。とても気持ちのいいラストでした。これが最後に収録されていればよかったのに・・・。

+++++

【みなさまのご意見】


「風に舞いあがるビニールシート」森絵都

風に舞いあがるビニールシートタイトル:風に舞いあがるビニールシート
著者  :森絵都
出版社 :文藝春秋
読書期間:2006/09/05 - 2006/09/07
お勧め度:★★★★

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愛しぬくことも愛されぬくこともできなかった日々を、今日も思っている。大切な何かのために懸命に生きる人たちの、6つの物語。

受賞選考に納得いかないとか言いつつも、受賞決定後すぐに図書館に予約申し込みしたおかげで、わりと早く手にすることが出来ました。6編からなる短編集。「大切な何かのために懸命に生きる人たちの、6つの物語」とのこと。

確かに面白いのだけれど、読書中からのモヤモヤ感が読み終わってもずっと残っていました。んー、これは何なのだろう? 期待していた展開と違うというのもありますが、何だか森さんっぽくない印象を受けました。たった二冊、しかも初期の作品しか読んでいないので、あまりえらそうなことは言えないのですが、他の方が書いたと言われても納得出来そうというか・・・。

"直木賞候補作"の間に読んでおけば、また違った印象を受けたのかなぁと思っています。どうしてもフィルタがかかっちゃいますからね。気を取り直して「DIVE!」を読みます。

以下短評。

「器を探して」
序盤なかなかいい感じで、引き込まれましたが、ラストが・・・。これで終わり?! これでいいの?!ってくらいに、詰めの甘いラストでした。笑う話なのでしょうか?

「犬の散歩」
ボランティアって出来る範囲でするのがよいのであって、ボランティアのために水商売を始めるってのがなんだか本末転倒のような・・・。自分なりの尺度の話は、共感は出来ました。

「守護神」
最初祐介を受け入れられなかったのだけれど、後半は割と楽しめました。几帳面な性格って大変ですねぇ。それにしても、レポートの代筆ってそんなに簡単なのだろうかと疑問が残ります。

「鐘の音」
これを書くために森さんは仏像の調査を念入りに行ったんだろうなぁ。ラストがぴったりと収まった温かみのあるお話になっていたけれど、どうせならホラーモノにしてもらった方が楽しめたかも。

「ジェネレーションX」
これは単純によかった。この中では一番いいかも。作中で石津がいう言葉に納得しました。こういう男って魅力的じゃないですか? ラストのオチもくすっと笑えます。

「風に舞いあがるビニールシート」
エドの志の高さは、幼いころのトラウマが影響しているのかな。事件は現場で起きてるわけで、フィールドワークに出なければ始まらないというのもわかるけど、エドには危うさが漂ってます。ただ、俺はいいことをしてるんだぜぇって感じじゃないのは好感が持てます。

一方、里佳が受け入れられないというか魅力がないというか。決まりきった型の中で物事を解決しようとしています。ラストが予定通りですが、狭い視野を広げるという意味で最適な解でしょうね。それを見抜いたリンダは優秀な上司だと思います。

+++++

【みなさまのご意見】


「ゴールド・フィッシュ」森絵都

ゴールド・フィッシュタイトル:ゴールド・フィッシュ
著者  :森絵都
出版社 :講談社
読書期間:2006/07/21
お勧め度:★★★

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新宿へいってしまった真ちゃん、いつのまにか大人びてきたテツ、そして、高校受験をひかえ、ゆれるさゆき。三人の〈リズム〉のゆくえは―。好評『リズム』の続編。

「リズム」の続編。2年後の、中学3年生になったさつきの姿を描いています。

夢のために東京へ出て行った真ちゃん。テツはめっきり大人びて、自分の進む道を見つけている。それに引き換え、さゆきは未だにやりたいことが見つからず、真ちゃんの夢を自分の夢として日々を過ごしていた。そんなある日、真ちゃんのバンドが解散、音楽をあきらめるという話を知る・・・。

自分が中学生のとき、何か夢を見ていたかなぁ。毎日野球と外で遊ぶことに費やしていて、何になりたいかなんて考えたこともなかったと思います。みんな偉いよ、将来を考えてて。でも、その分、理想と現実の違いを知るのが早かったのでしょうね。多感な時期に見せつけられた高い壁。そんなつらい壁を友達とか先生とかの力を借りて必死に登る姿を見て、応援せずにはいられませんでした。

テツがこの二年ですごくいい男に成長しましたね。優しくて、人に気持ちをよく考えてて。あとは、担任の大西先生がとてもいいキャラでした。少々頼りない感じだけど、生徒のことを第一に考えているってのがすごく伝わってきます。

「リズム」も「ゴールド・フィッシュ」も30分もあれば読み終わってしまいますが、「ゴールド・フィッシュ」の方が読み応えがありました。サイドストーリーが多めだったからかも。未読の方は、順番通りに読んでみてください。

+++++

【みなさまのご意見】


「リズム」森絵都

リズムタイトル:リズム
著者  :森絵都
出版社 :講談社
読書期間:2006/07/21
お勧め度:★★★

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ガソリンスタンドで働きながらロックバンドで歌をうたう、いとこの真ちゃん。そんなハデな真ちゃんに、まゆをひそめる人もいるけれど…。小さいころから大すきだった真ちゃんの家族が、ばらばらになってしまうかもしれないと知った、さゆきは…。第31回講談社児童文学新人賞。

直木賞受賞ということで、読みたいと思っていた森さんの本を借りてきました。まずはデビュー作から。

子供向けの本のようで、文字が大きくページ数も200ページ弱と薄め。ほんの30分で読み終わってしまいました。大好きないとこの真ちゃん一家が離婚でばらばらになってしまうかもしれない、と知った中学一年生・さつきの心の動揺と葛藤、そして成長を描いたお話。

自分は何も変わらないのに、周りがどんどん変わってゆく。まるで自分だけが取り残されているかのように感じたさつきは戸惑い、生活のペースを崩してゆきます。何も変わらない世界は居心地がよいですが、変化なくして成長はしない。「自分だけのリズムを打てばいい」という真ちゃんの言葉は、自分のペースを見失っているさつきのためであり、変化のスピードが速く、何かとストレスの多い社会に住む人々(大人も子供も)に向けてのためでもあるようでした。

読み終わったのは通勤電車の中でした。いつもは周囲の迷惑を顧みない乗客たちにいらいらを募らせてますが、この本を読んだときは何だか少しやさしい気持ちになれました。

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【みなさまのご意見】