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「銃とチョコレート」乙一

銃とチョコレートタイトル:銃とチョコレート
著者  :乙一
出版社 :講談社 MYSTERY LAND
読書期間:2006/09/18 - 2006/09/20
お勧め度:★★★★

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少年リンツの住む国で富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が多発。現場に残されているカードに書かれていた“GODIVA”の文字は泥棒の名前として国民に定着した。その怪盗ゴディバに挑戦する探偵ロイズは子どもたちのヒーローだ。ある日リンツは、父の形見の聖書の中から古びた手書きの地図を見つける。その後、新聞記者見習いマルコリーニから、「“GODIVA”カードの裏には風車小屋の絵がえがかれている。」という極秘情報を教えてもらったリンツは、自分が持っている地図が怪盗ゴディバ事件の鍵をにぎるものだと確信する。地図の裏にも風車小屋が描かれていたのだ。リンツは「怪盗の情報に懸賞金!」を出すという探偵ロイズに知らせるべく手紙を出したが…。

「天帝妖孤」以来、久しぶりの乙一本です。「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」ミステリーランドから刊行された本。装丁が豪華なので、本棚にシリーズ全巻を並べたら、さぞ壮観な眺めだろうなぁと思いますが、値段が高いのちょっと無理そう・・・。

内容は、上の方に書いてあることそのままなので割愛。というか、これ以上書いたら面白くなくなってしまいます。話が二転三転、信じてはだまされの連続で、先が気になって仕方がありませんでした。何と言ってもいきなりロイズが・・・とはねぇ。単純な怪盗と探偵モノになっていないところとか単純に良い人と悪い人の話になっていないところが、乙一さんらしいですね。

同じシリーズの「びっくり館の殺人」を読んだときは、これは少年少女が読んだら楽しめるのか?と疑問だったのですが、この本は少年少女でも楽しめそうです。小学校高学年以上が対象かな。リンツの境遇とか舞台の背景とかは、小学生ではちょっと理解に厳しいかもしれないので、ここら辺は「かつて子どもだったあなた」を対象としているのかなと思います。

随所に張られた伏線がしっかりと繋がっていて読み応えは十分。とても楽しい読書時間を過ごせました。

+++++

【みなさまのご意見】
読むなび!(裏)さん
粋な提案さん
ナナメモさん
本を読んだら・・・さん
Grave of memoryさん
活字中毒日記!さん
アン・バランス・ダイアリーさん
おいしい本箱Diaryさん
苗坊の読書日記さん
ぼちぼち。さん
まったり読書日記さん
ひなたでゆるりさん
book diaryさん
寝ていられるのになぜ起きる?さん
かみさまの贈りもの〜読書日記〜さん
本のことどもさん('06/10/25追加)
ついてる日記IIさん('06/10/28追加)
Grave of memoryさん('06/11/18追加)
聞いてあげるよ君の話をさん('06/11/19追加)
空夢ノートさん('06/12/02追加)
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('07/02/04追加)
たこの感想文さん('07/08/08追加)
しんちゃんの買い物帳さん('08/01/17追加)


「天帝妖狐」乙一

天帝妖狐タイトル:天帝妖狐
著者  :乙一
出版社 :集英社文庫
読書期間:2006/03/06
お勧め度:★★★

[ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]


とある町で行き倒れそうになっていた謎の青年・夜木。彼は顔中に包帯を巻き、素顔を決して見せなかったが、助けてくれた純朴な少女・杏子とだけは心を通わせるようになる。しかし、そんな夜木を凶暴な事件が襲い、ついにその呪われた素顔を暴かれる時が…。表題作ほか、学校のトイレの落書きが引き起こす恐怖を描く「A MASKED BALL」を収録。ホラー界の大型新人・乙一待望の第二作品集。
表題作「天帝妖狐」と「A MASKED BALL」の2編を収めた中編集。2作にはあまりつながりがありません。

表題作「天帝妖狐」について。「こっくりさん」による悪魔(?)との交流で不死の体を手にした青年・夜木。しかし、その体は傷つくたびに獣へと姿を変えていくのであった。包帯をぐるぐる巻きにして過ごす夜木。そんな青年を助けた少女・杏子との心の交流を描いた物語。怖いけど、悲しくて切なくて、そして心が温まるお話です。お互いに相手を思いやる余りに迎える悲しい顛末。ラストが泣けますね。

次に「A MASKED BALL」。どちらかと言えばこっちの方が好みでした。トイレに書いた落書きによる対話。書いては消して、また書いて・・・。そんな折に書かれた犯行予告、そして本当に起こる事件。誰が書いたのか。落書きの"主"さがしを始める。Webの掲示板などではなく、トイレの落書きを伝言板に見立てたのが成功でしょう。トイレの個室という閉鎖空間が、いつ落書きしている人物と鉢合わせるかわからないという緊張度を高めています。あれだけ頻繁に落書きが更新されているのに誰とも顔を合わせないのは不思議ですが、それが実は主人公以外はこの世に存在しない人物だったりして・・・なんて思いました。

こっくりさんといい、トイレの落書きといい、今まで使われてきた古いネタのようで実はあまり使われていないネタのように思います。著者の大胆さと柔軟さを改めて感じました。

+++++

【みなさまのご意見】
KOROPPYの本棚さん
雑板屋さん
たこの感想文さん
Grave of memoryさん
たりぃの読書三昧な日々さん
黒猫の隠れ処さん('06/05/26追加)
本を読もうさん('07/05/07追加)
聞いてあげるよ君の話をさん('07/05/18追加)
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('07/07/09追加)


「暗いところで待ち合わせ」乙一

暗いところで待ち合わせタイトル:暗いところで待ち合わせ
著者  :乙一
出版社 :幻冬舎文庫
読書期間:2005/10/08 - 2005/10/16
お勧め度:★★★

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視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった−。書き下ろし小説。
乙一本3冊目。過去読んだ2冊がホラーだったので本作も構えて読み始めましたが全く別物でした。

視力を失ってから外界との接触を断ち静かに暮らすミチル。その家に殺人犯として追われるアキヒロが逃げ込むことから話は始まります。見つからぬよう息を殺すアキヒロ、その気配は感じながらも刺激しないように知らん振りをするミチルの奇妙な同居生活が進行していきます。なかなか緊張感、緊迫感のある展開。

まずこの設定の妙に唸ってしまいますが、さらに二人の心理描写が秀逸。外との関わり合いに恐怖を感じる似たもの同士の二人。孤独は感じても寂しさは感じていなかった二人が、奇妙な共同生活を始めてから一人でいることの寂しさや他人との交流の大切さを感じとっていく。出会ってから自分を見つめなおし、成長していく姿に微笑ましさを感じました。

ミステリの要素も盛り込んでいますが、あまり注目に値するものではありません。ワンアイディア(盲目女性と逃げる男性の同居生活)から始まった話のせいか、殺人に至るまでの描写や人物の書き込みが甘く、さらに途中ですぐに犯人もわかってしまいます。無くてもよかったというのが正直な感想。

乙一さんの本はホラーだからと手に取るのをためらっている方、ホラー色の薄い本作で著者の瑞々しい才能に触れてみてはいかがでしょうか。

+++++

【みなさまのご意見】
読んだものをわりとぶっきらぼうに語るblogさん
たこの感想文さん
本を読む女。改訂版さん
株も読書も恋人もさん('05/11/4追加)
雑板屋さん('06/03/13追加)
苗坊の読書日記さん('06/12/27追加)
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('06/12/28追加)
脳内TraPさん('07/01/31追加)
miyukichin' mu*me*mo*さん('07/08/07追加)


「死にぞこないの青」乙一

死にぞこないの青タイトル:死にぞこないの青
著者  :乙一
出版社 :幻冬舎文庫
読書期間:2005/07/29 - 2005/07/30
お勧め度:★★★★

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飼育係になりたいがために嘘をついてしまったマサオは、大好きだった羽田先生から嫌われてしまう。先生は、他の誰かが宿題を忘れてきたり授業中騒いでいても、全部マサオのせいにするようになった。クラスメイトまでもがマサオいじめに興じるある日、彼の前に「死にぞこない」の男の子が現れた。ホラー界の俊英が放つ、書き下ろし長編小説。
夏と花火と私の死体」ではまってしまった乙一さんの本。2冊目にはこの本を選んでみました。"幻冬舎"という出版社が何となく好きだったりします。

ちょっと内気な小学校5年生・マサオが主人公。人と話すのが苦手で勉強はそこそこ出来て、人より走るのが遅くってでも水泳は得意。どこのクラスにも一人はいるちょっと太った漫画とゲームが好きな子供だ。そんなマサオの運命が変わるのは、新卒の教師が担任を受け持つことになってから。クラスを纏め上げていくために担任は、ちょっとしたことでマサオを悪く言う。ほんの出来心から始まったのかもしれないが、それはやがてクラスメートにも波及し、マサオは孤立していくことになる。マサオの心が壊れかけていたある日、目の前に青い肌の少年が現れる。マサオが「アオ」と名付けた少年は、ただじっとマサオを見つめているだけだったのだが、やがてマサオに語りかけてくるようになる・・・。

小学校という閉ざされた空間で、絶対的な力を持つ教師から逃げ場を与えてもらえないマサオ。じりじりと追い詰められていく様はひどく痛々しかったです。周りが少しずつ引いていきいつかは孤立していく。自分は悪いことをしていない。でも、訴えようにも周りは何も聞いてくれない。ホントに自分が悪いんだと無理やり割り切って痛みを軽くしようとしているマサオを見てさらに苦しくなりました。

圧力を加える担任が当然悪いのでしょう。中盤以降の狂人のような行動には寒気を感じました。ただ、同僚の教師や生徒の親の目にさらされているプレッシャーは相当なものでしょう。もちろん全く褒められた行動ではありませんが、担任の姿に人間の弱さを見た気がします。

いじめられていた子がすんなり元通りの生活に戻れるのかとかやけにマサオが小学生らしくないなど読んでいてちょっと気になることがありましたが、あとがきに「書きたいように書いた」とあったので一応納得です。

+++++

【みなさまのご意見】


「夏と花火と私の死体」乙一

夏と花火と私の死体タイトル:夏と花火と私の死体
著者  :乙一
出版社 :集英社文庫
読書期間:2005/06/14 - 2005/06/15
お勧め度:★★★★★

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九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく―。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄妹の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか?死体をどこへ隠せばいいのか?恐るべき子供たちを描き、斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、早熟な才能・乙一のデビュー作、文庫化なる。第六回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞受賞作。
表題作は第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞受賞作品。兎角デビューした年齢が話題になる著者であるが、デビューしてしまえばみんなプロ。あとは面白いか面白くないかだけである。なんてちょっと捻くれて読み始めたのだが、結果は・・・脱帽。結末には衝撃が走った。

特徴的なのが、何とも居心地の悪さを覚えるストーリー展開だ。居心地が悪いのに何か懐かしさを感じて読み進めてしまう。主人公たちが遭遇する危機が連続的に発生する中に、巧みに力の抜きどころを設けてる当たり、描写の旨さ・演出の巧みさに非凡さを感じた。

淡々と進む中に背筋が寒くなるのを感じるのは、主人公たちが案外楽しんで行動を取っているからだろう。文章が絵となって目の前に浮かんできてしまった。しかし、著書は怖さを演出するような描写には重きを置いていないように思える。

もちろん突っ込みを入れたくなる部分もある。しかし、それを補って余りある才能がある。何の予備知識も持たず、当然帯やカバーの説明文、解説文も読まず、まずは本文を楽しむことをオススメしたい(と言いつつこのような書評を書くことに若干矛盾を感じているが・・・)。

※この本をオススメいただいたリサさんに感謝。

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【みなさまのご意見】