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「パンク侍、斬られて候」町田康

パンク侍、斬られて候タイトル:パンク侍、斬られて候
著者  :町田康
出版社 :マガジンハウス
読書期間:2006/04/23 - 2006/04/26
お勧め度:★★★

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江戸時代、奇怪な宗教団体「腹ふり党」が蔓延する藩に現れた牢人・掛十之進。彼は弁舌と剣の実力を発揮して活躍するが…。『鳩よ!』及び『ウフ.』連載を大幅に加筆修正して単行本化。
「告白」以来久々に著者の本を読みました。相変わらず弁舌軽やかな世界が展開しています。

街道沿いの茶屋で茶を飲んでいた牢人・掛十之進が、突然巡礼の父娘に歩み寄り、その父をずばっと斬り捨てるところから物語は始まる。自他共に認める凄腕の剣士でありながら流浪の身である掛は、一計を案じてある藩に取り入れてもらおうと企てる。悪徳宗教「腹ふり党」が近隣諸国で蔓延しており、専門家である自分を召抱えないと藩の壊滅につながるというものだが……。

時代小説らしからぬ言い回し、頻出するカタカナ言葉と難しい漢字。この本を時代小説として受け止めようとしたのが、そもそも間違いでした。リズミカルな言葉の流れに翻弄されっぱなし、流されっぱなしなのですが、それがとても心地よいです。毎度のことながら、文章の意味について一つ一つあまり考えすぎないほうが調度よかったです。

前半はだらっとした展開でしたが、「腹ふり党」が出現してからの展開は怒涛の如く。民衆が狂ったように行う腹ふりは、ロックコンサートで猛り狂うファンの姿を彷彿させるほどすさまじいものがあります。自らを「パンク侍」と名乗った掛は、自分をロック=既成概念を壊す存在として君臨しようとしたのでしょうか。

ラストの展開も見事。はまる所にぴたりとはまったのがとても爽快でした。町田さんの本は割りと読み手を選ぶと思いますが、この本は比較的どなたが読んでも楽しめるエンタテインメント作品だと思います。

+++++

【みなさまのご意見】


「告白」町田康

告白タイトル:告白
著者  :町田康
出版社 :中央公論新社
読書期間:2005/11/29 - 2005/12/07
お勧め度:★★★★

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人はなぜ人を殺すのか−−河内音頭のスタンダードナンバーで実際に起きた大量殺人事件<河内十人斬り>をモチーフに、永遠のテーマに迫る渾身の長編小説。殺人者の声なき声を聴け!
明治時代に実際にあった「河内十人斬り」がモチーフ。なぜに主人公・城戸熊太郎が弟分・谷弥五郎と組んで殺人を犯し、自決するにいたったかが町田節を持って事細かに記述されています。

感情の中の自分と現実に存在する自分の違いに戸惑う主人公の熊太郎。熊太郎と言う男は「今日は暑いでんなあ」「そうでんなあ」なんて日常会話の中にもあれこれと考えを巡らせてしまう思弁癖の持ち主。考えすぎた挙句にいい方向に進めばよいのだが、ほぼすべて悪い方向へ転がり、しかもその思いを何一つとして他人に言えない。自分でも「思うことを言葉に出来ない」ということを承知していて伝わるように話そうとするのだが空回り。他人からは頭がおかしいと思われてしまう。熊太郎の孤独、苦悩、他人とは違うという劣等感からくる言動と行動がとても切なく、そしてもどかしかったです。

人殺しの話なのでとてつもない悪人を想像していたんだけど、これを読む限り熊太郎はむしろ善人で純粋、子供ような人。いや、大人になりきれない人といったほうがいいのかな。人一倍寂しがりで仲間が欲しいのに、妙なプライドが邪魔して騙され、妻を寝取られ、友達に愛想付かされる。程度の差こそあれ誰しも見られる傾向のような・・・。自分も気をつけねば。

辛く重い作品ではあるけれど、節々に散りばめられた町田さん特有のリズムある文章がふとした笑いを提供してくれます。相変わらず訳がわからない箇所が多いんだけど、まぁそれはそれでよし。読み進めるうちにそのリズムに高揚してきて、なんだかぼぉーっとしてきました。特に最後の方は圧巻。書いてる途中に町田さんは変な気分になってこなかったのでしょうか。

万人向きではないと思うけど、間違いなく今までに味わったことのない感覚を受ける一冊。分厚いので覚悟はいるけど手にしてはいかがでしょう。

+++++

【みなさまのご意見】


「夫婦茶碗」町田康

夫婦茶碗タイトル:夫婦茶碗
著者  :町田康
出版社 :新潮文庫
読書期間:2005/10/17 - 2005/10/18
お勧め度:★★★

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金がない、仕事もない、うるおいすらない無為の日々を一発逆転する最後の秘策。それはメルヘン執筆。こんなわたしに人生の茶柱は立つのか?!あまりにも過激な堕落の美学に大反響を呼んだ「夫婦茶碗」。金とドラッグと女に翻弄される元パンクロッカー(愛猫家)の大逃避行「人間の屑」。すべてを失った時にこそ、新世界の福音が鳴り響く!日本文芸最強の堕天使の傑作二編。
町田さんの本の感想を書こうとすると、さて何を書いたらよいかと手が止まってしまいます。んー、何が言いたかったのだろうと。でも、ようやく楽しみ方がわかったような気する・・・。

「文章に身を任せて、あまり深く考えすぎないこと」

これに尽きます。アバンギャルドな文体を楽しみ、その時々で大笑いすること。抜群のリズム感、スピード感に身を委ねること。思いついたことを書きなぐってるんだから、話の筋なんか求めちゃいけない。でも、その"思いつくこと"が万人は思いつかない発想というか。褒めているようで、あまり褒めていないですね・・・。でもまぁ、面白いものは面白い。

短編二編収録されてますが、どちらも基本的には同じ内容。ダメ男が何とかお金を稼ごうとあの手この手と策を打つ。茶碗洗いで金を稼ぐとかメルヘン作家になるとか。傍から見ればうまく行きそうにないことを、ダメ男はうまくいくと信じて疑わない。己の信念をとことん貫く。そして失敗してへこむ。これの繰り返し。進歩が全くない。でも、その進歩の無さ、発想の豊かさ、これと決めたら突き進むパワーが愛らしいんですよ。親友にいたら嫌だけど、遠くから眺めていたいタイプ。

Amazonの感想などを読むと大絶賛している人が多いのだけれど、面白い/面白くないの評価が大きく分かれそうな本ですね。芥川賞受賞作「きれぎれ」や谷川潤一郎賞受賞作「告白」もこんな感じなのでしょうか。

+++++

【みなさまのご意見】


「供花」町田康

供花タイトル:供花(くうげ)
著者  :町田康
出版社 :新潮文庫
読書期間:2005/08/26
お勧め度:★★

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『夫婦茶碗』『きれぎれ』等の傑作により、文学の新地平を拓き、熱狂的ファンを獲得した小説家・パンク歌手による伝説の第一詩集が、未発表作品を含む新編集で再生!桜の下、大安売り会場、スラム街、地下鉄の座席、立ち喰い饂飩屋…あらゆる場所に百三十編の言葉の悦び。
「くっすん大黒」に引き続き手にした本。短編か長編かと思ってページを開くとなんと詩集でした。「くっすん大黒」の独特な文体はなんとか理解できたものの、この本は・・・。

まったく理解できません・・・。言いたいことを言い、書きたいことを書くってのが著者の作風かと思ってるのですが、あまりに飛んでいて理解不能。詩集ってこういうものですか?他の町田さんの本もこんな感じですか?

これが現代詩、これが文学というのなら、僕には理解できないかもしれない。この本の魅力について、どなたかご教授ください・・・。
(と言うわけで今回は文章短め)


「くっすん大黒」町田康

くっすん大黒タイトル:くっすん大黒
著者  :町田康
出版社 :文春文庫
読書期間:2005/07/08 - 2005/07/09
お勧め度:★★★

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三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます−日本にパンクを実在させた町田康が文学の新世紀を切り拓き、作家としても熱狂的な支持を得た鮮烈のデビュー作、待望の文庫化。
落語みたいだ。これが本作に受けた第一印象。それもそのはずで著者はこよなく上方落語を愛しているらしい。ノリよく軽快に進む話、不条理さを感じさせる登場人物の行動、そして笑い。どれもこれも今まで読んだことのない独特な文章。

さて、表題作「くっすん大黒」。第7回bunkamuraドゥマゴ文学賞、第19回野間文芸新人賞をダブル受賞。3年前ふと思い立って仕事をやめ、以来毎日酒ばかり飲んでいたダメダメ主人公。とうとう妻に愛想を尽かされる。酒を飲んでいた代償か美少年と謳われていた顔はすっかり丸くなり大黒様そっくり。そういえば家の中に大黒様があったぞ。毎度捨てようと思うんだけど、いざその段になると忘れてしまうのだ。今日こそ捨ててやる。五寸ほどの大黒様。ひどく不安定で自立することが出来ない。こんなの主人公じゃなくたって捨てたくなる。しかし簡単には捨てられない。どうしてかって?それはどの分別ゴミで出せばいいのかわからないから。ほんとダメダメ。じゃ、家の前に放置すれば・・・近所から何を言われるかわからない。じゃ、公園のゴミ箱に捨てよう・・・、お巡りさんに怒られた。じゃあ友達に押し付けてやれ。えぃ。あぁすっきり。

こんな具合にどんどんと話は展開していきます。でもやることなすこと常にダメダメ。大黒様の処理が終わったら、今度は金が無いってんで訳のわからない服屋でバイト。とんでもない店主(?)ととんでもない客(チャアミイ)に弄ばれ、さらに金が無くって今度は芸術家を追うビデオ映画のリポーター役。切れ気味のディレクターに引っ掻き回され飛んだ結末に。で結局「どうやったら豆腐やになれるのか」である。

正直何を言いたいのかわかりません。自分でも何を書いているのかわからないくなってきました。でもこの感覚、とても新鮮で面白い。こんなダメな主人公なのに憎めないのは何でだろう。端から見ればどうしようもなくダメでも、本人がよければそれでいいじゃないか。なんて励まされているようなそんな感じ。

もう一編「河原のアパラ」も境遇は違うけど「くっすん大黒」とほぼ同じ。絶妙なスピード感と独特な言い回し。僕もフォーク並びを徹底したい一人です。

【関連ページ】
OfficialMachidaKouWebSite
町田康さんの経験論!!(ほぼ日刊イトイ新聞)

+++++

【みなさまのご意見】
聞いてあげるよ君の話をさん('07/01/05追加)