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「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸

木洩れ日に泳ぐ魚タイトル:木洩れ日に泳ぐ魚
著者  :恩田陸
出版社 :中央公論新社
読書期間:2007/10/17 - 2007/10/18
お勧め度:★★★

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あの旅から、すべてが変わってしまった。一組の男女が迎えた最期の夜明らかにされなければならない、ある男の死の秘密。運命と記憶、愛と葛藤が絡みあう恩田陸の新たな世界。

密室での男女二人の会話から全編構成されています。こういう閉じこもった空間での緊迫感がある情景描写は、恩田さんはお得意と思います。

別れの一夜に二人で暮らした部屋で、ある男性の死に関してお互いの推理をぶつけ合うことが話の中心に据えられていますが、徐々に明らかにされる二人の関係や別れを迎えるまでの工程に驚かされました。戯曲ではないのだけれど、そのまま芝居に出来てしまいそう。

部屋から出ることはないのに、二人が旅行で見た光景や息遣いがはっきりと頭の中に浮かびました。淀みなく進む展開に、書き始める前からああしてこうして、ラストはこうなって・・・っていうプロットが恩田さんの中に出来上がっていたのだろうなぁと感じました。

推理を披露し、それを否定するという展開の繰り返し。結局のところ何が真実かははっきりとしない(ラストの推理は一応もっともらしいが)ので、人によってはイライラしたり疲れたりするかもしれません。そこがちょっとマイナス。ただ、やっぱりこの手の本を恩田さんにしか書けないと思いました。

+++++

【みなさまのご意見】
多趣味が趣味♪さん('07/11/29追加)
アバンストラッシュ!さん('07/11/29追加)
かみさまの贈りもの〜読書日記〜さん('07/12/21追加)


「朝日のようにさわやかに」恩田陸

朝日のようにさわやかにタイトル:朝日のようにさわやかに
著者  :恩田陸
出版社 :新潮社
読書期間:2007/09/26 - 2007/09/27
お勧め度:★★★

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ビールについての冒頭から、天才トランペッターや心太へ話題は移り、最後は子供の頃に抱いていた謎の解明へと至る−。虚実の狭間を、流れる意識のごとく縦横に語る表題作他、ホラー、ミステリ、SF、ショートショート等々、恩田陸のあらゆる魅力がたっぷり詰まった、物語の万華鏡。

「図書館の海」以来、五年ぶりとなる短編集。十四編の短編が収録されています。

いろいろな媒体に書いた短編を寄せ集めた作品集なので統一感はあまりなく、ホラー作品が若干多かったかなという程度。恩田さんは抽象的な表現を重ねて作品の雰囲気作りをしていく作家さんなので、やっぱり短編よりも長編の方が持ち味が生きるかなぁと思います。

恩田さんは何かネタを思いつくと、すぐに筆を走らせてしまうのかな。他の作家さんとは一味違う舞台設定が魅力です。その分、なんだこりゃ?ってのもあるのですが・・・。

気に入ったのは「水晶の夜、翡翠の朝」「あなたと夜と音楽と」「冷凍みかん」「淋しいお城」の四編。「淋しいお城」は、今後書く長編の予告になっているそうで楽しみです。(そういえば「図書館の海」には、「夜のピクニック」の予告が入っていましたね)

【目次】
水晶の夜、翡翠の朝 / ご案内 / あなたと夜と音楽と / 冷凍みかん / 赤い毬 / 深夜の食欲 / いいわけ / 一千一秒殺人事件 / おはなしのつづき / 邂逅について / 淋しいお城 / 楽園を追われて / 卒業 / 朝日のようにさわやかに

+++++

【みなさまのご意見】


「ネクロポリス」恩田陸

ネクロポリス 上ネクロポリス 下タイトル:ネクロポリス
著者  :恩田陸
出版社 :朝日新聞社
読書期間:2007/08/09 - 2007/08/20
お勧め度:★★★

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懐かしい故人と再会できる聖地―アナザー・ヒル。死者たちを『お客さん』と呼び、温かく迎えるヒガンという祝祭空間。連続殺人、不可思議な風習、天変地異、そこに新たな事件が―めくるめく想像力でつづられる謎とファンタジーの結晶体。(上巻)

『お客さん』は、何処から来て、何処に往くのか?あらゆる可能性が検証されるなか、アナザー・ヒルが変質しはじめる。証言する死者たち、地下への冒険、そして、ヒガンの行方は―めまぐるしく展開するエンターテインメントの新しい神髄。

上下巻で800ページ弱の大作。ページ数だけの問題ではなく、読み終えるのにかなり苦労しました。

物語の設定は、恩田さんでなければ思いつかない壮大なものだと思います。「ヒガン」にだけ死者と再会できる土地、アナザー・ヒル。日本とイギリスの文化を併せ持つこの土地で連続殺人が発生し、土地を訪れた人々が否応なしに巻き込まれることに・・・。さらに、代々この土地を守る人たちの謎や連続殺人と「血塗れジャック」との関係など、次から次に謎が舞い込んできます。

奇妙な風習がファンタジックでありながらホラーの要素も醸し出していていい感じなのですが、畳み掛けるように発生する謎の数々におなか一杯、胸一杯でした。一つ一つの謎に真正面から挑んでしまったことが、読むのに時間がかかってしまった原因です。当然思いついた解は的外れだったわけで、もう少し流れに身を任せれば楽しめたかなぁと思いました。

これだけ時間を掛けたのに、いろいろ考えながら読んだはずなのに、読み終わってみて思い返すと内容の理解は今一つ。恩田さんの術中に嵌ったような、ただ単に自分の理解力が低いだけのような。満足と不満足が同居する、なんとも不思議な読後感でした。

+++++

【みなさまのご意見】


「中庭の出来事」恩田陸

中庭の出来事タイトル:中庭の出来事
著者  :恩田陸
出版社 :新潮社
読書期間:2007/04/18 - 2007/04/20
お勧め度:★★★

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瀟洒なホテルの中庭。こぢんまりとしたパーティの席上で、気鋭の脚本家が不可解な死を遂げた。周りにいたのは、次の芝居のヒロイン候補たち。自殺? それとも他殺? 芝居とミステリが融合した、謎が謎を呼ぶ物語のロンド。

久しぶりにわけがわからぬまま、読了を迎えました・・・。

「中庭にて」「旅人たち」「中庭の出来事」の3つのお話から構成されています。「中庭にて」は、ホテルの中庭で二人女性が亡くなった脚本家の死の原因について言い争い、「旅人たち」は、二人の男性が山奥の廃駅を利用した劇場でなにやら話をし、「中庭の出来事」では、三人の女優たちがオーディション(?)を行っており、その芝居の脚本を書いたのが「中庭にて」の亡くなった脚本家で・・・。

それぞれのお話を行ったり来たりし、またそれぞれ話の中で微妙に言い回しの違う表現が連発されているので、何が何やら、現実なのか芝居なのか全くわからなくなりました。せっかくたどり着いた結論がいとも簡単に覆させられる、というのが繰り返されたので、完全に思考を放棄、ただただ文章を辿ることに終始しました・・・。完全に恩田さんの術中に嵌ってしまいましたね・・・。

恩田さんが得意な"結論が良くわからないお話"は嫌いではないのだけど、これはわけがわからな過ぎでした。「チョコレートコスモス」ではすごくのめり込めて最大の評価をしましたが、同じ題材な上にこんな状況なので必然的に評価が下がってしまいました。

この本は携帯で配信されてたようですね。全編を一気に読んでもわからないのに、携帯で少しずつ読んだとしたら・・・。携帯で読んで理解できた人がいたら、尊敬してしまいます・・・。

+++++

【みなさまのご意見】


「チョコレートコスモス」恩田陸

チョコレートコスモスタイトル:チョコレートコスモス
著者  :恩田陸
出版社 :毎日新聞社
読書期間:2007/03/27 - 2007/03/29
お勧め度:★★★★★

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舞台の上の、暗がりの向こう。そこには何かが隠されている。どこまで行けばいいのか? どこまで行けるのか? 2人の少女が繰り広げる華麗で激しいバトルを描く、熱狂と陶酔の演劇ロマン。

大学の劇団に入団した佐々木飛鳥。演技経験など全くないが、類まれなる観察力と発想の豊かさ、そして天才的な演技で周囲を魅了してゆく。一方、芸能一家に育ち、幼い時から舞台に立っている東響子。二十歳そこそこで、すでにベテランの貫禄すら感じさせるが、自分の恵まれた境遇に気持ちが惑い始める。そんな折、伝説のプロデューサー・芹澤泰治郎が新作舞台を手がけるらしいとの噂が流れ、二人のほか名の通った女優たちが巻き込まれてゆく・・・。

ぐいぐいと引き込まれてゆくお話でした。誰でも楽しめると思いますが、観劇が好きな人、芝居作りに携わったことのある人はより一層楽しめると思います。

まるで目の前でオーディションが繰り広げられているかのような緊張感とライブ感。これから伝説が作りあげられてゆくのを目の当たりにしたような感覚、歴史の一証人になったような感覚をこの本から得ることが出来て、身震いが起こってしまいました。東響子と佐々木飛鳥、すごい・・・。

ただ、東響子はいいとして、佐々木飛鳥は現実には存在しないだろうなぁって感じがするのが残念。自己が存在しないためにどんなものにでも成り切れるってのはすごいけど、女優ってのは多かれ少なかれ「我」が存在するものでしょうし。これからさらに演じることに目覚めて行くのでしょうか・・・。まぁ、正直微々たることで、この本の素晴らしさを損なうほどの不満点ではありませんが。

「チョコレートコスモス」ってタイトルでありながら、「チョコレートコスモス」って一体何かが全く分からぬまま終わってしまいました(芝居のタイトルってことは分かりましたが)。続編が出るのかな。気になります。

+++++

【みなさまのご意見】


「夜のピクニック」恩田陸

夜のピクニックタイトル:夜のピクニック
著者  :恩田陸
出版社 :新潮社
読書期間:2006/10/10 - 2006/10/12
お勧め度:★★★★

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夜を徹して八十キロを歩き通すという、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。生徒たちは、親しい友人とよもやま話をしたり、想い人への気持ちを打ち明け合ったりして一夜を過ごす。そんななか、貴子は一つの賭けを胸に秘めていた。三年間わだかまった想いを清算するために―。今まで誰にも話したことのない、とある秘密。折しも、行事の直前にはアメリカへ転校したかつてのクラスメイトから、奇妙な葉書が舞い込んでいた。去来する思い出、予期せぬ闖入者、積み重なる疲労。気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫る―。

朝から晩までとにかく歩いて80km先のゴールを目指す「歩行祭」。高校三年生にとっては最後の一大イベントである一夜の物語。

ただ歩きながら友達と他愛もないことを話す。言ってみればこれだけのお話なんだけど、そのなんてことのないお話がとても懐かしくって胸に迫ってきます。周りに仲のよい友達がずっといて、普段出来ないほど夜更かしとかして(といっても歩いてるのだけれど)、励ましあったり、時には力を貸したり。彼らの息遣いが、まるでその場にいるかのように感じられるから不思議。

異母兄弟でありながら同級生であるという複雑な関係の貴子と融。互いに素直な気持ちをぶつけ合えたのも、世を徹して歩くという「非日常」だったが故かもしれません。「非日常」のなかでは、日常の悩みもなんだかちっぽけに見えました。

長い人生からみるとほんの一瞬の出来事。後々思い出したときに「あの時はつらかったよね」の一言で終わってしまうかもしれないけれど、かけがえのない時間であることは間違いありません。

+++++

【みなさまのご意見】


「クレオパトラの夢」恩田陸

クレオパトラの夢タイトル:クレオパトラの夢
著者  :恩田陸
出版社 :双葉社
読書期間:2006/09/11 - 2006/09/12
お勧め度:★★★

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追い求めているものは「伝説」なのか? 北国の街に交錯する、密やかな思惑と駆け引き。無限のイメージが、遠い記憶を呼び覚ます。01年刊「MAZE」に続くシリーズ第2弾。『小説推理』掲載に加筆、訂正をして単行本化。

「MAZE」に登場した神崎恵弥が登場します。「MAZE」では彼の特徴が活かされていなくって物足りなかったのですが、今回は楽しめました。

不倫の末に北海道・H市へと移り住んだ双子の妹・和見を東京へ連れ帰るため、恵弥はH市へと向かう。表向きは家族代表としてやって来た形なのだが、恵弥にはもう一つH市に来る目的があった。「クレオパトラ」とは一体何なのか?

登場人物は少ないながらも、出てくる人たち全員が怪しい! 人物像が頭に染み込んだころに、それを覆すような事実が判明します。犯人はこいつか、こいつか、とみんなを疑ってました。ただ、何でそんなにみんなが躍起になって「クレオパトラ」を追い求めるのか、今ひとつ真相を理解できぬまま終わってしまいました。お金のため? それとも「クレオパトラ」を手にすれば、世界を掌握できるのか? 不明です・・・。

もう一作くらいシリーズとして書いてもらえればなぁと思います。彼の特徴を活かした、もう少し簡単な話をお願いします。

余談1:
chiekoaさんと同じく、なぜ函館を"H市"なんて書いてるんだろうと思ってました。すぐばれるのに。しかも、周辺の町はそのまま書かれてるのに。"五稜郭"なんて"G稜郭"ですよ。力が抜けます・・・。

余談2:
実は、僕は双子です(一卵性)。

+++++

【みなさまのご意見】
+ChiekoaLibarary+さん
+++こんな一冊+++さん
本のある生活さん
苗坊の読書日記さん
恩田陸を読むさん('06/10/03追加)
きつねの本読みさん('07/01/26追加)
たこの感想文さん('07/02/06追加)
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('07/02/18追加)
ぱんどら日記さん('07/03/08追加)


「黄昏の百合の骨」恩田陸

黄昏の百合の骨タイトル:黄昏の百合の骨
著者  :恩田陸
出版社 :文春文庫
読書期間:2006/07/05 - 2006/07/06
お勧め度:★★★★★

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「自分が死んでも、水野理瀬が半年以上ここに住まない限り家は処分してはならない」亡き祖母の奇妙な遺言に従い、「魔女の館」と噂される洋館に、理瀬は、やってきた…。華麗なる恩田ミステリー。
「三月」シリーズ、現在までの完結編。"あの学園"を卒業して海外留学中だった理瀬は、亡くなった祖母の遺言に従うため帰国。「理瀬が半年以上住まない限りは家を処分してはいけない」という何とも奇妙な遺言。祖母の真意が読めぬまま、理瀬は「魔女の館」と称される洋館で二人の叔母と共同生活を始める。

理瀬の生い立ちや周りを囲む一癖も二癖もある人物たち。先の数冊を読んで知識たっぷりなので、冒頭から人物間に漂う独特な緊迫感がひしひしと伝わってきます。これから読んでも面白いだろうけど、順番通り読むほうが面白さが倍増しそう。これから読む人は是非順番通りに読みましょう。ちなみに順番は、「三月は深き紅の淵を」→「麦の海に沈む果実」→「黒と茶の幻想」→「黄昏の百合の骨」。「黒茶」と「黄昏」は逆でも可です。

自分が特別な存在であることを深く受け止めている理瀬ですが、所詮まだ十六歳。誰かの世話にならずには生活していけません。性格の異なる二人の叔母・梨南子と梨耶子、従兄弟・稔と亘、そして同級生・雅雪などからの助力をうまく利用しながら、目的に向かってまっしぐらな理瀬はやはりただ者ではないかも。ただ、完璧であろうとする中に女の子っぽい部分が見え隠れし、何だか妙なリアルさと甘美な香りを感じたのは僕だけでしょうか。

周りを囲むキャラも魅力的。男の子たちがみんな性格がよく、少女漫画にでも出て来そうなのは恩田さんの趣味か?と思わなくもないですが。中でも雅雪がとてもよい。明らかに理瀬とは違う世界を生きる男の子ですが、包容力や洞察力が優れていて、理瀬との会話では張り詰めていた緊張の糸が緩むのを感じました。ところで、雅雪って何かの作品に出てましたっけ?何だか初対面とは思えなくて。

館の謎も解け、これで一件落着と思いきや・・・。ラストにはとても驚かされました。理瀬でなくとも人間不信に陥りそう。

今後この物語はどのように展開されるのでしょうか。願わくば、僕がこのシリーズの内容を覚えている間に出て欲しいものです。まぁ、もう一度この世界を楽しむという手もありますが。

+++++

【みなさまのご意見】
+ChiekoaLibrary+さん
本のある生活さん
+++こんな一冊+++さん
こばけんdaysさん
本を読む女。改訂版さん
苗坊の読書日記さん
本を読んだら・・・さん
ナナメモさん
多趣味が趣味♪さん('06/07/26追加)
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('06/09/16追加)
猛読酔書さん('06/09/16追加)
本を読もうさん('07/04/16追加)
きょうのできごと・・・。さん('07/06/13追加)
たこの感想文さん('07/06/15追加)
*モナミ*さん('08/04/06追加)


「黒と茶の幻想」恩田陸

黒と茶の幻想 (上)黒と茶の幻想 (下)タイトル:黒と茶の幻想
著者  :恩田陸
出版社 :講談社文庫
読書期間:2006/06/23 - 2006/06/30
お勧め度:★★★★

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太古の森をいだく島へ―学生時代の同窓生だった男女四人は、俗世と隔絶された目的地を目指す。過去を取り戻す旅は、ある夜を境に消息を絶った共通の知人、梶原憂理を浮かび上がらせる。あまりにも美しかった女の影は、十数年を経た今でも各人の胸に深く刻み込まれていた。「美しい謎」に満ちた切ない物語。(上巻)

雨の音を聞きながら、静かな森の中を進んでいく大学時代の同窓生たち。元恋人も含む四人の関係は、何気ない会話にも微妙な陰翳をにじませる。一人芝居を披露したあと永遠に姿を消した憂理は既に死んでいた。全員を巻き込んだ一夜の真相とは?太古の杉に伝説の桜の木。巨樹の森で展開する渾身の最高長編。(下巻)
どっぷりと「三月」シリーズの世界にはまっています。上下2冊を一気読み。

学生時代の同級生である利枝子、彰彦、蒔生、節子の四人が、「美しい謎を解決する旅」「過去の取り戻す旅」と銘を打ち、Y島への三泊四日旅行を企画。すぐに昔の雰囲気を取り戻した四人は、それぞれが胸に秘めていた"過去の謎"をぶつけ合っていくのだが・・・。

Y島(屋久島ですね)を舞台に、日常と非日常が折り重なって独特な雰囲気を作り出しています。なんだか眩暈がしそう。語られている内容は、わざわざ旅に出てまでしなくても・・・というものから、それぞれが"トラウマ"となっている過去の思い出までと、硬軟取り揃えられていて読む手が止まりません。

四人それぞれの目線で書かれた四章からなるのですが、一癖も二癖もある蒔生が当然トリを飾るものと思っていたら、一番普通の人と思っていた節子がラスト。意外と思っていたのですが、読んでみるとこうなるべくしてなったのだとすごく納得しました。

「三月は深き紅の淵を」をほとんど忘れてしまったのですが、その中で語られる「黒と茶の幻想」とまさに同じ話のようですね。「三月」は1997年刊行で、「黒茶」は2001年刊行。「三月」刊行当時に、ここまでの内容を考え付いていたのかは定かではないですが、恩田さんの構想力、想像力はすごいなぁって思いました。

引き続き読んだ「黄昏の百合の骨」も読了しました。こちらもすごく面白かった〜。感想は後日。

+++++

【みなさまのご意見】
+ChiekoaLibrary+さん
+++こんな一冊+++さん
本のある生活さん
ナナメモさん
本を読む女。改訂版さん
こばけんdaysさん
日だまりで読書さん
サラリーマンの読書エッセイさん('06/07/19追加)
苗坊の読書日記さん('06/07/19追加)
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さん('06/09/25追加)
まろ茶らいふるさん('06/10/26追加)
ぱんどらの本箱さん('07/11/21追加)
たこの感想文さん('07/12/21追加)


「図書室の海」恩田陸

麦の海に沈む果実タイトル:図書室の海
著者  :恩田陸
出版社 :新潮文庫
読書期間:2006/06/20 - 2006/06/21
お勧め度:★★★

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あたしは主人公にはなれない−。関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式、夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。高校で代々語り継がれる“サヨコ”伝説に関わる使命を…。少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子』の番外篇(表題作)、『夜のピクニック』の前日譚「ピクニックの準備」など全10話。恩田ワールドの魅力を凝縮したあまりにも贅沢な短篇玉手箱。
「六番目の小夜子」の番外編である表題作「図書室の海」、「夜のピクニック」の前日譚「ピクニックの準備」、「三月」シリーズの理瀬が登場する「睡蓮」など、恩田作品の予習・復習にうってつけの短編集。全10編収録。

「図書室の海」の主人公は関根一家の長女・夏。関根一家には「六番目の小夜子」「Puzzle」「象と耳鳴り」で会うことが出来ます。夏には、頭脳明晰、やや打たれ弱い、という印象を持っていたのだけど、高校時代の夏は同級生よりやや大人びている存在だったようです。「主役をにはなれない」と自分を客観視していた夏が、"サヨコ"伝説に関わることになり、託されたメッセージの意味を考える。「六番目の小夜子」は初めて読んだ恩田作品だったので、これが繋がっていくのかと妙に感慨深かったです。

あとがきで"既出の短編を集めたわりには統一感が取れたと思う"というようなことを恩田さんは書いていましたが、僕はまったく逆の"ばらばらだなぁ"というのが印象を受けました。まぁ、ミステリーあり、学園もの、ホラーものありとバラエティに富んでいて、恩田さんの引き出しの多さを感じることが出来るし、それぞれの出来もいいのですが、ちょっと気になったもので。みなさんがどんな印象を持ったのかが気になります。

読了後、すごく「夜のピクニック」が読みたくなりました。最後に語っていた人物が誰なのか。気になって仕方がありません。

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【みなさまのご意見】