200607
Tuesday
堀井千波は周囲の騒音に嫌気がさし、引っ越しの準備を始めた。その最中に見つけた一冊の本、『いちばん初めにあった海』。読んだ覚えのない本のページをめくると、その間から未開封の手紙が…。差出人は“YUKI”。だが、千波にはこの人物に全く心当たりがない。しかも、開封すると、「私も人を殺したことがあるから」という謎めいた内容が書かれていた。“YUKI”とは誰なのか?なぜ、ふと目を惹いたこの本に手紙がはさまれていたのか?千波の過去の記憶を辿る旅が始まった―。心に傷を負った二人の女性の絆と再生を描く感動のミステリー。久々に加納さんの本。中編2編を収録。
200602
Wednesday
ここ"エッグ・スタンド"はカクテルリストの充実した小粋な店。謎めいた話を聞かせてくれる若いカップル、すっかりお見通しといった風の紳士、今宵も常連の顔が並んでいます。狂言誘拐を企んだ昔話やマンションの一室が消えてしまう奇談に興味はおありでしょうか?ミステリがお好きなあなたには、満足していただけること請け合い。−お席はこちらです。ごゆっくりどうぞ。3冊目の加納作品となります。既読の2冊はシリーズもので、2冊目の「魔法飛行」を読んだ時に"若干飽きてきたので、シリーズ外の本を読みたい"なんて書きました(こちら)。で、待望のシリーズ外の本。透明感があって素敵なお話でした。
200512
Tuesday
もっと気楽に考えればいいじゃないか。手紙で近況報告するくらいの気持ちでね−という言葉に後押しされ、物語を書き始めた駒子。妙な振る舞いをする"茜さん"のこと、噂の幽霊を実地検証した顛末、受付嬢に売り子に奮闘した学園祭、クリスマス・イブの迷える仔羊…身近な出来事を掬いあげていく駒子の許へ届いた便りには、感想と共に、物語が投げかける「?」への明快な答えが。加納さんデビュー第二作。デビュー作「ななつのこ」から話が継続しているので、この本から読んでも楽しめると思いますが、刊行順に読んだほうがより楽しめそうです。
200511
Tuesday
表紙に惹かれて手にした『ななつのこ』にぞっこん惚れ込んだ駒子は、ファンレターを書こうと思い立つ。わが町のトピック「スイカジュース事件」をそこはかとなく綴ったところ、意外にも作家本人から返事が。しかも、例の事件に客観的な光を当て、ものの見事に実像を浮かび上がらせる内容だった−。こうして始まった手紙の往復が、駒子の賑わしい毎日に新たな彩りを添えていく。第3回鮎川哲也賞受賞作。加納さんのデビュー作にして第3回鮎川哲也賞受賞作。連作短編集。マイベス投票に参加するために読み始めたのですが、思っていた以上に楽しいお話でした。企画に感謝!