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「映画篇」金城一紀

映画篇タイトル:映画篇
著者  :金城一紀
出版社 :集英社
読書期間:2007/11/29 - 2007/12/03
お勧め度:★★★★★

[ Amazon | bk1 | 楽天ブックス | Book off ]


友情、正義、ロマンス、復讐、そして、笑いと感動―。五つの物語の力が、あなたを救う。今すぐ映画が見たくなる。今すぐ誰かに読ませたくなる。笑いと涙と感動が詰まった、完全無欠のエンターテインメント! 書き下ろし最新小説集。

映画をモチーフにした連作短編集で全五編が収録されています。

区民会館での「ローマの休日」上映会を軸に、それぞれの物語が微妙に絡まっているのがポイント。友情あり、家族愛あり。男女の出会いもあれば、亡くなった人に対する思いもある。それぞれ独立しているのに「ローマの休日」で繋がっていて、長編小説とも思えるほどでした。

出てくる映画をリストアップしようと意気込んでいましたが、すぐにやめました。出てくる映画が多いってこともあるけど、読むペースと流れを妨げたくなかったというのが大きな原因です。映画への愛情はもちろんのこと、登場人物たちがみんな愛らしかったです。

どれもすばらしい話でしたが中でも「太陽がいっぱい」「愛の泉」がお気に入り。「太陽がいっぱい」は金城さんお得意の設定、「愛の泉」はオチが予想できたけど暖かい気持ちになりました。

寡作の人だからまたしばらく新刊が出ないんでしょうね・・・。ドラマ「SP」で我慢することにします。

以下、備忘録。

太陽がいっぱい
デビュー小説の映画化が決まり、訪れた撮影現場で小学校の同級生と出会う。渡されたブルース・リーのブロマイドから仲のよかった友「龍一(リョンイル)」を思い出す。

ドラゴン怒りの鉄拳
連れ合いが寝室で自殺してから引きこもりの生活が続いた私。たまたま電話のジャックをつなげた時にレンタルショップからビデオの返却依頼の電話が来る。私は意を決してビデオを返しに出かける。

恋のためらい/フランキーとジョニー もしくはトゥルーロマンス
隣の席の石岡さんと好きな映画の話をしてから仲良くなった僕。突然の電話で呼び出された僕は、石岡さんからとんでもない計画を打ち明けられる。

ペイルライダー
自由研究「映画ランキングベスト50」の為にレンタルビデオ屋通いをする小学生・ユウは、店を出たところでクラスのいじめっ子に難癖をつけられる。そこに大きなバイクに乗ったパンチパーマのおばちゃんが通りかかりいじめっ子を追い払ってくれた。おばちゃんは何やら目的があってこの町に来たらしく・・・。

愛の泉
おじいちゃんが亡くなってから元気のないおばあちゃんを励ますため、孫五人は協力しておばあちゃんがおじいちゃんと初めて観た映画の上映会を計画する。

+++++

【みなさまのご意見】
苗坊の読書日記さん('08/01/07追加)
ぱんどらの本箱さん('08/01/07追加)
多趣味が趣味♪さん('08/02/07追加)


「対話篇」金城一紀

対話篇タイトル:対話篇
著者  :金城一紀
出版社 :講談社
読書期間:2006/05/09 - 2006/05/10
お勧め度:★★★★★

[ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]


孤独の淵に閉ざされた人々が、他者との「対話」によって少しずつ世界への扉を開いていく。心にやさしく響く作品集。「恋愛小説」「永遠の円環」「花」の3篇を収録。
金城さんの著作は、本書で読了。もったいなくって読むのを先延ばしにしていました。ゾンビーズシリーズや「GO」が有名な金城さんですが、本書もそれにも負けないくらいとても素晴らしい本でした。「恋愛小説」「永遠の円環」「花」の3つの短編が収録されています。

どの短編も男性二人が登場し、「対話」をする形で描かれています。語られる内容が愛と死について。そのせいか他の著作と異なり、静寂と言っていいくらい静かな雰囲気です。

「恋愛小説」では主人公とその友人の対話。自分が大切に思う人物が次々に亡くなり、決して心を開くまいと人生を送っていた友人。しかし、とても大切に思う女性が出来、自分の運命に立ち向っていくのですが・・・。何も悪いことはしていないのに、運命に翻弄される。そして、友人はそれを誰かに語りたかったのでしょう。それが主人公だったのもまた運命だったのかと思います。

「永遠の円環」では、病床に伏して余命幾ばくもない主人公が、次々と知り合いを見舞いに呼び、彼の願いを実行してくれる人間を探す。自分の大切に思っていた女性を傷つけた人物を殺す依頼。現れるはずがないと思われた実行者が遂にあわられた。その正体は・・・。自分の命があとわずかだと知ったとき、どのように過ごしたいのか。今の自分にはまだ答えは出ません。きっぱりと言い切れる主人公たちがかっこいい。

「花」はロードノベル。主人公は脳の病に冒されており、手術の際に記憶をなくしてしまうかもしれないという。落ち込む主人公に、冤罪事件で有名な老弁護士と一緒に、車で鹿児島まで行くという、一風変わったアルバイトが舞い込む。鹿児島までの旅は、老弁護士の過去−妻との生活−を掘り起こす旅。そして主人公にとってはどんな旅になったのか・・・。一番ページを割かれて書かれている本編がイチオシです。徐々に取り戻してゆく妻の記憶。おぼろげだったものが、どんどん形となっていきます。そして、鹿児島に着き、主人公と老弁護士は目の前に広がる光景から全てを知ります。愛の形にはこういう形もあるなと感じずにはいられませんでした。

誰かに話を聞いて欲しい。そういうことは誰にでもあるでしょう。今回はどれもそれが身近な人ではなかったわけですが、その分素直に語れたのかもしれません。読み終えてとても静かで優しい気持ちになれました。

+++++

【みなさまのご意見】
本を読む女。改訂版さん
本のある生活さん
たりぃの読書三昧な日々さん
苗坊の読書日記さん
Ciel Bleuさん
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('06/06/11追加)
Re:Startさん('06/06/14追加)
多趣味が趣味♪さん('06/06/19追加)
ナナメモさん('06/07/18追加)
しんちゃんの買い物帳さん('07/08/07追加)


「SPEED」金城一紀

SPEEDタイトル:SPEED
著者  :金城一紀
出版社 :集英社
読書期間:2006/02/20 - 2006/02/21
お勧め度:★★★★★

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私の憧れの女性だった家庭教師の彩子さんが自殺!? 後悔なんかするもんか。岡本佳奈子、16歳、真面目で平凡な女子高生。そして−。家庭教師の謎の死+ザ・ゾンビーズ+憎むべき敵+赤い車=初めての冒険!
「レヴォリューション No.3」「フライ、ダディ、フライ」に続く、ザ・ゾンビーズシリーズの第三弾。「フライ〜」同様、本作でもザ・ゾンビーズは脇役で、主役は女子高生・岡本佳奈子となっています。これから読む人は必ず刊行順に読んでください。既刊本とのつながりがちらほらと書かれているので、読んでからのほうが絶対に楽しめますから。

岡本佳奈子は有名なお嬢様学校・聖和女学院に通う平凡な高校一年生。家庭教師の女子大生・彩子さんが自殺したことから、佳奈子の生活は急変していきます。彩子さんの死に疑問を持ち調査を開始した佳奈子、そんな彼女の身に危険が迫ります。自宅への帰り道で暴漢に襲われ、工事現場へと連れ込まれてしまうのです。そこに現れたのが(というかたまたま居合わせたのが)、ザ・ゾンビーズの面々。目の前にある悪には完全と立ち向かう彼ら、いや、聖和と聞いては黙っていられない彼らは佳奈子を助け、襲われた真相、そして彩子さんの謎の死を一緒に追っていきます。

「フライ〜」を読んでまだそれほど時間がたってないのに、ザ・ゾンビーズに会ったら何だか妙に懐かしい気分になりました。久しぶり〜って声をかけたいほど。冒頭いきなり無敵を誇る舜臣が倒れてる場面では何があったのかとドキッとし、その時点で完全に引き付けられてしまったのでした。

もちろん今回も大活躍のザ・ゾンビーズの面々だけど、今作はこれまでやや陰の薄かった「アギー」こと佐藤健の活躍が大きいです。その類い稀な容貌を武器に、次々と証言を引き出す手腕。お母さんまで登場しちゃって、みんなでご飯食べるシーンはその輪に加わりたいと思ってみたり。アギーが登場すると決まって書かれる"お約束"ににんまりとしてみたり。そして、なぜ金を取るのかと聞かれ「やつらとまじめに向かい合うのが恥ずかしい」と答えるアギーを見て、何だかじわっとくるものがあったり。

主人公・岡本佳奈子もよかったです。冒険後にはお互いきっぱりとゾンビーズと関わりを絶つ佳奈子。自分の世界から一歩踏み出した佳奈子だけど、自分が彼らの中に積極的に飛び込んでいいものかと自問します。それはまた別の話として書かれるのでしょうか。うまく"ジュテ"が出来るようになった頃に。

評価は文句なく星五つ。シリーズ中で一番好きな作品です。読者大賞blog「2005年新刊ベスト」での一位にしましたし。金城作品の未読本は残すところ「対話篇」のみとなりました。既に購入済み。早く読みたいけど、これで終わりなのかと思うともったいなくってなかなか手が付けられないのです。この気持ち、わかる?

+++++

【みなさまのご意見】
本を読む女。改訂版さん
ナナメモさん
今日何読んだ?どうだった??さん
Ciel Bleuさん
*milk and honey*さん
たりぃの読書三昧な日々さん
本のある生活さん('06/04/17追加)
ぱんどら日記さん('06/06/04追加)
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('06/07/04追加)
粋な提案さん('06/08/06追加)


「フライ,ダディ,フライ」金城一紀

フライ,ダディ,フライタイトル:フライ,ダディ,フライ
著者  :金城一紀
出版社 :講談社
読書期間:2005/12/28 - 2005/12/29
お勧め度:★★★★★

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おっさん、空を飛んでみたくはないか? はい、とりあえずやってみます…。鈴木一、47歳。平凡なサラリーマン。破綻した世界を取り戻すための、ひと夏の冒険譚。
「ザ・ゾンビース」シリーズ第2弾。と言っても、ザ・ゾンビーズの面々はあくまで脇役で、今回の主役は平凡なサラリーマン・鈴木一(はじめ)です。

毎日決まった時間に出社・帰宅を繰り返す、そんな平凡なサラリーマン・鈴木一。築き上げてきた平凡だが幸せな生活が一変するのに時間はかからなかった。大切な娘が殴られて入院。相手はボクシングの高校チャンピオン・石原。反省の色も見せない石原、そんな石原を庇い事件そのものを隠蔽しようとする学校に怒る鈴木。素手では勝てないと刃物を持って学校に乗り込む鈴木だったが、学校を間違えてザ・ゾンビーズの学校へ乗り込んでしまい・・・。

非常にわかりやすいお話。スピーディな展開、軽くて重いフレーズにどんどん引き込まれていきます。自分には災いが降りかからない。誰しもがそう思っていることでしょう。しかし、悲劇は突然何の前触れもなくやってくる。人間の強さが試されるのはそういう時なのだと教えさせれます。鈴木は弱った娘が助けを求めても手を差し伸べられず、戦おうと思っても素手では立ち向かえない弱い人物。鈴木に自分を重ね、自分だったらどうするかを考え始めると、弱い鈴木を笑うことなど出来ません。

ひょんなことから始まった高校生・朴舜臣と鈴木の師弟関係。朴舜臣に肉体を鍛えられながら、同時に精神も鍛え上げられていく鈴木。人に教えられるわけでなく、自分で自分が弱い人間であると悟った時に、喧嘩の結果はどうであれ(結末はわかると思いますが)、この鍛錬の時間は無駄にはならなかった。強くそう思いました。

あっという間に読み終えてしまいますが、「GO」「レボリューションNo.3」と同様扱っているテーマは結構深いです。読み終えるのがもったいないと思ったのも前作と同様でした。もうちょっと刊行ペースをあげてくれればいいんですけど・・・。

フライ,ダディ,フライ余談:
お店に在庫なく、またまた集英社版を買ってしまいました。講談社版のほうがカッコいい・・・。

+++++

【みなさまのご意見】
本を読む女。改訂版さん
ついてる日記さん
本のことどもさん
今日何読んだ?どうだった??さん
Ciel Bleuさん
日々のちょろいもさん
たりぃの読書三昧な日々さん
*milk and honey*さん
ナナメモさん
ひまさえあればさん
a bird shopさん
流石奇屋〜書評の間さん
M's BOOKcaSeさん
デコ親父は減量中さん('06/03/15追加)
IN MY BOOKさん('06/04/04追加)
死にぞこないの日常さん('06/04/13追加)
本のある生活さん('06/04/17追加)
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('06/08/07追加)
苗坊の読書日記さん('07/01/22追加)


「レヴォリューションNo.3」金城一紀

レヴォリューション No.3タイトル:レヴォリューション No.3
著者  :金城一紀
出版社 :講談社
読書期間:2005/11/28 - 2005/11/29
お勧め度:★★★★

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君たち、世界を変えてみたくないか?
オチコボレ高校に通う「僕」たちは、三年生を迎えた今年、とある作戦に頭を悩ませていた。厳重な監視のうえ強面のヤツらまでもががっちりガードするお嬢様女子高の文化祭への突入が、その課題だ。
前に読んだ「GO」が面白くって本書を手にしました。いやほんと最高に面白い、金城さんの本って。

有名進学校が集中する新宿区に存在する典型的オチコボレ男子校。そこにいる愉快な仲間たち。その名は"ザ・ゾンビーズ"。「君たち、世界を変えてみたくはないか?」というドクター・モロー(高校の先生)のひと言がザ・ゾンビーズの胸に響いた。勉強の出来る奴らに支配されている世界を変える→良い遺伝子を奪い取る→お嬢様女子高生をものにする、と発想した彼らは"女子高の学校祭に進入する"ことに全力を注ぐようになる。

掲題作「レヴォリューションNo.3」のあらすじはこんな感じ。世界を変えることからの発想がくだらない。でも、そんなくだらないことにエネルギーを使えるのってすごいなぁって思うし、うらやましいなぁって気もする。勢いだけで行動が出来たらなぁ。

だんだん歳を取るにしたがって、体面や損得を考えて動くようになり、やがて相手の心のうちも見えにくくなってしまう。本書に登場するザ・ゾンビーズは、そんなこととは無縁で、仲間の危機を聞けば駆けつけて体を張り、面白いことがあればみんなで集まって大笑いをする、そんな高校生たちだ。ただのお気楽で軽い話かと思いきや、「GO」にも見られた在日の問題など深いテーマも存在している。個性が際立つ登場人物たちが個々に持つ悩みや怒りなどがびしびしと響いてきました。

爽快なスピード感でどんどん読ませられちゃいます。でも、読み終わるのがかなりもったいない。もうちょっと彼らの仲間になっていられる時間が欲しかったです。

"ザ・ゾンビーズ"シリーズの続編「フライ,ダディ,フライ」も既に入手済み。うー、早く読みたい!

レヴォリューションNo.3余談:
ホントは講談社版が欲しかったんだけど見つからず、角川書店版を入手しました。装丁は講談社版の方が断然いいです。

+++++

【みなさまのご意見】


「GO」金城一紀

ドミノタイトル:GO
著者  :金城一紀
出版社 :講談社文庫
読書期間:2005/09/29 - 2005/09/30
お勧め度:★★★★

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僕は何者?日本で生まれ、日本で育ったけれど、僕は"在日"と呼ばれる。元ボクサーのオヤジに鍛えられ、これまで喧嘩二十三戦無敗。ある日僕は恋に落ちた。彼女はムチャクチャ可愛らしい"日本人"だった−。軽快なテンポとさわやかな筆致で差別や国境を一蹴する、感動の青春恋愛小説。直木賞受賞作。
ずっと気になってた金城さんの本でしたが、直木賞受賞、映画の大ヒットとあまのじゃくの性格が災いして手にするのが遅れました。ブログで評価が高いのを見なかったらおそらくまだ手にしていないだろうなぁ。ブログを始めて確実に読む本の幅が増えています。

紹介文にある通り本書は在日韓国人の高校生・杉原を主人公とする物語です。ただ、恋愛小説かと言うと???ですね。軽快な文章、魅力的な登場人物のおかげですらすらと読めてしまいますが、その文章の奥に潜む主題は日本人があまり考えたがらない人種差・国籍差であり結構ヘビーです。

日本で生まれ、日本に住みながら日本人と同一に扱ってもらえない苦労。外国へ行くことさえもままならない苦労。変えようと思えば簡単に変えられてしまう国籍とは果たしてどんな役割を持つのだろうか。杉原の疑問には答えがなく、そのまま読み手に対する問いかけとなっています。

韓流ブームで韓国文化を紹介する番組等が増えましたが、それでも日韓の歴史観の違いを特集するものは皆無(NHKくらいかな)で、日本の国旗が燃やされるなどの反日デモをニュースで見るくらい。これらのニュースを見せられるだけならば悪感情しか浮かびません。その行動を取るに至る感情や歴史を知らずして、意味を理解するのは不可能と言うものです。

韓国人だけでなく日本には沢山の外国人が住んでいます。肌の色や言葉の全く違う人も一緒に生活しているわけです。国際化する世の中で、私を含めみんながもっと歴史や文化を学び理解していく必要性を感じます。

この本をオヤジがカッコいいとか正一がカッコいいとかで終わらせるのは勿体無い(確かにカッコいいのだが)。自分の考えを直ちにグローバル化するというのは所詮無理な話ですが、数冊、手始めに日韓の歴史について本を読んでみようという気になりました。

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【みなさまのご意見】
Ciel Bleuさん
本を読む女。改訂版さん
たこの感想文さん
本のある生活さん('06/04/24追加)
苗坊の読書日記さん('07/08/07追加)
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('08/02/17追加)