200706
Thursday
闘争と潜伏にあけくれ、20年を棒に振った「おれ」。だが人生は、まだたっぷりと残っている。旅先の京都で始まった、長屋の教会での居候暮らし。あやしげな西洋坊主バンジャマンと、遅れすぎた活動家だった「おれ」。そして不在の「あいつ」。あきらめを、祈りにかえて生きるのだ。―いつわりと挫折の日々にこそ宿る人生の真実を描く傑作小説。
200612
Thursday
仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる。そんな同期の太っちゃんが死んだ。約束を果たすべく、私は彼の部屋にしのびこむ-。仕事を通して結ばれた男女の信頼と友情を描く表題作のほか、「勤労感謝の日」を収録。
「仕事のことだったら,そいつのためになんだってしてやる。それが同期ってものだと思う」
200609
Friday
現代人の孤独と寂寥、人間関係の揺らぎを完璧な文体で描いた傑作短篇集。
かけだしの女性作家と、会社を辞め、引きこもりをつづけて困窮を極める青年との淡い関係を描く表題作。大阪の彼女と名古屋の育ての母との間で揺れる東京のホテルマンを描いた「へたれ」他全5篇。気鋭の傑作短篇集。
200605
Monday
「じゃ、回り道してやろうぜ。どうせこの世の全てが回り道なんだ」 6台のクルマをめぐる、回復と喪失の物語。車好きの楽しめる小説。さらに書下ろしエッセイ、徳大寺有恒との対談も収録。2004年5月から自動車雑誌「NAVI」に連載されていた連作短編小説。雑誌の内容にちなみ、車にまつわる短編で全6編収録されています。40手前の絵描きの女性・ゆうこと、その元彼である音楽プロデューサー・本条の再会から別れまでを描いており、本条が乗っている車が毎回異なるという設定。
200601
Friday
21歳の夏は一度しか来ない。あたしは逃げ出すことにした。この本が2005年ラスト本となりました(記事のアップはこんな時期になりましたが)。直木賞候補作。
軽い気持ちの自殺未遂がばれて、入院させられた病院から。
逃げるのに思いつきで顔見知りを誘った。24歳の茶髪で気弱な会社員。
すぐに「帰ろう」と主張する彼を脅してすかして車を出させた。東へ。そして南へ。
おんぼろ車で九州の田舎町を駆け抜けるふたりの前にひろがった暑い夏の物語。
200510
Tuesday
「あなた」とは指一本触れないままの12年間、袋小路に住む男にひたすら片思いを続ける女を描いた究極の純愛小説。川端康成文学賞受賞の表題作を含む3篇を収録した短篇集。「群像」掲載を単行本化。表題作「袋小路の男」「小田切孝の言い分」「アーリオオーリオ」の3編からなる短編集。前2編は続き物で女性の視点、男性の視点に立ったもので基本的には同じ時間でのお話、3編目は独立したお話となっています。また、表題作は帯によると川端康成文学賞受賞の純愛小説だそうです。
200508
Monday
背負っていかなきゃならない最低限の荷物−それは孤独。海辺の街にひっそりと暮らす青年とふたりの女と出来そこないの神様・ファンタジーが奏でる切ない愛の物語。『新潮』掲載を単行本化。第130回芥川賞候補作。「イッツ・オンリー・トーク」に続き2作目となる絲山さんの作品。本作も芥川賞の候補作となった話題作となっています。
200508
Monday
引越しの朝、男に振られた。東京・蒲田−下町でも山の手でもない、なぜか肌にしっくりなじむ町。元ヒモが居候、語り合うは鬱病のヤクザに痴漢のkさん。いろいろあるけど、逃げない、媚びない、イジケない、それが「私」、蒲田流。おかしくて、じんわり心に沁みる傑作短篇集。第96回文学界新人賞受賞。十年に一度の逸材、鮮やかなデビュー作。「逃亡くそたわけ」で第133回直木賞候補に挙がった著者のデビュー作。この本で第96回文学界新人賞受賞、そして第129回芥川賞候補となっています。デビュー作で候補になってから3回連続芥川賞候補になり落選、直木賞も落選と賞には恵まれてない感ありですが、しかしこれほど落選続きだと逆に気になるのが人間の心理?!。