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「インシテミル」米澤穂信

インシテミルタイトル:インシテミル
著者  :米澤穂信
出版社 :文藝春秋
読書期間:2008/05/14 - 2008/05/15
お勧め度:★★★

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バイト雑誌を立ち読みしていたビンボー大学生・結城は、ひとりの少女から声をかけられて……。この夏、鮮烈なミステリーがはじまる

感想はそのうち・・・。


「ボトルネック」米澤穂信

ボトルネックタイトル:ボトルネック
著者  :米澤穂信
出版社 :新潮社
読書期間:2006/11/02 - 2006/11/03
お勧め度:★★

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恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕は、強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。―はずだった。ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの「姉」に出迎えられた。どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい。

2年前に死んだ同級生・諏訪ノゾミを弔うために東尋坊へ行った嵯峨野リョウは、強い眩暈がして誤って崖から転落してしまうが、目が覚めると自宅近くの公園にいた。微妙な違和感を感じながら、ともかく自宅へ戻るリョウ。しかし、そこには産まれてこなかったはずの姉・サキがいた・・・。

自分の存在する世界と同時並行的に存在するもう一つの世界に飛んでいってしまったお話。割とよくある話と思いますが決定的に違うのは、嫌というほど見せつけられる二つの世界の違いです。

リョウの世界では両親が不仲。しかし、サキの世界では子どもを置いて二人で旅行に出かけるほど仲良し。リョウの世界でつぶれた定職屋は、サキの世界では繁盛していて、そして、死んでしまった諏訪ノゾミが、サキの世界では生きている・・・。

リョウの世界では全てが悪い方向に進んでおり、サキの世界ではいい方向に進んでいる。理由をたどるとそこには必ずサキが絡んでいて、世界の違いがリョウとサキの違い以外にはないと思わされてしまいます。

自分がいるから世の中は悪いのか、自分の存在する意味は果たして何か、と悩むリョウ。何の行動も起こさず、気付かずに過ごしてきた日々がリョウの肩に重く圧し掛かります。特に身近な存在であったノゾミが生きていることが一番心に応えたでしょうね。

タイトルに込められた意味と本文の内容とが繋がったとき、とても重たい気分になりました。ラストの文章から、本書で著者は「自分には何が出来るのか考えよう」そして「苦境に陥っても、諦めずに行動を起こそう」ということを言いたかったのだと推測しています。しかし、だとするともう少しその答えを、救いのある形でラストで明示して欲しかったなぁと思います。

何か悩んでいるときに本書を読んでしまったら、さらに心がマイナス方向に向かっていってしまいそうです。あまりに大きなボールを読者に向かって投げかけすぎではないでしょうか。著者の考えを少し聞かせてもらえたら、印象は大きく変わったと思われます。

+++++

【みなさまのご意見】


「犬はどこだ」米澤穂信

犬はどこだタイトル:犬はどこだ
著者  :米澤穂信
出版社 :東京創元社
読書期間:2006/04/29 - 2006/05/05
お勧め度:★★★★

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何か自営業を始めようと決めたとき、最初に思い浮かべたのはお好み焼き屋だった。しかしお好み焼き屋は支障があって叶わなかった。そこで調査事務所を開いた。この事務所“紺屋S&R”が想定している業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。それなのに、開業した途端舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、このふたつはなぜか微妙にクロスして―いったいこの事件の全体像は?犬捜し専門(希望)、二十五歳の私立探偵・紺屋、最初の事件。『さよなら妖精』で賞賛を浴びた著者が新境地に挑んだ青春私立探偵小説。
クドリャフカの順番」の次に手に取った米澤さんの本はこれ。

主人公は紺屋長一郎25歳。アトピー皮膚炎が原因で銀行を辞め、地元で犬探し専門の調査事務所を開く。しかし、思いとは裏腹に友達の紹介で転がり込んできた仕事は、疾走した女性探しと古文書の調査。意図したものではなかったけれど、友達の紹介ということもあり断りきれずに引き受けることとなる。相棒は、昔から探偵に憧れを持っていたという高校の後輩・半田平吉、通称ハンペー。全く異なると思われた2つの調査依頼、実は微妙に接点を持っていて・・・。

紺屋とハンペーの視点から書かれた章が交互に並ぶ構成。読者は途中で2つの調査の接点を見つけることが出来るのだけれど、当人たちはなかなかそれに気が付かず。いつ気が付くのかとヤキモキしながら読み進めました。上に立つものとしては部下の仕事の内容を把握すべきだし、部下はちゃんと報告すること。その大切さがよくわかります。

ハードボイルド風なのですが、ややライトで文章自体は読みやすい。事件の小ささと紺屋長一郎の精神状態を吐露する部分がちょっと気になる(話のスケールが小さい)のですが、それでも設定自体は十分に楽しむことが出来ました。ラストの展開にもちょっと驚いたし、もやもやしたラストもそれはそれでOKでした。

登場人物たちが魅力的なので続編を希望します。次は本当に犬を探すとか!?

追記:なんで突然オロロ畑が出てくるの!?

+++++

【みなさまのご意見】


「クドリャフカの順番」米澤穂信

クドリャフカの順番タイトル:クドリャフカの順番
著者  :米澤穂信
出版社 :角川書店
読書期間:2006/02/21 - 2006/02/24
お勧め度:★★★★

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待望の文化祭が始まった。何事にも積極的に関わらず“省エネ”をモットーとする折木奉太郎は呑気に参加する予定だったが、彼が所属する古典部で大問題が発生。手違いで文集を作りすぎたのだ。部員が頭を抱えるそのとき、学内では奇妙な連続盗難事件が起きていた。十文字と名乗る犯人が盗んだものは、碁石、タロットカード、水鉄砲−。この事件を解決して古典部の知名度を上げよう!目指すは文集の完売だ!!千載一遇のチャンスを前に盛り上がる仲間たちに後押しされて、奉太郎は「十文字」事件の謎に挑むはめに!米沢穂信が描く、さわやかでちょっぴりホロ苦い青春ミステリ。
初めて米澤さんの本としてこの本をを手にしました。でもこの本、「氷菓」「愚者のエンドロール」に続く"古典部シリーズ"の3作目だそう。単独でも十分に楽しめましたが、過去作品に言及する部分が多々あるので、順番通り読んだほうがもっと楽しめたのかなぁとちょっぴり後悔しました・・・。

神高の一大イベント「カンヤ祭」の最中に発生する連続盗難事件。十文字と名乗る犯人が、碁石、タロットなど一見関連性の無いものを盗んでいく。作りすぎた文集を完売するため、何とかして部の知名度を上げなければならない古典部の面々が謎解きに挑む。

自分は体育会系の出身なので、古典部を始めとして文化部を中心にすえたストーリーの展開にすごく新鮮さを感じました。やや地味な印象が否めない古典部という存在を一体どう展開させるのか思っていましたが、文化部って意外と体力勝負なのですね、全然知らない世界でした。それにしても学校祭が盛り上がる学校っていいですね。我が母校のことを思い出したけど、あまり盛り上がっていなかったような。伝統の違いなのかも。

主要登場人物は福部里志、折木奉太郎、千反田える、伊原摩耶花の四名。四者の視点から書かれた文章が交互に並んでいくと言う作りなのですが、これがまた個々の性格をうまく表現しています。データベースを自認する里志の知識、奉太郎の脱力さ加減、好奇心旺盛で動きがスローなえる、人付き合いがどことなく不器用な摩耶花などなど。あと料理対決で見られるえるの意外な一面やわらしべ長者ネタなどにも笑わせていただきました。

事件自体はあまり凝ったものではないので、謎解きの面白さはそれほど感じられないかもしれません。犯人を含む登場人物たちの心情表現に力が置かれている感があります。もちろんそれは成功しており、謎解きのせいで本の面白さが半減なんてことはありません。これは前二作と同じ傾向なのでしょうか。

冒頭に書いたようにシリーズ作を順番通り読めなかったのに後悔が残りますが、まぁ仕方ないのでこれからここまでに至る流れを知るために未読本を読んでみたいと思います。

+++++

【みなさまのご意見】
雑食レビューさん
本のある生活さん
IN MY BOOKさん(再読記事はこちら)
Ciel Bleuさん
ディックの本棚さん
図書館で本を借りよう!〜小説・物語〜さん
今日何読んだ?どうだった??さん
おもひでブルージーさん
ひなたでゆるりさん('06/03/28追加)
アン・バランス・ダイアリーさん('06/04/10追加)
本を読む女。改訂版さん('06/05/08追加)
たこの感想文さん('06/07/17追加)
苗坊の読書日記さん('06/11/02追加)
しんちゃんの買い物帳さん('07/12/21追加)