200905
Tuesday
"根拠なしポジティブ"の現代のフリーターと、昭和19年の「海の若鷲」にあこがれる軍国青年が時空を超えて入れかわった! それぞれの境遇に順応しつつも、ふたりはなんとか元の時代に戻ろうとするが…。おもしろくてやがて切ない、愛と青春の戦争小説。
200711
Thursday
フィリップ・マーロウに憧れる私は、むろん私立探偵である。が、やむなく、失踪したペットの捜索を請け負うこともある。ある日、和服を着た若く美しい女性が事務所を訪れてきた。ペット捜しならもう―「うちの猫を捜してほしいんです」はい喜んで。一カ月ぶりの仕事ではないか。しかもそうこうするうち、なんと「ブロンドで青い目の若い」秘書まで雇えることに。え、な、なんだこいつは!?おまけに猫捜しも、ただの猫捜しではなくなっていくのだった…。『ハードボイルド・エッグ』続編。最上俊平ふたたび。
200709
Wednesday
今ならこの物件、かわいい女の子(14歳・明治生まれ)がついてきます…。幽霊とサラリーマンの奇妙な同居を描いた表題作ほか、「木下闇」「殺意のレシピ」「介護の鬼」など全9話を収録した、ぞくりと切ない傑作短編集。
200702
Monday
人ごとだと思っていたことが、我が身に起きてしまった。若年性アルツハイマーと告げられた佐伯。彼には、記憶を全てなくす前に果たさねばならない約束があった…。身につまされる長編小説。
200702
Sunday
この俺が、超赤字テーマパークを立て直す?!たとえ何にもしなくても、毎朝デスクにたどり着きさえすれば満点なのが、正しいお役所ライフのはずなのに…。最愛の妻に可愛い子供と過ごす優雅なアフター5はどうなっちゃうんだ?地方都市の村興しと権力闘争に翻弄される公務員の、可笑しくてやがて哀しき奮闘を描く「宮仕え小説」の傑作。
200606
Monday
「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。これまで荻原さんの作品は10作近く読みましたが、その中でも1,2を争う出来。
200605
Sunday
高3の夏、復讐は突然はじまった。中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく…。犯行予告からトロ吉が浮び上がる。4年前クラス中のイジメの標的だったトロ吉こと廣吉。だが、転校したトロ吉の行方は誰も知らなかった。光也たち有志は、「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を捜しはじめるのだが−。やるせない真実、驚愕の結末。高3の終らない夏休みを描く青春ミステリ。久しぶりに読んだ荻原さんの本でしたが、今までの本とはちょっと雰囲気が異なっていました。これまでのコメディ路線から一転、今回扱っているのは「いじめ」です。
200602
Wednesday
伊達秀吉は、金ない家ない女いない、あるのは借金と前科だけのダメ人間。金持ちのガキ・伝助との出会いを「人生一発逆転のチャンス?」とばかりに張り切ったものの、誘拐に成功はなし。警察はおろか、ヤクザやチャイニーズマフィアにまで追われる羽目に。しかも伝助との間に友情まで芽生えてしまう−。はたして、史上最低の誘拐犯・秀吉に明日はあるのか?たっぷり笑えてしみじみ泣ける、最高にキュートな誘拐物語。荻原本は本作で6冊目です。ようやく刊行作品の半数程度を読んだことになります。全て路線は同一で、笑いあり、涙あり、最後に人生のほろ苦さを感じさせる作品ですが、外れがなくってどれも面白いです。そしてこの作品も御多分に漏れず面白かった!
200512
Friday
大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した佐倉凉平。入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。クレーム処理に奔走する凉平。実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや…。サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。マイベス投票を終えてから、久しぶりに荻原さんの本を読んでみました。荻原さんにははずれがない、と再認識させられた作品。
200508
Tuesday
元・大衆演劇役者の花菱清太郎が家族全員を巻き込んで始めたのは、レンタル家族派遣業。しかし、失敗に次ぐ失敗に借金はかさみ、いつのまにか火の車に。やがて、かつての義理で旅回りの一座に加わることになったが…。「本の雑誌」が選ぶ2002年上半期ベスト10の3位。著者の最高傑作。荻原本4冊目。マイベス投票するのに3冊じゃあ格好つかないだろうと思い急遽読み始めましたが、この本が今まで読んだ中でのマイベストとなりました。