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「幼な子われらに生まれ」重松清

幼な子われらに生まれタイトル:幼な子われらに生まれ
著者  :重松清
出版社 :幻冬舎
読書期間:2008/08/13 - 2008/08/16
お勧め度:★★★★

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三十七歳の私は、二度目の妻とその連れ子の二人の娘とありふれた家庭を築く努力をしていた。しかし、妻の妊娠を契機に長女は露悪的な態度をとるようになり、『ほんとうのパパ』に会いたいと言う。私も、長女を前妻との娘と比べてしまい、今の家族に息苦しさを覚え、妻に子供を堕ろせと言ってしまう―。「家族」とは何かを問う感動の長篇小説。

感想はそのうち・・・。


「ビフォア・ラン」重松清

ビフォア・ランタイトル:ビフォア・ラン
著者  :重松清
出版社 :幻冬舎文庫
読書期間:2006/02/27 - 2006/02/28
お勧め度:★★★★

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授業で知った「トラウマ」という言葉に心を奪われ、「今の自分に足りないものはこれだ」と思い込んだ平凡な高校生・優は、「トラウマづくり」のために、まだ死んでもいない同級生の墓をつくった。ある日、その同級生まゆみは彼の前に現れ、あらぬ記憶を口走ったばかりか恋人宣言してしまう−。「かっこ悪い青春」を描ききった筆者のデビュー長編小説。
重松清デビュー作。もう10年以上も前のこの作品、荒削りながらも現在の重松さんを感じさせる文章です。

主人公はどこにでもいそうな平凡な高校生・優。勉強もそこそこ、運動もそこそこ。退屈な高校生活をもっと自慢できるようなものにするべく「トラウマ=転校した同級生を死に追いこんだ自分たち」を作りあげようとします。些細な気持ち出始めたトラウマづくりでしたが、まゆみとの偶然の再会で日常に変化が・・・。

一生懸命な姿を友達に見せるのは格好悪い、でも自分がみんなより少し上の人間であると思いたい。そんなもどかしい気持ちから始めた「トラウマづくり」。突拍子がなくて、あまりにも趣味が悪すぎると思うけれど、平凡な日常から飛び出したいという気持ちは共感できます。

メインのテーマは、友達そして自分、でしょうか。「全員に好かれているわけじゃないけど親友と呼べる友人のいる人」と「誰にも好かれるけど一人として親友がいない人」。前者が優で、後者が優の同級生・紀子です。嫌われないために相手に合わせ、それが壁となって今一歩近付ききれない紀子。他人にとっての自分って一体何だろうか?自分らしいってどういうことか?まゆみとの付き合いで自問自答する紀子とそれを見守ることしか出来ない優。ラストに待ち受けるのは予想通り悲しい結末です。

彼らはこの現実を受け入れてどのように成長していくのでしょうか。特に紀子はどうなってしまうのでしょうか。気になります。

※トラキチさん主催「今宵、重松作品を語ろう!」にトラックバック。

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【みなさまのご意見】


「口笛吹いて」重松清

口笛吹いてタイトル:口笛吹いて
著者  :重松清
出版社 :文春文庫
読書期間:2006/01/23 - 2006/01/24
お勧め度:★★★

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偶然再会した少年の頃のヒーローは、その後、負けつづけの人生を歩んでいた。もう一度、口笛の吹き方を教えてくれたあの頃のように胸を張って笑って欲しい−。家庭に職場に重荷を抱え、もう若くない日々を必死に生きる人々を描く五篇を収録。さり気ない日常の中に人生の苦さをにじませる著者会心の作品集。
表題作含む五編を収録。この前に読んだ重松作品がとても重かったので、気軽に読めそうな短編集を選んでみました。

収録された短編に共通点はあまり見えませんが、平易な文章で綴る主人公の悩み、葛藤、歯痒さなどの相変わらず現実的で読み手に突き刺さってくるものがあります。問題は身近で些細な事柄ですが、実は根が深くって最善策が見えない事ばかり。物語の最後に明確な答えを出さないのも相変わらずで、読後は自分ならどうするかを考えさせられます。

過酷な現実とそれに戸惑いながらも向き合う登場人物たちの姿。誰が良い人で誰が悪い人ってのも決められません。表題作「口笛吹いて」では、変わらないことは良いことで変わらないことは良いことなのか。「タンタン」で見せる教師の表と裏の顔。「かたつもり疾走」では、リストラされた父の姿。「春になれば」での親子関係。「グッド・ラック」で見られる夫婦の関係。切なさに溢れていて、誰もかもみんなを応援したくなります。

いつものように楽しめましたが、ここまで読んできた重松作品の中では一番印象は薄いです。"気軽に読めそう"ってことで手に取った目論みは当たったのですが・・・。

※トラキチさん主催「今宵、重松作品を語ろう!」にトラックバック。

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【みなさまのご意見】


「疾走」重松清

疾走(上)疾走(下)タイトル:疾走
著者  :重松清
出版社 :角川文庫
読書期間:2005/12/12 - 2005/12/19
お勧め度:★★★

上巻 → [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]
下巻 → [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]


引きこもり、家庭内暴力、放火、借金、一家離散……。14歳の少年・シュウジが背負った余りに苛烈な運命。今秋、映画公開が決定した、直木賞作家、畢生の衝撃作、待望の文庫化!(上巻)

兄の放火事件をきっかけに一家離散に追い込まれた15歳のシュウジは、故郷を発ち、大阪、そして東京へと向かう。今秋、映画公開の衝撃の超大作、感動のラストシーンへ!(下巻)
表紙が気にはなっていたけれど、軽い気持ちで手を出してはいけない雰囲気が感じていて読むのをためらってました。が、月一重松本を続けてきて1年の締めくくりに思い切ってこの本を選びました(読了したのは昨年です)。結果・・・、かなりきつかった。「精神的体力があるときに読んだほうがいい」とコメントをもらいましたが読了後だったので活かせず・・・。

すさんだ雰囲気の漂う海町が舞台。埋立てで出来た「沖」と元から存在した「浜」があり、「沖」と「浜」は互いに敵対心を持っている。主人公は「浜」に住むシュウジ。シュウジを取り巻くのは、これでもかというほど辛くて厳しい現実。プライドとプレッシャーから壊れてしまった兄、家族から逃げ出した父、酒とギャンブルにはまってしまった母。兄の起こした事件に起因する学校でのいじめ。シュウジは周囲からどんどん孤立していく。

そんなシュウジの救いは、「浜」に住む神父と同級生・エリ。過去を悔いシュウジに自分と同じ過ちをさせまいと言葉を投げかける神父。そして、シュウジと同様に孤立してるけど、強い意志を持っているエリに対する憧れと淡い恋心。2人の存在があって、シュウジは辛うじて「生きる」ことを続けている。状況が変わるのは、エリが東京に引越し、神父の弟に会ったことから。シュウジはいいことのなかった故郷を捨て、大阪へ、そして東京へと転々と渡り歩く。が、そこに待ち受けているのもやはり厳しい現実だった・・・。

これまで読んだ重松作品は、日常に潜む暗部を平易な言葉で書き綴っていて、しかも最後には必ず一筋の光明が見出されているというものでした。しかし、この本では登場人物たちに光など見えない、とことん過酷な状況を浴びせかけてきます。何も悪いことはしていないのに、大人たちに振り回されて一人で現実を駆けることしか出来ない子供たち。誰かと繋がりたい、誰かと寄り添いたいと思っても、それを許してくれない状況。ページをめくる度にぐいぐい胸を締め付けられ、とても息苦しさを感じました。

あまり見聞きしたくない事柄が一つ一つ嫌っていうほど事細かに書かれていて(いじめやレイプのシーン)、兎に角読んでいて辛かった。ここまで書く必要があったのかと少々疑問に思います。犯罪に走る少年たちの中にはこういう状況から生まれるものもあるのかもしれない、と感じはしましたが。

重松さんの渾身の一作であることは間違いないと思うのですが、あまり人に勧められない(あえて勧めはしない)本です・・・。

※トラキチさん主催「今宵、重松作品を語ろう!」にトラックバック。

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【みなさまのご意見】


「きよしこ」重松清

きよしこタイトル:きよしこ
著者  :重松清
出版社 :新潮文庫
読書期間:2005/11/18 - 2005/11/19
お勧め度:★★★★★

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名前はきよし。君によく似た少年。言葉がちょっとつっかえるだけ。話はある聖夜、ふしぎな「きよしこ」との出会いから始まる。たいせつなことを言えなかったすべての人に捧げる、少年小説。
月一重松本継続中。今回は「きよしこ」です。連作短編集。重松清で「きよしこ」か、著者自身の話?と思い読み始めましたが、その通りだったようです。

ある作家のもとに届いた一通の手紙。「吃音(きつおん)」の子どもを持つ母が、子どもに励ましの言葉を送ってやってくれないか、というものだった。自身も吃音である作家は「個人的なお話」を書くことにする。父親の仕事の都合で転校を繰り返す少年・きよし、カ行とタ行が苦手で転校の際の自己紹介が嫌いな少年が主人公の物語であった。

重松さん自身も吃音であったということなので、私小説といっていいのでしょう。言いたいことを言えない辛さ、友達に馬鹿にされることの辛さ、それに変わる他の言葉を選び逃げてしまったことに対する悔しさ、など主人公・きよしの気持ちが胸に響いてきます。一番辛いのは言いたいことを言えない辛さなのでしょう。クリスマスに欲しいプレゼントを言えずに、逆にもらったプレゼントを壊してしまう行動は衝撃的でした。

吃音は心理的なプレッシャーから始まる、というのを聞いたことがあります。きよしの場合は物心が付いた時のちいさな事件から始まったのですが、それが快方に向かわないのは、親の接し方にもあるのかなと感じました。「ゆっくりしゃべればいい」「気にしなくていい」「笑うやつの方がおかしいんだ」など気遣いの言葉が逆に重荷になりえるということに難しさを感じました。

それにしても、きよしは強い子です。自分がもしそうだったらこんなに強くは生きられないかも。どの短編もすばらしいけど「北風ぴゅう太」が秀逸。

※トラキチさん主催「今宵、重松作品を語ろう!」にトラックバック。

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【みなさまのご意見】


「流星ワゴン」重松清

流星ワゴンタイトル:流星ワゴン
著者  :重松清
出版社 :講談社文庫
読書期間:2005/10/03 - 2005/10/07
お勧め度:★★★★

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死んじゃってもいいかなあ、もう……。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして・・自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのか・・?「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。
妻の浮気、息子の家庭内暴力、父親との不仲、リストラ・・・。自暴自棄になった主人公の前に現れた一台の車、そこに乗るのは5年前にドライブ中事故死した親子であった。主人公はその車に乗せられて過去へのドライブへと出かけてゆく・・・。今までの重松さんにはないファンタジックな設定ですが、内容はやはり重松さんらしい現実を見つめ直させるものでした。

主人公は車に乗せられ過去と現在を行きつ戻りつするのですが、連れて行かれるのは人生の岐路。しかし、とても岐路とは思えない、平凡な生活の中のある一日・場所です。誰しも生活していく中では常に選択をしていることを強く感じました。それはその日の通勤経路かもしれません。また、急な飲み会の誘いを受けるか断るかかもしれません。もしかしたら、あるときに掛けた一声かもしれません。これらが後に大きな影響を与えたとしたら・・・。全く意識したものでないだけに性質が悪いです。

主人公は最初に連れて行ってもらった場所ではまったく過去を変えることのできません。2度、3度と回を重ねるごとに、過去にも微妙な変化が生じ、主人公も当時取れなかった行動を大胆に行うようになってきます。だが悲しいことに、1度目の出来事は2度目に、2度目の出来事は3度目には反映されていません。

しかし、大切なのは過去を変えることじゃないのです。それは、主人公の取る行動からもわかります。なぜこうしておかなかったのかという悔いは回を重ねるごとに消化されていき、次第に前へ目を向ける行動を取るようになっていく。大切なのは"今の姿を受け入れて、未来をどうするか"ということなのです。

さらりと書かれていますが、重たい話題がてんこ盛り。しかし、ラストに見える一筋の光のおかげで読後感はたいへん良いものになっています。主人公一家の今後を応援しつつ、自分も前を向いて暮せたらと思います。

※トラキチさん主催「今宵、重松作品を語ろう!」にトラックバック。

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【みなさまのご意見】
My Recommend Books!さん
本のことどもさん
のほ本♪さん
かみさまの贈りもの〜読書日記〜さん
ブログ版:春日井教育サークルさん
アン・バランス・ダイアリーさん
あいらブックス!さん
評価チャンネルさん
ひなたでゆるりさん
宝島のチュー太郎さん('05/10/24追加)
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M型めがねはただじゃ死なない!さん('05/10/31追加)
京の昼寝〜♪さん('05/11/10追加)
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きつねの本読みさん('06/12/28追加)
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('07/12/09追加)


「かっぽん屋」重松清

夢にも思わないタイトル:かっぽん屋
著者  :重松清
出版社 :角川文庫
読書期間:2005/09/28 - 2005/09/29
お勧め度:★★★

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15歳。頭のなかにあることといったらただ一つ、かっぽん−。憧れと妄想に身を持て余す思春期の少年たちの、ひたすらな性への関心をユーモラスに描いて、もどかしい青春の痛みを鮮やかに蘇らせた表題作のほか、デビュー間もない時期に書き下ろされた奇想天外な物語など、全8編を収録。これ1冊で作家・重松清のバラエティと軌跡が存分に味わえる著者初、待望の文庫オリジナル短編集。巻末には貴重なロングインタビュー2本も併録。
重松さん初期の作品集。それだけを理由に集められた短編なので統一感はまったくありませんが、自分の興味に任せて書き連ねていた初期の重松さんを知る上でとても興味深いです。A面B面構成、巻末のロングインタビューなど、本文以外でも楽しめる作品です。

表題作について。思春期の少年たちの性への関心を描いた作品ということになっていますが、自分に素直になれず時間を持て余す少年たちの心の葛藤を描いた作品として読みました(高尚なものではないですが)。仕事で行き詰った時。目の前に大活躍している人を見た時。なんだか不運が重なる時。果たして自分はこのままでいいのかと考えることは誰しもあることでしょう。作中の少年たちもまた何とかしたい、自分はどうあるべきかを悩んだ末、目立つ方法=噂のかっぽん屋探しという行動になったのではないかと感じました。

その他全編通して眺めてみると、初期作品はエンターテインメントを意識した傾向にある思えましたが、「デンチュウさんの傘」など後の重松さんを思わせるオヤジの胸中、人間関係の持つ空気感や緊張感を感じさせる作品もありなかなか楽しめました。絶対読むべきとはいいませんが、数冊重松作品を読んだ後に手にしてみるのはいかがでしょうか。

※トラキチさん主催「今宵、重松作品を語ろう!」にトラックバック。

【収録作品】
すいか
ウサギの日々
五月の聖バレンタイン
かっぽん屋
失われた文字を求めて
大里さんの本音
桜桃忌の恋人'92
デンチュウさんの傘

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【みなさまのご意見】


「定年ゴジラ」重松清

定年ゴジラタイトル:定年ゴジラ
著者  :重松清
出版社 :講談社文庫
読書期間:2005/08/24 - 2005/08/26
お勧め度:★★★★

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開発から30年、年老いたニュータウンで迎えた定年。途方に暮れる山崎さんに散歩仲間ができた。「ジャージーは禁物ですぞ。腰を痛めます。腹も出ます」先輩の町内会長、単身赴任で浦島太郎状態のノムさん、新天地に旅立つフーさん。自分の居場所を捜す四人組の日々の哀歓を温かく描く連作。「帰ってきた定年ゴジラ」収録の完成版。
職場までの通勤時間が2時間。そんな郊外のニュータウンに住む山崎さんが主人公。定年を迎え、暇をもてあまし散歩を始めた山崎さんが同じく会社を定年した同じ街に住む3人の"ゴジラ"と出会うところから物語りは始まります。(ゴジラの意味は本書中にあります)

定年などまだまだ先の話、暮らすなら静かで落ち着いてて何もないところがいい。子供を育てるにも絶好の環境だ、とバリバリ働いていたころの山崎さんは思って郊外の家を購入。しかし、定年を迎えた今、果たしてここは終いの場所としてふさわしいのかと自問する。娘の不倫や知り合った朋友の旅立ち。否が応でも家族とは何か、家とは何か、そして自分の定年後の生活は、と考えさせられます。

今の自分を山崎さんに重ね合わせて読みました。夜遅くまで働き、日々同じことの繰り返し。通勤時間は山崎さんより短いものの1時間くらい。定年後の自分などまるで想像できません。早く定年を迎えて悠々自適に暮らしたいなんて思ってもみますが、一日の長さに耐えられるかどうか自信がありません。

連作短編形式を取っている本書ですが、一番印象に残るのは雑誌の取材を受けてニュータウン巡りをする編でしょうか。区画ごとに順々に分譲されていったニュータウンを逆順に遡っていくと、そこにはこれからの自分たちの行く末が映し出されていますが誰もそれには気がつきません。気がつくのはある程度歳が行ってから、後ろを振り返る余裕が出来てからなのでしょう。

重松さんは自身の父親世代をイメージして書き上げたようです。オヤジたちへ優しい眼差しを持って書かれた本書ですが内容はとても深いです。

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【みなさまのご意見】


「見張り塔からずっと」重松清

見張り塔からずっと タイトル:見張り塔からずっと
著者  :重松清
出版社 :講談社文庫
読書期間:2005/07/21 - 2005/07/22
お勧め度:★★★

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発展の望みを絶たれ、憂鬱なムードの漂うニュータウンに暮らす一家がいる。1歳の息子を突然失い、空虚を抱える夫婦がいる。18歳で結婚したが、夫にも義母にもまともに扱ってもらえない若妻がいる…。3組の家族、ひとりひとりの理想が、現実に浸食される。だが、どんなにそれが重くとも、目をそらさずに生きる、僕たちの物語−。「カラス」「扉を開けて」「陽だまりの猫」。
第8回山本周五郎賞候補作。文庫化される度に面白いあとがきを付けてくれる重松さんですが、今回のあとがきは是非是非読んでいただきたい。重松さんの葛藤と「小説家」として思いをひしひしと感じることが出来ます。

いきなりあとがきを褒めてしまいましたが、もちろん内容も負けてはいません。本のタイトルが示すように、上空から俯瞰的に3組の家族を眺めた短編(中編かな)となっています。

バブル期に買ったマンション価格が暴落、将来の夢も希望も持てず皆が逃げ出したいと考えている団地にある一家が引っ越してくる「カラス」。1歳にも満たない我が子を亡くした夫婦の目の前に現れた同名・同じ歳の男の子「扉を開けて」。マザコン夫と結婚を認めようとしない姑に相手にされず日々孤独に悩む妻「陽だまりの猫」。

幸せの絶頂を迎えながらどん底へ突き落とされる。もはやこの世にいいことなどないと静かに暮らす日常に立つさざ波・・・。決して現実の生活では体験したくない出来事を、重松さんは目を逸らすなとばかりに提示してきます。どうせなら目を背けてしまいたいことばかりです。小説中だけの"疑似体験"のはずが、平易な文章も手伝って"実体験"しているよう。お世辞にも読後感がいい作品とは言えません。自分だったらどうするのか。何が出来るのか。毎度重松さんの本を読んだ後に思うのですが、やはりこの本でも思ってしまいました。

どの話も結末がはっきりとは描かれていません。少しでもいいことが訪れていることを祈りたいです。そして、自分の身に降りかからないことも・・・。

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「日曜日の夕刊」重松清

日曜日の夕刊タイトル:日曜日の夕刊
著者  :重松清
出版社 :新潮文庫
読書期間:2005/07/02 - 2005/07/05
お勧め度:★★★★

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日曜日、お父さんがいてお母さんがいて「僕」がいて、お兄ちゃんとお姉ちゃんは恋人がいて―。ある町の春夏秋冬、日常の些細な出来事を12の短編小説でラッピング。忘れかけていた感情が鮮やかに蘇る。夜空のもとで父と息子は顔を見合わせて微笑み、桜の花の下、若い男女はそっと腕を組み…。昨日と同じ今日なのに、何故だか少し違って見える。そんな気になる、小さな小さなおとぎ話。
12編からなる短編集。日常の些細な出来事にまで眼を配る重松さんらしい作品。タイトルの「日曜日の夕刊」は、家族が集う日曜の夕食時を意識してのこと。つまりテーマは家族だ。

父であっても母であっても子供であっても、生きているうえでの悩みは尽きない。重松さんの書く"悩み"の種は、どれも自分に降りかかる可能性があるもの、もしくは過去に経験してきた類のものだ。そしてそれぞれに温かみ溢れる重松さん流の解を導く。読んでいて気恥ずかしくなるくらいの優等生な答えだが、それが何だか気持ちいい。そう、気持ちいいのだ。自分では思っていても口に出せないことを変わりに言ってくれているからかもしれない。

どれも面白いが「サマーキャンプへようこそ」「さかあがりの神様」「後藤をまちながら」「卒業ホームラン」が秀逸。さらにその中でも「さかあがりの神様」は一番のお気に入り。神様は身近にいるんです、たぶん。

"月に一冊重松本"って決めていたのだが、6月は迂闊にも読み忘れてしまった。今月末にもう一冊読むつもり。

※トラキチさん主催「今宵、重松作品を語ろう!」にトラックバック。

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【みなさまのご意見】
のほ本♪さん
幸福論さん
評価チャンネルさん
アン・バランス・ダイアリーさん
京の昼寝〜♪さん('05/09/02追加)