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「リヴィエラを撃て」高村薫

リヴィエラを撃て(上)リヴィエラを撃て(下)タイトル:リヴィエラを撃て
著者  :高村薫
出版社 :新潮文庫
読書期間:2005/10/21 - 2005/11/03
お勧め度:★★★★

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1992年冬の東京。元IRAテロリスト、ジャック・モーガンが謎の死を遂げる。それが、全ての序曲だった−。彼を衝き動かし、東京まで導いた白髪の東洋人スパイ『リヴィエラ』とは何者なのか?その秘密を巡り、CIAが、MI5が、MI6が暗闘を繰り広げる!空前のスケール、緻密な構成で国際諜報戦を活写し、絶賛を浴びた傑作。日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞受賞。(上巻)

CIAの『伝書鳩』とともに、父の仇である『リヴィエラ』を追っていたジャック。複雑怪奇な諜報機関の合従連衡。二重・三重スパイの暗躍。躍らされる者たち。味方は、敵は誰か。亡命中国人が持ち出した重要書類とは?ジャック亡き後、全ての鍵を握るピアニストは、万感の思いと、ある意図を込めて演奏会を開く。運命の糸に操られるかのように、人々は東京に集結する。そして…。(下巻)
先月末に読んだ本。高村さんの本は生半可な気持ちじゃ読めません。今回もたっぷり10日間ほど時間を費やしました。日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞受賞品。

舞台はイギリスと日本。謎のスパイ「リヴィエラ」を軸にCIA、MI5、MI6などの諜報機関やIRFテロリストが織りなす複雑な人間模様を描写しています。登場人物は少なくないのですが、"入魂"という言葉がぴったりなほどそれぞれの人物が細かく書き込まれています。中でもIRFテロリストのジャック・モーガンとCIA職員の<<伝書鳩>>の交流がぐっと来ました。立場が違えど似たもの同士の二人・・・。

それにしても国家の権力と圧力の前には一個人などゴミのようなものだと感じずにはいられませんでした。目的のためには手段を選ばず。さらに、そしてそうまでして隠そうとしていたことはなんとちっぽけなことなのかとも。「リヴィエラ」との会話で手島が感じたように、結末の空しさといったら何とも言いようののないものがあります。

お世辞にもすっきりした読了感とは言えませんが、人としていかに生きるべきかを考えさせられる本です。細かい部分で理解不能のところがあったので、再読して穴を埋めて行きたいです。読み始めるまでにパワーが必要ですが・・・。

+++++

【みなさまのご意見】


「地を這う虫」高村薫

地を這う虫タイトル:地を這う虫
著者  :高村薫
出版社 :文春文庫
読書期間:2005/06/10 - 2005/06/13
お勧め度:★★★★

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「人生の大きさは悔しさの大きさで計るんだ」。拍手は遠い。喝采とも無縁だ。めざすは密やかな達成感。克明な観察メモから連続空き巣事件の真相に迫る守衛の奮戦をたどる表題作ほか、代議士のお抱え運転手、サラ金の取り立て屋など、日陰にありながら矜持を保ち続ける男たちの、敗れざる物語です。深い余韻をご堪能ください。
元警察官を主人公とした4編からなる短編集。単行本では5編だったものを文庫本化する際に大幅改変、しかも1編削っている。削られた短編は、退職間際の警官を描いたものと言うから、おそらく内容を"元警察官"に揃えたかったからだと思われる。

高村作品のうち、刊行されている短編集は本作のみ。緻密な状況描写が売りの作家だけに読みにくいと思われる方もいると思うが(私もそのうちの一人)、本作は割と軽快で高村作品の空気感を気楽に堪能するには良い作品と思われる。

原因はどうであれ"元"警察官となってしまった主人公たち。警察官時代の習慣が抜け切らない様は物悲しくもあるが、興味をそそる。ある者は過去に関わった事件から未だに開放されず、またある者は現役時代さながらにメモを付け続ける日々を送る。しかし、誰も現在の境遇を恨んではいない。本書説明書きの通り確かに"矜持を保ち続ける男たちの敗れざる物語"であった。

どちらかというと話は暗めだが、各話最後にある"希望の光"のお陰でほどよい読了感を得ることが出来た。長編ばかりでなく、高村さんにはもっとたくさん短編を書いていただきたい。

+++++

【みなさまのご意見】
のほ本♪さん


「マークスの山」高村薫

マークスの山(上) 講談社文庫マークスの山(下) 講談社文庫タイトル:マークスの山
著者  :高村薫
出版社 :講談社文庫
読書期間:2005/03/23 - 2005/04/01
お勧め度:★★★★

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「俺は今日からマークスだ!マークス!いい名前だろう!」―精神に「暗い山」を抱える殺人者マークス。南アルプスで播かれた犯罪の種子は16年後発芽し、東京で連続殺人事件として開花した。被害者たちにつながりはあるのか?姿なき殺人犯を警視庁捜査第一課七係の合田雄一郎刑事が追う。直木賞受賞作品。(上巻)

殺人犯を特定できない警察をあざ笑うかのように、次々と人を殺し続けるマークス。捜査情報を共有できない刑事たちが苛立つ一方、事件は地検にも及ぶ。事件を解くカギは、マークスが握る秘密にあった。凶暴で狡知に長ける殺人鬼にたどり着いた合田刑事が見たものは…。リアルな筆致で描く警察小説の最高峰。
高村本2冊目。直木賞受賞作ということで、否が応でも期待度が高まる。賞を受賞していない本でも毎回期待して読んでいますが。

「山が舞台」「警察官が主人公」との情報から、どうしても横山作品(書評はこちら)と比較してしまう。先に読んだ本「黄金を抱いて翔べ」にも言える事だが、「マークスの山」も横山作品に見られるエンタテインメント性は皆無。文章のテンポがよくなくて無骨な印象だ。でも、それが内容とマッチしているので気にはならない。

昭和51年に南アルプスで発生した殺人事件と16年後の東京で発生した連続殺人事件。一件繋がりのない事件が実は「マークス」によって繋がっている・・・。

真犯人「マークス」の犯行は周到となど言えず、むしろ杜撰の部類に入る。それにも関わらず、次々に犠牲者は増えてゆく。被害者たちの繋がり、合田刑事を始めとする個性的な刑事たちと犯人を結ぶ繋がりとは何か。

犯人の視点、合田の視点が交互に書かれているので、犯人探しという面ではやや物足りなさは残るだろう。どんでん返しもない。実際に犯人と被害者を結ぶ糸を知っても特に驚きも感じなかった。本作の読みどころは、「犯人当て」ではなく「どうして連続殺人を防げなかったか」なのであるから、どんでん返しなどなくてもよいのだ。また、「マークス」の描写が弱い(実際下巻ではほとんど現れない)という意見もあるだろうが、意図的にそうしているのが見えるので、これもまたこれでよいのだろう。

これは警察小説なのだろうか。舞台は警察なので、そう呼ぶのが正解なのだろう。しかし、なんだかそんな枠にはめてしまうには勿体無い人間ドラマがこの話では展開されている。

最後にはしんみりとさせてくれるが、全編通じて重苦しい雰囲気。みんなが口々に面白いと語っているのが不思議なくらい読者を選ぶ作品だ。みんなにお薦めとは言えないが、自分と趣味が合う人には是非薦めてみたい。

+++++

【みなさんのご意見】
日々のことわりさん
無駄口日記さん
Nonsense Talkさん
ICHIメンバーの独り言さん
mihengの本棚さん
たこの感想文さん('05/08/09追加)
本を読む女。改訂版さん('05/08/10追加)
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('07/04/09追加)


「黄金を抱いて翔べ」高村薫

黄金を抱いて翔べタイトル:黄金を抱いて翔べ
著者  :高村薫
出版社 :新潮文庫
読書期間:2005/02/28 - 2005/03/04
お勧め度:★★★

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銀行本店の地下深く眠る6トンの金塊を奪取せよ。大阪の街でしたたかに生きる6人の男たちが企んだ、大胆不敵な金塊強奪計画。ハイテクを駆使した鉄壁の防御システムは、果して突破可能か?変電所が炎に包まれ、制御室は爆破され、世紀の奪取作戦の火蓋が切って落とされた。圧倒的な迫力と正確無比なディテイルで絶賛を浴びた著者のデビュー作。日本推理サスペンス大賞受賞。
初高村本となる本書は、高村さんのデビュー作にして、日本推理サスペンス大賞受賞作。恥ずかしながら、ここ最近まで高村さんは男性と思い込んでおりました・・・。

簡単に言ってしまえば、6人の男たちが協力し、銀行の地下に眠っている金塊を強奪するという物語。各人が各人とも裏の顔を持ち、数ヶ月にも及ぶ強盗計画中に、同時進行で裏物語が展開していく。そして最後に全てが繋がって・・・。

文庫裏表紙にもある通り「正確無比なディテイル」であることは間違いない。銀行周辺の様子、爆弾製造とその取り扱い方法、爆弾を取り付ける予定の共同溝や変電所の様子など、完璧主義者と言っても良いほどの細かな描写である。

ただし、それほど正確に描写する必要があったのかということには意見が分かれるだろう。大阪について土地勘もない、当然爆弾になんて詳しくない、変電所の作りや電気の配線なんて全く知識がない、というないない尽くしのせいか、あおちゃんにとってはやや不必要な説明であり、物語にすんなり入りこむことが出来ない原因となってしまった。

それよりも、もっと6人の男たちの人物像を描き出して欲しかった。そして、首尾よく金塊を奪うことに成功した後日談も欲しい。魅力的な人物ばかりであったために、ややぼんやりした状況で終わった感は否めない。

銀行強盗のシーンはさすがに迫力があり、スピード感も感じることが出来た。デビュー作でここまで書ければ御の字、と思う反面、素晴しい作家さんだと思っているからこそ、敢えてケチを付けるようなことを書く。

+++++

【みなさんのご意見】