200905
Thursday
蓋を開けたら最後、この近江屋に災いが降りかかる…。決して中を見てはいけないというその黒い文箱には、喪の花・木蓮の細工が施してあった―。物言わぬ箱が、しだいに人々の心をざわめかせ、呑み込んでいく表題作。なさぬ仲の親と子が互いに秘密を抱えながらも、寄り添い、いたわり合う「お墓の下まで」。名もなき人たちの日常にひそむ一瞬の闇。人生の苦さが沁みる時代小説八篇。
200905
Wednesday
盆市で大工が拾った迷子の男の子。迷子札を頼りに家を訪ねると、父親は火事ですでに亡く、そこにいた子は母と共に行方知れずだが、迷子の子とは違うという…(「まひごのしるべ」)。不器量で大女のお信が、評判の美男子に見そめられた。その理由とは、あら恐ろしや…(「器量のぞみ」)。下町の人情と怪異を四季折々にたどる12編。切なく、心暖まる、ミヤベ・ワールドの新境地。
200803
Tuesday
あの諸岡進也が、こともあろうに俺の糸ちゃんと朝帰りをやらかしたのだ! いつまでたっても帰らない二人が、あろうことかげっそりした表情で、怪しげなホテルから出てきたのである!!―お馴染み用心犬マサの目を通して描く五つの事件。さりげなくも心温まるやりとりの中に人生のほろ苦さを滲ませ、読む者をたちどころに宮部ワールドへと誘っていく名人芸を、とくとご堪能あれ。
200802
Friday
歴史文学賞入賞の表題作をはじめ時代ミステリーの秀作4篇を収録。ミステリー界のホープが放つ待望の時代小説集第二弾。
200704
Thursday
どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。
200612
Tuesday
財閥会長の運転手・梶田が自転車に轢き逃げされて命を落とした。広報室で働く編集者・杉村三郎は、義父である会長から遺された娘二人の相談相手に指名される。妹の梨子が父親の思い出を本にして、犯人を見つけるきっかけにしたいというのだ。しかし姉の聡美は出版に反対している。聡美は三郎に、幼い頃の“誘拐”事件と、父の死に対する疑念を打ち明けるが、妹には内緒にしてほしいと訴えた。姉妹の相反する思いに突き動かされるように、梶田の人生をたどり直す三郎だったが…。
200610
Wednesday
住宅地で起きた殺人事件。殺された男性はインターネットの掲示板上で「疑似家族」を作っていた。殺人に関わりが? 虚実が交錯し、見えてきたものは…文庫書下ろしミステリー!久々に宮部さんの本。インターネットの掲示板上で作った「擬似家族」の父親役である所田良介が殺害され、その謎に二人の刑事が迫ります。
200606
Tuesday
東京都荒川区の超高層マンションで起きた凄惨な殺人事件。殺されたのは「誰」で「誰」が殺人者だったのか。そもそも事件はなぜ起こったのか。事件の前には何があり、後には何が残ったのか。ノンフィクションの手法を使って心の闇を抉る宮部みゆきの最高傑作がついに文庫化。3ヶ月ぶりくらいに宮部さんの本を読みました。直木賞受賞作。最近の直木賞で、東野圭吾さんが6度目の候補でようやく受賞しましたが、宮部さんも同じく6度目の候補で受賞でした。数々の賞を総なめにしておきながら直木賞だけは受賞できなかった宮部さん。宮部さんが悪いと言うより、直木賞って旬を逃すのを得意としている賞なのかもしれないですね。
200603
Thursday
麻子は同じ職場で働いていた男と婚約をした。しかし挙式二週間前に突如破談になった。麻子は会社を辞め、ウエイトレスとして再び勤めはじめた。その店に「あの女」がやって来た…。この表題作「地下街の雨」はじめ「決して見えない」「ムクロバラ」「さよなら、キリハラさん」など七つの短篇。どの作品も都会の片隅で夢を信じて生きる人たちを描く、愛と幻想のストーリー。表題作「地下街の雨」を含む七編からなる短編集。いかにも宮部さんといった雰囲気を持つものもありますが、全体的に今までとちょっと雰囲気の異なる作品と感じました。で、それらは、裏表紙紹介文によると「どの作品も都会の片隅で夢を信じて生きる人たちを描く、愛と幻想のストーリー」とのことですが、んー、違うと思う。
200601
Sunday
13歳の八木沢順が、刑事である父の道雄と生活を始めたのは、ウォーターフロントとして注目を集めている、隅田川と荒川にはさまれた東京の下町だった。そのころ町内では、"ある家で人殺しがあった"という噂で持ち切りだった。はたして荒川でバラバラ死体の一部が発見されて…。現代社会の奇怪な深淵をさわやかな筆致で抉る、宮部作品の傑作、ついに文庫化。今年は宮部さんと恩田さんの本は少なくとも月一冊は読もうと決めました。そうでもしないと全著作制覇なんて到底無理!で、手に取ったのがこの本ですが、10年以上も前に書かれた本。今読んでも十分に楽しめます。