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「いちばん初めにあった海」加納朋子

いちばん初めにあった海タイトル:いちばん初めにあった海
著者  :加納朋子
出版社 :角川文庫
読書期間:2006/06/22 - 2006/06/23
お勧め度:★★★★

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堀井千波は周囲の騒音に嫌気がさし、引っ越しの準備を始めた。その最中に見つけた一冊の本、『いちばん初めにあった海』。読んだ覚えのない本のページをめくると、その間から未開封の手紙が…。差出人は“YUKI”。だが、千波にはこの人物に全く心当たりがない。しかも、開封すると、「私も人を殺したことがあるから」という謎めいた内容が書かれていた。“YUKI”とは誰なのか?なぜ、ふと目を惹いたこの本に手紙がはさまれていたのか?千波の過去の記憶を辿る旅が始まった―。心に傷を負った二人の女性の絆と再生を描く感動のミステリー。
久々に加納さんの本。中編2編を収録。

表題作「いちばん初めにあった海」について。心に深い傷を負った主人公・堀井千波が封印した過去の記憶を取り戻す。手紙の差出人"YUKI"の正体は、章の構成ゆえにすぐに知るところとなってしまいますが、千波と"YUKI"との関係や千波が今のような生活をおくっている理由が徐々に明らかになる過程はなかなかに読み応えがありました。

もう一編の「化石の樹」は、「いちばん初めにあった海」とゆるくつながっていて、おそらくその後のお話ではないかと思います。著者お得意の入れ子構造になっていて、最後でその入れ子構造がうまく生きる展開。表題作よりこちらの方がミステリーっぽいかな。

二編とも結構重たい内容だけど、暖かい気持ちにさせてくれるラストのおかげでじんわりとしたいい気持ちになりました。

+++++

【みなさまのご意見】
本を読む女。改訂版さん
+++こんな一冊+++さん
苗坊の読書日記さん
本を読もうさん('07/04/30追加)


「掌の中の小鳥」加納朋子

掌(て)の中の小鳥タイトル:掌(て)の中の小鳥
著者  :加納朋子
出版社 :創元推理文庫
読書期間:2006/01/31 - 2006/02/01
お勧め度:★★★★

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ここ"エッグ・スタンド"はカクテルリストの充実した小粋な店。謎めいた話を聞かせてくれる若いカップル、すっかりお見通しといった風の紳士、今宵も常連の顔が並んでいます。狂言誘拐を企んだ昔話やマンションの一室が消えてしまう奇談に興味はおありでしょうか?ミステリがお好きなあなたには、満足していただけること請け合い。−お席はこちらです。ごゆっくりどうぞ。
3冊目の加納作品となります。既読の2冊はシリーズもので、2冊目の「魔法飛行」を読んだ時に"若干飽きてきたので、シリーズ外の本を読みたい"なんて書きました(こちら)。で、待望のシリーズ外の本。透明感があって素敵なお話でした。

とあるパーティで知り合った男女(圭介と紗英)が主人公。紗英の身の回りで起こった小さな事件を、圭介がバー「エッグスタンド」で解決していくというお話。日常生活のちょっとした事件を物語をうまく物語に仕立て上げていく、既読本にも見られた手法ですが今回もとても新鮮でした。

二人の出会いまでのストーリーが秀逸です。圭介が持つ過去の恋愛の傷。何となく出かけたパーティで紗英が語る、昔自分が加担した偽装誘拐事件。エッグスタンドでの謎解き。そしてラストで明らかとなる意外な"繋がり"。何だかうれしくなってニヤリとしてしまいました。

結構重たい話もあるのですが、登場人物たちが皆いい人で気持ちよく読み進めることが出来ます。冷静で頭もいいんだけどちょっと自分に自信の持てない圭介、我がままなんだけど一途な紗英の主役2名は始め、エッグスタンドのバーテンダーもその常連客の老人も魅力的。綴られる文章はすごく美して目の前に情景が思い浮かぶんだけど、それに嫌味ややり過ぎ感が漂っていないのも特筆すべきことです。

ようやく3冊読んでマイベス投票に参加する権利を得ましたが(まだ受け付けてるのかな?)、もう少し読んでから投票したいと思います。今のところ、この本が一番のお気に入りです。

+++++

【みなさまのご意見】
本を読む女。改訂版さん
晴耕雨読さん
備忘録さん
つれづれ読書日記さん
Grave of memoryさん('06/02/21追加)
苗坊の読書日記さん('06/08/15追加)
たこの感想文さん('06/11/27追加)


「魔法飛行」加納朋子

魔法飛行タイトル:魔法飛行
著者  :加納朋子
出版社 :創元推理文庫
読書期間:2005/11/21 - 2005/11/22
お勧め度:★★★

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もっと気楽に考えればいいじゃないか。手紙で近況報告するくらいの気持ちでね−という言葉に後押しされ、物語を書き始めた駒子。妙な振る舞いをする"茜さん"のこと、噂の幽霊を実地検証した顛末、受付嬢に売り子に奮闘した学園祭、クリスマス・イブの迷える仔羊…身近な出来事を掬いあげていく駒子の許へ届いた便りには、感想と共に、物語が投げかける「?」への明快な答えが。
加納さんデビュー第二作。デビュー作「ななつのこ」から話が継続しているので、この本から読んでも楽しめると思いますが、刊行順に読んだほうがより楽しめそうです。

前作「ななつのこ」で知り合った瀬尾さんにすすめられ、駒子は物語を書き始めます。自分や友だちなど近辺に起こった不思議な話を物語形式にまとめて瀬尾さんに送り、瀬尾さんから感想と謎への返事が来るというやりとりの繰り返し。しかしある日、瀬尾さんにしか知らないはずの話を知っているかのような手紙が手元に届いて・・・。

前作でも見られた入れ子構造を今回でもうまく利用してます。短編の合間に入る謎の手紙。何かを思いつめ、助けを求める手紙。短編の内容も実はその手紙の結末に絡んでいたりと、各編の謎は単純だけど全体の構成で読ませてくれます。この辺はすばらしい。

ただシリーズ二作目にして底が知れてしまい、あまり驚きがありませんでした。むしろ若干飽きが来てます・・・。のんびりしている雰囲気は心地いいのですが・・・。早くシリーズ外の本を読んでみたいと思っています。

+++++

【みなさまのご意見】
もみじの本屋さん
備忘録さん
+ChiekoaLibrary+さん
+++ こんな一冊 +++さん
今日何読んだ?どうだった??さん
たこの感想文さん('06/01/07追加)
駒吉の日記さん('06/08/06追加)
苗坊の読書日記さん('06/10/16追加)


「ななつのこ」加納朋子

ななつのこタイトル:ななつのこ
著者  :加納朋子
出版社 :創元推理文庫
読書期間:2005/11/12 - 2005/11/14
お勧め度:★★★★★

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表紙に惹かれて手にした『ななつのこ』にぞっこん惚れ込んだ駒子は、ファンレターを書こうと思い立つ。わが町のトピック「スイカジュース事件」をそこはかとなく綴ったところ、意外にも作家本人から返事が。しかも、例の事件に客観的な光を当て、ものの見事に実像を浮かび上がらせる内容だった−。こうして始まった手紙の往復が、駒子の賑わしい毎日に新たな彩りを添えていく。第3回鮎川哲也賞受賞作。
加納さんのデビュー作にして第3回鮎川哲也賞受賞作。連作短編集。マイベス投票に参加するために読み始めたのですが、思っていた以上に楽しいお話でした。企画に感謝!

女子大生の駒子が表紙に惹かれて購入した「ななつのこ」という短編集がとても気に入り、作家である佐伯綾乃にファンレターを書くことから話は始まります。日常の不思議な出来事を織り交ぜたファンレター、返事は来るはずがないと思っていたところ、思いがけず返信が。しかも、ご丁寧に不思議な出来事に対する謎解きまでされていています。ファンレターが文通へと変わり、やがて・・・・。

主人公・駒子のキャラクターからなのか全体的にほのぼのムードが漂い、ミステリとは思えないほどのんびりとしています。出てくる謎自体も日常で見落としてしまいそうなくらい些細なことです。しかし、作中作「ななつのこ」の謎と各編の謎がうまく絡み合った二重謎構成は意外と複雑。最初の「スイカジュース事件」なんてうーん、うまいなぁとうなりました。

各編佐伯綾乃による謎解き(推理)によって終わります。それが正しかったのかどうかの後日譚や検証は特にありません。結論を読者に任せているのが、さらにほのぼのムードを高める要因になっているようにも思えます。

作中作「ななつのこ」の完全版が読んでみたいなぁと思っていたら、「ななつのこものがたり」という本が出ているのですね。絵本だそうで。本作で描かれている通りのお話なのかがちょっと気になります。

+++++

【みなさまのご意見】